アラビア半島の人々にとって、デーツは庶民フード。
いわば日本人とおにぎりみたいな関係である。手軽にゲットできる食料であり、かつ栄養価が高いということで、いまもなお人々の生活には欠かせない。
デーツ界のドン「バティール」
とにかくドバイをはじめとするアラビア半島では、デーツの出現率はハンパない。
コーヒーのお供として出てきたり。街のスークにはピラミッドのように積み上げられた大量のデーツが売られていたり、スーパーにはデーツコーナーなんかもある。
そんなわけで日本人がおにぎりをほおばるのと同様、おにぎりがないドバイで私はひたすらデーツをほおばってきた。
中でもドバイのデーツ界のドンといえば、高級デーツ「バティール」である。なにやら王族も御用達とかで、人々はその高級デーツをひどくあがめているそうな。
高級デーツは本当に高級な味がするのか?
普段庶民デーツを食べている人間には、高級デーツがいかなるものか想像できなかった。考えてみてほしい。コンビニのおにぎりではなく、高級なおにぎりを。
高級おにぎりといわれても、中身は普通のおにぎりとほとんど同じだろうに。おにぎりを形成する要素の70%は米である。米の質を上げるのはともかくとして、おにぎりが高級になるためには残りの30%、つまりは具で勝負をしなければいけないのである。
ドバイのモールで見かける「バティール」
バティールで色々買ってみた
なんて言ったって、所せんは黒い塊をしたデーツよ?そんなやつが、高級ぶったところで、絶対庶民感は隠せな・・・・
違う。
え?なにこの美味しさ。
確かに違うのだ。高級デーツとスーパーで売っている庶民デーツは。高級デーツを食す前は疑いしかなかった。しかし、バティールとやら。やはりただ者ではない。スークやスーパーに売っているデーツは、確かに甘いとはいえ若干繊維質を感じることがある。
高級な味の秘訣は黄金比にあり
一方でバティールのデーツは、繊維質がまったくなく、身がとろけるように柔らかい。さらに、キャラメルがかかったマカダミアナッツやアーモンドをデーツに中にトッピングすることで、味のバリエーションを増やしている。
ピスタチオやアプリコットが入ったデーツ
おにぎり同様、デーツだけではどうしても高級感は出せない。なにせあのビジュアルである。高級感もへったくれもない。
7割がデーツだとすれば残りの3割の具。つまり高級感をもたせたナッツやドライフルーツをデーツに差し込むことで高級感を出すのである。
まさにこの7:3の黄金比が、高級の秘訣といえよう。こんなくだらない法則を見出してしまうほどに、高級デーツは本当に美味しかったのである。
高級デーツと庶民デーツの価格と種類を比較
客観的な情報も交えて、両者を比較してみよう。
スーパーで売っているデーツは、300グラムで15AED(約450円)ほどから買える。ドバイのスーパーで買えるのは主にUAEとサウジアラビア産のデーツ。
種類はたくさんがあるが、やはりおすすめはサウジ産のアジュワ・デーツである。甘さ控え目で食べやすいのだ。ちなみにバティールもサウジの会社。つまりうまいデーツといえば、UAEよりもサウジなのである。
この辺のデーツの食べ比べについてはこちらの記事を参照。
一方で、高級デーツ「バティール」はキロ売りである。デーツ商品は30種類ほどあるが、だいたい以下の3つのカテゴリに分けられている。
プレミアム・デーツ:225AED(約6,800円)
チョコがけデーツ:175AED(約5,300円)
プレミアム・エクストラ・ラージ・デーツ:135AED(約4,000円)
ナッツやドライフルーツが入ったデーツがプレミアム・デーツ。バティールで買うなら、やっぱりこの辺の人気ラインがよいだろう。
ちなみにナッツやピスタチオ入りの商品はスーパーでも買える。これでも十分うまいが、さらなる美味しさを追求したい人は、バティールをおすすめする。
カラフルなバティールチョコとマロングラッセ(中央)
バティールでは、デーツだけでなくチョコやデーツ入りクッキーなども売っている。正直にいえば、マロングラッセが一番美味しかった・・・というは大声ではいえない事実。しょせんデーツなので、チョコやマロングラッセといった洋物の菓子と比べると、一発で負けるのがオチなのだ。
結局美味しいのはどっちなのか?
どちらも美味しい。それが正直なところである。
ただ、一つだけ言えるのはデーツはやっぱり庶民フードだということ。日常生活ではスーパーで気軽買える庶民デーツ。バティールの高級デーツは、特別なときにだけ食べたい。毎日、庶民デーツを食べているからこそ、高級デーツのありがたみがわかるのだ。