世界的クラブ、ベルグハインに入れず残念無念

バウンサーなしで気軽にキットカットクラブに入れたことに調子づき、なぜか無謀にも私は悪名高きベルグハインを目指した。

そう。あの時までは知らなかった。

ベルグハインの本当の恐ろしさを・・・

説明しよう。ベルグハインとは、世界でもトップクラスのクラブと言われている。レッドブルの公式サイトでも、入場するのが世界一難しいクラブとして紹介されている。平均の待ち時間が4~6時間。そしてここにも悪名高きバウンサーがおり、長時間待ったとて、入れるか入れないかは、バウンサーのお気持ち次第となる。そして営業時間が、金曜の夜から月曜の朝までという狂ったノンストップ営業でも知られる。つまり、金曜の夜から数日間、クラブ内で過ごすことも可能なのだ。

そしてキットカット同様に、クラブ内でセックスをする人もいるが、その内容はヘテロよりゲイの方が多いらしい。有名なイーロン・マスクも来たことがあるが、入場はしていないという(入場拒否されたのか、自ら入らなかったのかは真実は闇の中である)。

とまあ、キットカット以上に色んな意味で、その名を世界をとどろかせているのがベルグハインである。よって、私のようなにわかでも、知っているということになる。

まあ、日曜の昼間だし行けるっしょ。それにジモティーから、ベルグハインに入るなら午後の2~6時がいいよ、という情報をゲットしているのだ。キットカットのバウンサーもクリアしたことだし。などと浮かれながら現地に向かったのだが、待っていたのは驚くべき光景。

ウソだろ・・・・何この行列


ずらっと数百人は並んでいる。しかもほぼ全員黒ファッション。

ひるみながらも、最後尾を見つけ並ぶ。

何これ・・・

クラブの入り口すら見えない大行列である。基本的に私は並ぶのが嫌いな人間なので、人生では行列を避けて生きてきた。しかし、ここでは並ばなければならない。

時々VIPみたいな人がタクシーで乗りつけては、並ばずにさっさと入り口へ直行している。

いいなあ・・・

これが素人とVIPの差である。

そして噂通り、皆静かである。

こんなに人がいるのに、誰一人騒ぐものなどいない。前に並ぶイスラエル人グループですら、ひそひそ声で話している。普段は騒がしいイメージのイスラエル人なのに。

沈黙の大行列。

そして皆黒ファッション。

はたから見れば葬式の参列者である。

そんな沈黙を陽気な声が突然切り裂く。声の方をふと見やると、ビアーバイクがこちらに向かってやってくる。自転車をこぎながらビールを飲むという、ビール大国ドイツが発明した摩訶不思議な乗り物である。ビールを飲みながら、ワイワイやる一団。一方で入れるのかわからないクラブに、ひたすら並ぶ沈黙の参列者。どちらもドイツらしいが、まるで天国と地獄の対照的な世界である。

30分並んでも2メートルぐらいしか進まない。

寒い上、雨も降ってきた。

しかも先ほどキットカットクラブでかなりエネルギーを消費してしまったらしく、お腹も空いたし、足も痛い。

今日は無理だな・・・

というわけで、1時間並んだ結果、列を離脱することにした。バウンサーに弾かれる前に、己の意思で離脱するなど思いもよらなかった。ベルグハインを甘く見ていた。あそこへ挑むには、万全のコンディションで挑まねばならねばならない。ついでで来れる場所ではなかったのだ。

ドイツのベルグハインクラブ
営業していない日のベルグハインの入り口。ここへ入れる日は来るのだろうか。