ニューヨークのブルックリンにある拘置所レベルに狭いホテルで、目を覚まし、テレビをつけると、Breaking Newsの文字が飛び込んだ。
アメリカ・イスラエルがイランを攻撃
ああ、こうやっていきなり戦争って始まるんだ、とただ呆けた。その後、瞬く間に湾岸諸国への攻撃も始まった。
イランがUAEも攻撃・・・?
にわかには信じられなかった。どうしちまったんだ、イラン。なぜなら、イランにとってUAEは中国に次ぐ主要な貿易取引先である。ドバイからは飛行機で最短30分でホルムズ海峡にある、ゲシェム島に行けることができる。ペルシャの国でありながら、アラブの影響も感じられる島である。観光地にもなっているドバイクリークには、イランからのダウ船が停まっているのをよく目にした。
友達をいきなり刺すようなもんじゃないか・・・
そしてエミレーツもカタール航空も便数が減り、中東のハブが混乱に陥った。人気の休暇先が一転、危険地帯と呼ばれるようになるのだから、世の中何が起こるかわからない。ドバイやカタール、バーレーンなども含め、安全を売りにしていた国である。ところが今は、その絶対神話が崩壊してしまった。
ただ当事者は国によってそれぞれのようで。イスラエルにいる取引先は、「シェルターから仕事してるから、連絡が遅れるかも」(イスラエルにはミサイル攻撃から避難するためのシェルターが家にある)という。その後、ほとんど連絡が来てないが、大丈夫だろうか。一方でドバイにいる取引先は、特に気にすることなく平常運転を続けている。
UAEやカタールは、国の規模からすれば、非常に小さい。けれども、中東のハブと呼ばれるだけあって、機能しなくなると世界にどれだけ影響が出るかがよくわかる。皮肉にもこの一件で、ドバイの”偉大さ”を個人的に実感するようになった。
ファイナンシャルタイムス紙によれば、UAE国外にいる富豪たちがこぞってプライベートジェットを飛ばして、ドバイに”戻ろう”としていると報じられていた。年間のうち一定の日数国内にいなければ、居住者として認められない。ドバイでは個人への所得税はかからないし、法人税も欧米諸国に比べれば断然低い。要は、節税対策である。富豪にとっては、プライベートジェットを飛ばす方が、税金を払うよりも安く済むのである。とんだ世界だ。
一方の私は富豪からは程遠いが、改めてドバイの唯一無二の良さを感じて、また戻りたいなとすら思っている。このご時世にも関わらず。ドイツに住んでそうした思いを抱えるようになった。
その良さとは、新しい国かつトップダウンなので、何事も効率的で政治決断が早いということ。そして世界へのアクセスがしやすいということ。さらには、ドバイでは外国人率が90%越えなので、外国人を受け入れる体制や社会システムが整っていることである。そして幻想かどうかはともかく、”未来”を見せてくれる国なのである。
簡単に言えば、ドバイは金や能力があれば、大概の人間を受け入れるのである。ゆえに節操がないとか、怪しい場所と思われがちなところもある。けれどもドバイはこれまでに世界中からそうした人々を受け入れて、発展した国である。現状、世界でドバイに代わる場所はないように思う。
直近ではドバイへの往来は減るかもしれない。けれども、ドバイはまた蘇るだろうと過去を振り返っても思う。2008年の金融危機、ドバイに金がなさすぎてアブダビに泣きついたこともあった。コロナ禍を経て、ドバイ万博や長期滞在ビザの多様化で、再びドバイに人が集まった。変なのも紛れていたが。というわけで、ドバイの代替案がない以上、またドバイは復活するだろうというのが私の予測である。
最後に、メディアでは石油価格など経済に影響を及ぼす地域が取り上げられがちだが、実際の被害で言うとイランやレバノンの方が甚大だ。ドバイやカタールの死者はわずかだが、大きく取り上げられている。かくいう私もドバイのことばかり書いているが、こうした時に限って、中東にいない自分を悔しく思う。レバノン、イスラエル、イラン、バーレーン、サウジ色んな国で、人々に優しくしてもらった。そうした人々に何もできない自分を不甲斐なく思うのである。
レバノンってどこ?知られざる美しき街とは
定番からディープな場所まで!バーレーンのおすすめ観光スポット8選
ドバイからたった30分!ビザなしで行けるイランのゲシュム島へ
ホルムズ海峡の奇島。7色に染まる不思議なレインボー島の正体
衝撃の自虐祭り。検索してはいけないワード「アーシューラー」とは?
イランのナマック塩湖で見た幻想的世界とカヴィール砂漠の魔力
知られざる美しきイラン。バラの香りに誘われ対岸へ【前編】