病みつきになる人続出。背徳感ハンパないイエメン料理「マンディ」

マンディとの出会いは約3年前になる。

ドバイに来て、はじめて食べたアラビア半島の料理だったかもしれない。とにかくビジュアルからして、衝撃的な出会いだった。

イエメン料理屋はたいていテーブル席と個室がある。イエメンではテーブルを使わず、地べたに座って食べるスタイルが主流だからだ。

個室に入ると、店員がやってきてビニールシートと、お通しの生野菜を置いていくのがおきまりのスタイル。

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そして料理が君臨。出てきたのは米と肉。

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うお、結構まんまやないか!

山賊が囲んでそうな料理である。おそるおそる食べてみると、意外とうまい。チキンとご飯というシンプル飯なのにも関わらず、なぜか食が進む。

しばらく経つと、肉とご飯だけで口の中がもそもそしてくるので、さきほどのお通しの生野菜にかぶりつく。うん、絶妙なバランス。

しかしこのマンディとやら、気を良くして食べ過ぎすぎると、後からマンディ・エフェクトに襲われる。重いのだ。胃が。なにせあれだけの米と肉を胃袋につめたのだ。ふだん豆腐や菜っ葉などに慣らされた胃袋には重すぎる。

炭水化物ダイエットのご時世に米と肉だけ。しかもこの量である。日本にいたらKFCやマックと同じくして、逆風を吹き付けられることになるだろう。

けれども、ファストフード店がいまだ日本で生き残っているように、一部のマニアの間ではこのマンディが強く支持されている。

マンディを食べることはすなわち背徳感を感じる行為でもある。常日頃は痩せたいと思っているのにも関わらず、炭水化物の塊を食べるわけだ。

背徳感を感じずにはいられない。

さらにそんな背徳感も手伝ってか、マンディをいったんたべると病みつきになってしまう。あの味が忘れられないのだ。

マンディ部長ことアラブ人の同僚は、週に1回はマンディを食べないと気が済まない人間である。あまりにもマンディをこよなく愛しているために、日々「一緒にマンディを食べない?」といろんな人にお誘いをかけている。

なにせマンディを一人で食べるのはつまらない。マンディを一緒にたべて、皆で背徳感を共有することが大事なのだ。


マンディ部長とマンディを囲む会にて。左下にあるのは、「ファトゥーシュ」と呼ばれるサラダ。


マンディの派生料理、「マスビー」。同じ肉でもじっくり蒸し焼きにして調理したものを「マンディ」。焼いたものを「マスビー」と呼ぶ。

そんなマンディ部長による広報活動のおかげか、気がつけば同僚の小太りなメキシコ人やインド人たちもその魅力にとりつかれるようになった。しかし、いずれもカロリーとその背徳感ゆえか、月2~3ペースと頻度はそんなに高くないのだが。

それでもマンディをもくもくと食べ続けるマンディ部長。部長のマンディ愛にはかなわない。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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