サウジアラビア旅行で感じた現地の治安。女性一人でも大丈夫?

サウジアラビアの治安を心配する人など、ほとんどいないだろう。正確には、いなかったというべきだろうか。

なにせサウジアラビアでは観光ビザが発行されていなかったため、旅行客として入ることはグループツアーを除けば不可能だった。だから、サウジの治安など心配しなくて済む。

しかし、2019年からサウジ政府が観光ビザの発行を始めた。そんな流れでようやく実現したサウジ旅行。そこで感じたサウジの治安をご紹介。

リヤドやジェッダの治安は比較的良い

結論からいえば、サウジの治安は良い。ヨーロッパでよく聞くようなスリやひったくりもほとんどないし、町中を歩いていて危険を感じることもない。

外務省の安全情報でも、レベル1の十分注意になっている。

観光客がまだ少ないためか、絡んできたりする人も少ない。もう、空気のような存在である。

総じていえば、ドバイやオマーンなどの湾岸諸国と同じぐらいの治安レベルといえよう。

女性一人でも観光可能?

治安以前の問題に、サウジでは外国人女性が一人で観光することが困難と言われていた。後見人制度により、常に女性は男性のお供が必要だったのである。

しかし、昨今の「急速な改革」というやつなのか、私が見る限りでは、普通に現地の女性も1人で道を歩いていた。


夜のジェッダ旧市街。一人で歩く現地女性もちらほら見かけた

女一人で歩いていても、とがめるものはいない。本当にサウジにいるのだろうか?と思うぐらい、ドバイにいる感覚とほぼ変わりがなかった。

夜に街を歩いていても問題なかったが、やはり明るい道を通るなど最低限の防衛は肝に銘じておきたいところである。

気をつけた方がよい場所も

表向きは、一人で歩いていても危険を感じることはなかった。しかし、一方で「ここはちょっとまずいかな・・・」という場所もあった。

サウジはオイルマネーで潤っている金持ちの国!というイメージがあるが、国民全員が金持ちなわけではない。サウジでは、物乞いもよく見かけた。

例えばジェッダにあるイエメン・マーケット。イエメン人が多く住む地区らしいのだが、マーケットを歩いていると、次から次へと女の物乞いがやってくる。

まさかオイルマネーの国で、物乞いにたかられるとは。


イエメンマーケットの入り口付近

その様子を見ていたおっさんに、「もういいだろ。これ以上先には行くな」と忠告される始末である。何か、見てはいけないものを見てしまったような気がした。

歓迎されていない。横浜の寿町や、大阪の飛田新地のような気軽に足を踏みいてれてはいけない、ピリッとした空気を感じた。

治安以外で気をつけるべきこと

違う国に行けば、違うルールがあるというこを肝に銘じておきたい。特にサウジアラビアは、厳格なイスラーム教の国である。ドバイのように甘くない。

原則、サウジではお酒は一切NG。国内で飲むこともできなければ、持ち込みも禁止されている。

服装にも注意したい。女性はスカーフや民族衣装のアバヤを着なくてもOKということだが、何を着てもOKということではない。

2019年にはEDMのフェスで、「不適切な服装をしている」ことを理由に200人近くの男女が逮捕されている。体の線が出るようなタイトな服を着ていたらしい。

他国であれば、水着やキャミソールを着てEDMフェスに参加する女性がいるものだが、同じことをサウジでやるのは、ご法度なのである。

日本人からすれば「フツー」の格好でも、ちょっかいを出せる相手という風に捉える人もいる。

サウジ出張から戻った同僚の英国女子は、「サウジ男性は、誰も私と目を合わせてくれなくて、透明人間になったかと思ったわよう」などといっていた。

どうやら彼女は、アバヤを着ておらず、金髪の外国人女子を直視するのが、サウジ男子にとってははばかられたのだろう。

よって、タクシーに乗るときは、助手席は避ける。不用意に距離をつめない。なるべく見知らぬ男性と二人きりになるような空間を避ける。といったことは肝に命じておきたい。

日本の感覚を持ち込むと、ついつい異文化の落とし穴にはまってしまう。そうならないためにも、イスラーム教やそもそも社会の前提が違う!ということは、知っておいて損はないだろう。

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イエメン国境付近は近寄るべからず

サウジの国土は広い。なんと日本の5.7倍もある。北は、イラクやヨルダンと国境を接し、南はイエメンと国境を接している。

とりわけイエメンに関しては、退避勧告が出ている。外務省もサウジとイエメンの国境付近に関しては、渡航を控えるべきとしている。

2019年6月に、イエメンの反政府組織フーシが、アブハ空港をミサイル攻撃する事件が起こった。この攻撃で26人が負傷したという。

私がサウジアラビアのアブハを訪れて、1年も立たないうちのことである。私がアブハに行った時、同じ空港を利用したので、この事件を聞いた時はちょっと青ざめた。

確かにイエメンっぽい雰囲気はあるのだが、それだけイエメンに近く、攻撃の射程範囲にも入るということを改めて認識した。

さらに9月に入ってからは、サウジアラビアの石油施設が爆破されるという事件も起こった。フーシが犯行声明を出しているが、実際にだれがやったのかはまだ明らかになっていない。

観光が解禁になったは喜ばしいが、一方でイエメン反政府組織からの脅威があるということも、覚えておきたい。

おすすめの本

そもそもなぜサウジとイランは争っているのか?サウジとイエメンが対立しているのはなぜか?そんなよわかりづらい中東情勢をわかりやすく教えてくれるのが、この本。

サウジは、まともな国ではなく、”国もどき”などとディスったりするあたり、国際政治学者でありながらも、ユーモラスにあふれている。

サウジ旅行前に役立つ本

サウジに関する旅行本は、これというものがない。治安に問題があるわけではなく、観光客を大々的に受け入れてこなかったためだ。紹介したところで、観光客はこれないしねえ・・・という時代だったのだ。

そんな中、現時点である程度まとまった情報が得られるのが「地球の歩き方」。国土が広いサウジの主な観光スポットを網羅している。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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