華麗なる逃亡劇をへて、ゴーン氏が逃れた場所、レバノンが注目されている。そもそもレバノンってどんなとこなの?レバノン人ってどんな人?ゴーン氏が住んでいた場所って?
そんな疑問にお答え。
そもそもレバノンってどこ?
地中海に面した中東地域にあるのが、レバノン。日本からは直行便は出ておらず、トルコやカタール、ドバイなどを乗り継いで18時間以上はかかる。
レバノンの国土は、岐阜県ほどしかなく小さい
日本人にはあまり馴染みのない場所だが、ヨーロッパからは、バカンスで訪れる観光客が多い。夏はビーチ。冬はスキー。そして、ワインやオリーブといった豊かな食材でも知られる。
とりわけレバノン料理は中東の中でも、かなり洗練されていることで知られる。中東のゴディバとも言われる、高級チョコレート「パッチ」もレバノン発である。
レバノンは、隠れたおしゃれリゾート地といっても過言ではないだろう。
おシャンティな街ベイルート
レバノンは中東地域にあるので、テロとか怖そうだというイメージがある。1975年から15年におよぶ内戦が勃発したレバノン。街中には、内戦の傷跡が残る建物も点在する。
一方で、復興も進んでおり、真新しい高層ビルや、美しい街並みは健在だ。
内戦の歴史を伝える博物館として残された当時の建物。「ベイルートの家」と呼ばれている。
ヨーロッパを思わせるようなベイルートのカフェ風景。
変わったデザインの高層ビルが立ち並ぶ。
そして街を行き交う人も、おシャンティである。ヤングからばあさん、じいさんにいたるまで、とにかくオシャレに気を使っている。
そのおしゃれ度は、日本でいうなら青山ぐらいだろうか。よって、ベイルートを歩く時は、そこそこ身なりに気を使わなければならない。
間違っても、どうでもいいジャージなどで歩くことは、はばかられる場所である。
夜になると、バーや飲み屋が連なる通りでは、道にあふれんばかりの人々で賑わう。ベイルートは、ナイトライフでも有名な場所。
レバノン全体で見れば、キリスト教やイスラーム教を含め、18の宗派が存在し、「モザイク国家」などとも呼ばれる。
現在、レバノンはイスラーム教徒が6割近くを占めるが、ベイルートはクリスチャンが多いエリアもある。それゆえ街中にはいたる所に、街角マリアさまや、その愉快な仲間たちが出没する。
街角に出没するマリアさま。
かつて、クリスチャンはレバノン人口の多数を占めていた。しかし、内戦により多くのキリスト教徒が国外へ逃げたことや、国内のイスラーム教徒たちの高い出生率により、その比率は逆転。今ではイスラーム教徒が多数派を占めるようになった。
ゴーン氏の住まいは?
ゴーン氏の住まいがあるアシュラフィ地区は、ベイルートの中でも高級住宅地で、古くから残るエリアとして知られる。
アシュラフィ地区にあるスルソーク博物館(写真はWikipediaより引用)。ゴーン氏の家ではない。
観光客にはよく知られるスポットや、ストリートアート、高級ブランド店などが入ったABCモールなんかがある。
レバノン人ってどんな人?
レバノンは、他の中東諸国とは違う雰囲気をかもし出している。特にベイルートの人はなおさらだ。
公用語はアラビア語だが、フランスの統治下だった名残で、フランス語も広く使われている。
ゆえに、フランス語を話すレバノン人はアラブ人というよりも、どこかフランス人風を吹かせている。
これはレバノン人に限らず、モロッコ人もそうである。フランス語を話すことで、フランス人ぶるのである。
「私たちはフランス語を話して、他のアラブ人とは格が違うのよ」という自負さえもっているようだ。
内戦が起こる前のベイルートは、中東において金融やビジネスの中心地として栄えていた。
今や、その地位はバーレーン、ドバイへと移り変わってしまったが、レバノン人たちは、いまだにそうした自負を持っている。
内戦の影響で、多くのレバノン人が国外に住んでいる。戦争で祖国を追われたというハングリー精神ゆえか、非常に野心的と見えたる。
ゆえに、世界各地にビジネスで成功しているレバノン人がいる。
けれども、実際に多くのレバノン人と働いて思ったのは、野心的すぎて一緒に働きづらい・・・ということである。これは、私だけでなく他の国の人々も口にしている。
また、彼らはコネを大事にする。「ワスタ」と呼ばれるもの。これはレバノン人だけに限らず、アラブ人にも共通する。
会社で仕事を得るときなんかは、能力や経験よりも、このワスタが力を発揮するのだ。
レバノン人が多い会社で働いていた時は、このワスタの力を見せつけられたものである。
いずれにしろ、レバノンは中東の中でも魅力的な地域であることには、間違いない。
もっとレバノンを知るなら
今やレバノンと言えばカルロス・ゴーンで有名になったが、他にも日本で生活するレバノン人はいる。そのうちの1人が、能楽師の妻となったレバノン人女性だ。この女性の姉も、日本人男性と結婚して、日本で生活しているというのだから驚きである。そんな能楽師という伝統的な業界、そして日本での生活についてレバノン人目線で語る。