サウジアラビアってどんな国?文化と習慣、日本人との意外な共通点

アラビア半島最大の国、サウジアラビア。最近になって外国人にも観光ビザが発行されるようになったが、それでもまだ多くのことは知られていない。

そんなサウジアラビアの文化や習慣、そして日本人との意外な共通点をご紹介。


サウジアラビアは砂漠の国?

人々の気質や文化に関しては、UAEやカタール、バーレンといった湾岸諸国と似ている部分が多くある。例えば、イスラーム教。酒や豚を口にしないといったことや、ラマダンを行うことである。

この辺は、別でも書いたので、サウジの特徴として語ることは省きたい。

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一方で、サウジとそのほかの湾岸諸国を比べた時に、サウジアラビアという国は、圧倒的に奥が深く、文化的にも洗練されたものもを持っている。

第一に自国民が多い。サウジアラビアの人口は約3,000万人。そのうちの70%ほどが自国民である。自国民が多いなんて当たり前じゃん?と思われるかもしれない。けれどもUAEでいえば人口の7割が外国人、カタールやバーレーンも同様である。自国民の方が少ないのである。

それに加えて、国土の広さもある。同じサウジアラビアでも、場所によって気候や風土がずいぶん異なる。イメージ的には砂漠一帯の国と思われがちだが、実は違う。

聖地メッカの玄関口でもあるジェッダは、世界中から巡礼者を受け入れてきただけあって、国際色豊かな街である。


世界遺産にも登録されているジェッダの歴史地区

一方で南部のアシール地方は高山地帯ということもあって、夏には多くの避暑客が訪れる。イエメンに近いということもあり、人々の顔ぶれも異なる。

サウジアラビア南部で出会ったおじさん

この土地でよく見られる「アル・カット・アル・アシリ」と呼ばれる装飾は、アシール地方の自然の豊かさを反映しており、世界無形文化遺産にも登録されている。


サウジアラビア南部の都市、アブハー空港の外壁には「アル・カット・アル・アシリ」と呼ばれるカラフルな装飾が施されている

考古学的にも、サウジアラビアは魅力的な場所である。有史以前にアラビア半島に人類がいたことを示す遺跡もみつかっている。人類の移住史を書き換えるような、ホモサピエンスに関する化石も発掘されたことで話題となった。

サウジの小説家、モハメド・ハサンの「A Small Death」(原題はアラビア語)は、2017年のアラブ国際フィクション賞を受賞。アラブ界隈ではベストセラーにもなった。

小説家がいるのなんて当たり前じゃん?と日本人なら思うだろう。けれども、そこそこ国家が成熟していないと、小説家といった芸術肌の人間は排出されないのである。その点で、サウジアラビアは他の湾岸諸国と一味違うのだ。

デーツの産地としても有名

ドバイで生活していても、サウジの文化的な豊かさを感じることがある。アラビア半島では、よく食べられているデーツだが、デーツに関してはサウジ産のものが多い。

サウジアラビアデーツ
スーパーに並ぶサウジ産のデーツ。デーツの王様と呼ばれる「アジュワデーツ」もサウジ産。

さらになぜかドバイ土産の定番となっている、高級デーツ「バティール」も、実はサウジ発のブランドである。デーツクッキーやスナックにしても、サウジ産のものがよく売られている。

メッカを擁するイスラーム世界の中心

サウジを語る上で欠かせないのがイスラーム教である。サウジアラビアには、イスラーム教の聖地、メッカとマディーナがある。この場所には、イスラーム教徒しか入れない。


メッカで巡礼する人々

世界中のイスラーム教徒たちは、メッカの方角に向いて礼拝をする。よって、イスラーム世界の中心でもあるのだ。

異次元空間!イスラーム教徒の聖地、メッカへの巡礼記録

聖地メッカがあるということで、イスラーム世界でもサウジアラビアは、特別視されている。たとえば、断食をするラマダンの始まりは、各国から月の形を目視して決まる。国によって開始時期が異なるのだ。

自分の国で月が見えず、どうしようもないときは、メッカがあるサウジアラビアに合わせましょう、といった風になるのだ。

イスラーム教の国の中でも戒律が厳しい?

サウジアラビアはイスラーム教の中でも、ひときわ戒律が厳しいと言われている。時にサウジは保守的だとか原理主義だとも言われる。

女性は、髪はおろか、目以外の顔を隠さなければいけない、だとか外国人でも酒やポルノを持ち込めば、国外追放もしくはムチ打ち。盗みをはたらいたものは、公衆の面前で手を切り落とす公開処刑など。

これは私が今まできいたサウジにまつわる話である。誇張されているものもあるし、今ではずいぶんと変わったものもある。

女性の服装に関しては、アバヤと呼ばれるロングワンピースの着用が必須だが、顔を隠したり、髪を隠す必要はない。

実際に街を歩くと、他の国と変わらない。けれども、目に見える部分で大きく違うのが、男女隔離である。飲食店のお店にいくと、注文カウンターが男女別で仕切られているのだ。


