やっぱり厳しい?イスラエル出国記 2026年版

イスラエル観光は、出国も含めて一種の観光アトラクション。これまで何度もイスラエル出国をしている身としては、もはやそう開き直るしかない。

過去の体験記はこちら:イスラエルのベングリオン空港名物、SMクラブへようこそ

さて、10年ぶりの出国アトラクションはどうなることやら・・・

イージーな出国になると思いきや・・・

10年経ち、私のパスポートはすっかり刷新。イラクやサウジ、イエメンなどのイスラーム諸国のスタンプは最新版のパスポートにはない。

よってSMクラブさながらの尋問はないだろうと予想していた。むしろ楽チンすぎる出国で拍子抜けするかも・・・?なんて気楽に考えていた。

が!

イスラエルはやはり甘くなかった

通常の荷物セキュリティチェックに並んでいたところ、パスポートを見せるやいなや

「お前はあっち」

と別のゲートを案内される。これでスペシャルコース決定である。よくよくパスポートに貼られたシールを見ると、番号の一桁目が5になっている。

これは要注意人物として別検査が必要だということを意味する。ちなみにMAXが6で危険人物扱いである。

げげっ

このシール、入国時に貼られたものだが、入国時は至って何の問題もなく数分で終了していた。質問といえば、他の国と変わらない、「どこから来たのか?」「何しに来たのか?」といったぐらい。

あれだけ穏やかな会話をしながら、裏では要注意人物扱いするとは・・・

嫌なやつである。

スペシャルコースの内容は、荷物を全部開封して空港職員が1つずつ丁寧に所持品を確認するというもの(通常コースは、荷物を検査機に通すだけ)。列に並ぶ面々を見ると、全く共通性はない。そして荷物を全部検査するので列は遅々として進まない。

その間、職員が「お前のフライトは何時や?」と列にいる乗客に尋ねる。ここから長期戦が予想されるので、フライト時間ギリギリの乗客は、特急コースが設けられているのである。

スペシャルコース初心者と思われる人々は、全開封された自分の荷物を前に、いぶかしげな顔をしている。「なぜ私が・・・」と言わんばかりである。そう、初めて遭遇した場合は、こう自問自答し、不安、恐怖、緊張といった負の感情に襲われる。

しかし、何度もこれを経験した身に起こったのは、「どーぞ、検査してください♪」と言う真逆の感情だった。10年も経つと空港職員の方が明らかに私よりも年下になっており、「こうした仕事も大変ねえ・・・」などと余計なことを考えたりする。

さらなる検査が待ち受ける

無事に私の荷物検査が終了するかと思いきや、「あっちでもう1回検査して」と言われる。それは、スペシャルコースからさらに選抜された、怪しいメンバーだけに与えられる「ウルトラスペシャルコース☆」である。

ウルトラコースのメンバーは明らかだった。アラブ系イスラエル人や明らかに見た目がアラブ人っぽい野郎ばかりである。イスラエルパスポートを持ち、ヘブライ語も話すのに、アラブ系というだけで彼らはこのような屈辱を受けなければならないのか・・・

などと考えながら、追加の検査が始まる。「特にこれについて詳しく聞きたいんだけど」と言われて、選抜された荷物がこちら。


アラビア語のポストカードとユダヤ教に関する本

数ある荷物の中からなぜこれなのか。

チョイスのセンスがわからない。

ポストカードが特に気に食わないようで、「これどこで手に入れたの?」と言われたので、「カイロでアートブックフェスティバルがありまして」と答えると、納得できなかったようで、「そのイベントの情報はどこで知ったんだ?」、「なぜそんなイベントに行くんだ?」と、さらにいちゃもんをつけられる。

「イベントはインスタで知りまして〜リソグラフという印刷の手法に興味がありまして〜」などと、空港職員に全く刺さらない己の趣味についてなぜか語ることになった。

それでもまだ納得できないようで、職員は私のパスポートを手のひらで弄びながら、どこかに電話をかけてみたり、収納棚に放置してみたりと、その間散々私のパスポートをもてあそぶのであった。

通常ならば、怒るところかもしれない。

しかし私に訪れたのは、

たかが私のパスポートが、何十分も電話のネタにされている・・・!!

驚嘆と嬉しさであった。

事実、乗り継ぎのフランクフルト空港では、到着出口のすぐ出たところで、抜き打ちでパスポート検査を行っていた。次々とパスポートチェックに捕まる乗客がいる中、私も「どーぞ♪」と意気込んで、自分のパスポートを差し出す。

しかし、

「お前はいいよ」

と言わんばかりにノーチェックで終わったのだった。なぜかドイツにいると、私はどーでもいい、検査するに値しない人間になってしまう。それがとても悲しいのだ。

もっと検査してくれよ!

ビザ取得のためベルリンで入国した時も、ノークエスチョンで終わるのだった。

なんか質問してくれよ!

そう。人間として興味を持たれている、ということが単純に嬉しいのだ。それが嫌疑だとしても。どうやらドイツ暮らしでは相当な孤独にやられて、精神がおかしくなっている模様。

というわけで、荷物検査にかかった時間はトータルで約1時間。まあそこそこ楽しめたとしよう。ベングリオン空港の名物アトラクションは、時を経ても期待を裏切ることはない。