最近気づいたのだが、寒い中歩いていると、頭がぼうっとしてくる。思考がまとまらないのだ。気づけば、自分でもよくわからない言葉を、道端でぶつぶつ呟いていたりする。寒さは人をおかしくさせるらしい。
冬季うつのどん底は乗り越えたが、今後また大波が来るかもしれない。というわけで、念には念を入れて日サロに通うことにした。
日光が恋しくて
太陽をこんなに恋しく思うなんて、予想もしなかった。スウェーデンに行った時、スウェーデン人が「秋になったら太陽とお別れだ」みたいなことを言って、「へえ、そうなのう?」と軽く考えていたが、まさか自分が当事者になるとは思ってもいなかった。
何せ太陽は、当たり前にいつもあるもので、時々眩しすぎてそんな太陽が煩わしくなる、それが私と太陽との関係であった。
しかしドイツに引っ越してからは、晴れの日だと、宝くじで3万円が当たったぐらいに、小躍りしてしまうぐらいだし、貴重な日光を逃すまいと積極的に外に出て、日光を浴びるようにしている。日光が出ている時間=ハッスルタイムなのである。
ドバイに住んでいた頃、冬になるとヨーロッパやロシアからの観光客が激増し、「そんなに日光に浴びたいのかね?」と思っていたが、今では彼らの気持ちがよくわかる。日光にただ当たるだけのアクティビティは、日光がないものからすればラグジュアリー品である。
日光浴するのがそんなに楽しいのか?なぜ欧米人は日光浴するの?
寒い日々の中では、マッチ売りの少女のごとく、マレーシアやインドネシアの南国の風景が、白昼夢として思い出される。太陽や緑がある南国に行きたい・・・そう、私がクリスマスに欲しいのは日光である。
日サロデビュー
ヨーロッパでは色白よりも日焼け肌の方が健康的で美しい、という概念があることはよく知られている。しかし、ドイツでは、日照時間が短いことによる、ビタミンD不足を補うために日サロを活用している人も少なからずいるらしい。
ベルリン市内にはそこそこの数の日サロがある。昔からベルリンに住んでいる知人によれば、90年代は多くの日サロがあったが、皮膚がんになる可能性がある風評が広まり、一気に減ったのだという。
私がいってみたのは、アレクサンダー広場にあるBluebox Sonnenstudioという日サロ。色々なマシーンがあり、初心者なので一番ライトが弱い15分コースを選択。
日サロに売っている専用のクリームを塗り、真っ裸でマシンにこもること15分。マシン内は、生暖かい風が吹き、体がじんわりと温まっていく。あ、日光に当たっているほっこり感があるかも・・・・しかし、マレーシアで純正の日光で日焼けに勤しんでいた身からすると、やはり擬似感は否めない。そして、すでに少々日焼けしていたためか、特に体に変化もなし。次はもう少し強いものにしよう。
滞在時間は着替えなども含め30分ほど。思っていたより随分とお手軽である。値段はクリームも含めて14ユーロと悪くない。いや、待て。日光に15分当たって14ユーロは高いぞ・・・マレーシアなら何時間浴びても無料なのに・・・などとないものをねだってもしょうがない。
日光がない国では、こうした日サロなどの擬似日光も、お金を払って手に入れるものらしい。お金で日光が得られるだけマシだと思えばよいか。