ジュースショップの注文カウンター。左が女性レーン、右が男性レーンで分かれている

これは、イスラーム教でいうところの、社会でみだりに男女が交わると、貞操と社会秩序が失われることを危惧した結果である。

ちんけなしきりがあったところで、社会秩序にはなんら影響を及ぼしそうにはないが、そうした危惧を最大級で防ごうとするのが、サウジのやり口なのである。

はたから見れば、ただの心配性であるが、それを大真面目に国をあげてやるのが、私からすると滑稽でほほえましいのである。

街中にうごめく宗教ポリス

さらに、イスラームを徹底させるためにサウジでは「勧善懲悪委員会」なるものを設置している。アラビア語では、「ムタワ」と呼ばれている。

主に信仰深く、正義意識が高いおっさんから構成される組織である。活動目的は、イスラームから逸脱する行動を取り締まることで、いわば宗教ポリスである。

街中を歩いている女性が、髪の毛を出していたりすると、宗教ポリスがやってきて「きみい、いかんがね」と注意する。校則にうるさい中学校の先生である。こうして、国家費用をつかってまで、サウジはイスラームを徹底させるのである。

しかし、時代とともに宗教ポリスの数も減り、あまりうるさくいわれなくなっているのだという。残念。

神がかっている国

聖地があるサウジアラビアゆえに、その国も神がかっている。言い換えれば、宗教が日常に色濃く浸透しているということである。

たとえば、サウジアラビアの国旗。国旗には、「アッラーの他に神はなし。ムハンマドは預言者である」とアラビア語で書かれている。これは、イスラーム教において非常に重要な文句で、改宗する際にはこの文言を唱えるのである。


サウジアラビアの国旗。緑はイスラームでは緑豊かな天国を連想させる色

サウジアラビアのナショナルフラッグ、サウディア航空の機内アナウンスもやたらと神がかっている。「神の名において、着陸します。神がお望みならば10時に到着するでしょう」。

やたらと神が登場するのである。ちゃんと無事に着陸するのも、定刻につくのも、機長の腕ではなくて、神の思し召し次第なのである。

サウジの代表的な料理、「カプサ」

サウジアラビアの代表的な料理といえば、「カプサ」。炊いたご飯の上に、羊や鶏などの肉がどっかりとのっかったものだ。肉は蒸したり、ローストにしたものなどパターンがあり、肉もラクダ肉を使用することがある。


少人数用のカプサ

見た目は非常にシンプルだが、香ばしい肉とご飯の相性がばっちりで、ついついとまらなくなる。これを銀の大きなお盆に載せ、それを円座になり大人数で囲んで食べるのだ。

食べるときは、基本手を使う。イスラームで左手は不浄の手だとされているので、右手を使うのが基本。異教徒であってもそれに従ったほうがよい。

私は左利きでついつい左手をつかってしまうことがあるのだが、あからさまに嫌な目で見られたこともある。右手でしかも手でご飯を口にいれる、という左利きの人間にとっては、少々辛いものがある。

おもてなしに欠かせないコーヒー

砂漠の遊牧民が活動していたアラビア半島一帯では、コーヒーの文化がある。客人が来たときには、コーヒーとデーツでもてなすのだ。この心意気はなんと世界無形遺産にも登録されているほど。


アラビア半島のコーヒーは、おちょこのようなものにいれる。

たかがコーヒーかと思われるかもしれないが、彼らにとってコーヒーは、単なる飲み物以上のものである。それは、日本人でいうところの盃を交わす、といったものによく似ている。

コーヒーを入れる分量は、時に客人に「早くお暇してほしい」といったメッセージを暗に伝えることもある。

コーヒーは、わんこそばのごとく飲んだら次々と注がれる。なので、無限ループを止めるためには、コーヒーカップを左右に揺らして、「もう十分です」と伝えるのだ。

日本人とアラブ人は以外とよく似ている

日本人からすれば、アラブ人は遠い人々である。なにせ日本にはない一神教とやらを信じ、アラビア語なるものをしゃべっている。

アラブ人は「インシャアッラー(神の思し召しのままに)」などといって、約束を守らなかったりする、といった日本人のクレームもよく聞く。

「インシャー・アッラー」からアラブ人と日本人の時間感覚の違いを読み解く

一見すると日本人とアラブ人は違うように見える。けれども、アメリカ人のように物事をはっきりいったりせず、駆け引きなどが発生する部分は、非常に日本人とよく似ているのだ。

先ほどのコーヒーの例にしても、言葉で「もう十分です」と伝えるのではなく動作で伝える。奥ゆかしい日本人を見ているようである。

コミュニケーション方法をみても、アラブ諸国と日本は、言葉よりも動作や雰囲気でコミュニケーションをとる「ハイコンテキスト」文化に位置している。

日本人とサウジ人はツイッターがお好き?

ソーシャルメディアの利用率を見ると、世界的にはフェイスブックが圧倒的に人気だ。UAEやエジプト、レバノンといった他のアラブ諸国をみても、やはりフェイスブックが使われている。

しかし、サウジアラビアと日本に限ってはダントツでツイッターユーザーが多いのである。以下は、ツイッターユーザー数の国別ランキングだが、なんと第2位に日本、そして第4位にサウジアラビアがランクインしている。

アメリカとイギリスはともかく、世界的にはあまり人気ではないツイッターだが、サウジと日本では積極的に使われていることがわかる。