イスラム教に改宗する前に知っておきたかったこと

〇〇をする前に知っておきたかったこと、よく聞くフレーズだ。起業する前に知っておきたかった、20歳のときに知っておきたかったこと・・・等である。

イスラム教に改宗するということは、すでにイスラム教に熟知しており、納得した上で改宗をするわけだ。漏れがあるはずがない。だから、上記のような命題は一般的には成り立たない。

おそらく後にも先にも、何も考えず流れでイスラム教徒になる人間なんて私ぐらいだろう。若気の至りでした!といってもむしろ私の愚劣さを助長するだけである。

これを読んで、ああ私も!という人はいないと願いたい。

イスラム教徒は原則やめられない!やめたら死刑!

イスラム教に改宗してまだ1ヶ月頃のこと。イスラームについて調べようとしていたら、なぜかついはずみでイスラム教の棄教に関するページに飛んでいた。断じて改宗ほやほやの人間が、すでにイスラム教徒を辞めようと考えていたわけではない。

しかし気になる記述があったので、つい読んでしまった。そこには衝撃の事実が平然とかかれていた。

イスラム教は基本「棄教」を認めず、イスラーム法上では「棄教者」は原則死刑とされる。ただし、信仰が薄くなるケースは認められる。

ひえ!?

「イスラム教徒やめますわ」とか言ったら死刑になるの?イスラム教徒になったら死ぬまでイスラム教徒なの!?軽くパニックに陥った。というか改宗する前に何で誰も教えてくれなかったんだ。

軽度の怒りの矛先は、改宗の儀式に立ち会ってくれたムスリム書生に向かった。しかし、考えてみればこれから改宗しようとする人間に「やめる場合」の話をするのは違和感がある。自身が熱心なイスラム教徒であれば「やめる場合」など考えもしないだろう。よって、ムスリム書生に「棄教のルール」を伝える責任はなかったと言え、ムスリム書生は無罪である。

正直に言えば、「イスラム教徒」ではなく、何かをやめてはならない、つまり永続性を求める点が私にとっては重荷だった。

変化を好物とし、変化がなければ生きていけない人間である。仕事も家も人間関係も数年おきに変わっている人間である。そんな人間にとって、一生「何かでいる」というのは大変な難儀なのだ。

しかしなってしまった以上はもうやるしかないのだ。こうなったら何が何でも立派なイスラム教徒になるしかねえ!

アラビア語が必修科目

イスラム教の聖典は「クルアーン」である。そしてアラビア語だけで書かれたものだけが「クルアーン」であり、その他の言語で書かれたものはあくまで「解説書」としか見なされない。聖典ではないのだ。

キリスト教の聖書であれば、英語や日本語で書かれたものも「聖書」である。しかしイスラームでは、神の言語、アラビア語で書かれたものが全てである。

別の言語に翻訳すると言葉の意味が変わる恐れがあるので、それはもはや神の言葉ではないということである。

つまりどういうことか。

アラビア語なくして、イスラム教は理解できないのである。さらに礼拝中も祈りの動作だけかと思いきや、アラビア語で祈りを唱えなければいけないという事実も発覚。アラビア語なくして礼拝は完結せず!

それは私にとって何を意味するかというと、「アラビア語を勉強せよ」ということである。

そんな話は聞いてねえ!大学で出席すれば単位が楽に取れる授業かと思いきや、いざ授業をとってみて毎回レポート課題を出さないとダメ!と宣告された大学生の気分である。

ちっ。なんて融通が利かない宗教なんだ!と文句垂れながら「クルアーン」を開きつつ、アラビア語の勉強を始めようかと思うこの頃である。イスラム教徒になるのがこんなにハードルが高かったとは・・・クリスチャンになる方がよっぽど楽チンである。

こうしたことは、非アラブ人のムスリムであれば必ずぶつかりそうな壁である。しかし、なぜかイスラム教を紹介するサイトやパンフに、「アラビア語が必須です」とは書かれていない。

私のような人間を今後出さないためにも、声を大にして書いておくべきだろう。イスラム教徒になりたいのなら、「アラビア語が必須」ですと。そして、基本やめられませんよ、と。

マンガでゆるく読めるイスラーム

普通の日本人がムスリム女性と暮らしてみたらどうなる?「次にくるマンガ大賞」や「このマンガがすごい!」などでも取り上げられた話題のフィクション漫画「サトコとナダ」。

 

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ハサン中田考のマンガでわかるイスラーム入門
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サイゾー

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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