緑の背景に、白で描かれた文字。あれは一体どういう意味なの?
そんなサウジの国旗について解説。
国旗に描かれた文字の意味は?
国旗にはアラビア語で、「シャハーダ」と呼ばれるイスラーム教の信仰告白の一部が書かれている。アッラーの他に神はなし。ムハンマドは神の預言者である、という意味。
サウジアラビアの国旗
アラビアでは以下のように書かれている。ちなみにアラビア語は、左から読む。
لَا إِلٰهَ إِلَّا الله مُحَمَّدٌ رَسُولُ الله
(ラー・イラーハ・イラッラー、ムハンマド・ラスルッラー)
サウジアラビアは、イスラーム教が生まれた場所であり、イスラーム教の聖地メッカを抱えている。
世界中のイスラーム教徒が、一生に一度はこのメッカへ巡礼することを夢見る。というかイスラーム教徒の5つのやるべきことの1つでもある。
そして、国旗に書かれている文言は、イスラーム教徒の真髄とも言えるエッセンスがつまっている。
イスラーム教徒へ改宗する人は、2人の男性イスラーム教徒(女性の場合は4人)の前で、この文言を唱える。それが、改宗の儀式である。
文字の下に描かれている剣は、正義を厳格につらいたるからな、という意味が表れている。ここでいう正義とは、イスラーム教の正しさということだろう。つまり、イスラームに反することは、徹底して取り締まる、という意にも取れる。
サウジアラビアは、イスラーム教の国で、人口のほとんどがイスラーム教徒である。
最近までサウジアラビアは、宗教警察が街中をばっこし、礼拝の時間にうろうろしている人間や、イスラーム的でない格好をしている人々に対して、お仕置きを食らわせていた。
イスラーム教で禁じられている飲酒は、国内ではNG。といったように、イスラームを厳格に守ることを徹底していたのである。
国旗の緑は何を意味する?
さらに、緑はイスラーム教にとっては、天国や肥沃を連想させる色。
考えてみてほしい。
イスラーム教が生まれたのは、砂漠が広がるアラビア半島である。緑は、めずらしく、羨望の対象でもある。
サウジの国旗は、イスラーム教のエッセンスが詰まった国旗なのだ。
半旗はNG?取り扱い注意な国旗
イスラームのエッセンスがつまっていると言うことは、慎重に扱わなければならない。
神聖な文言が書かれていることから、横長の国旗を縦に掲げたり、半旗にすることはNGである。
神聖な文言を半旗にするとは、何事ぞ!ということらしい。
横長の国旗を縦に掲げることはできないので、縦に掲げる用のパターンが用意されている。
サウジアラビア縦国旗。Wikipediaより引用
国旗に表裏がある?
さらに、神聖な文言は取り扱い注意!ということで、サウジの国旗には裏もある。裏から読んでも、文字がきちんと読めるようにしているのだ。ただし、剣が描かれている方向は、表と同じ。
サウジ国旗の表と裏
こうやってみると、国旗の色や文言は単なる飾りではなく、現代の国のあり方やよりどころすらも教えてくれるのである。