新型コロナウィルスが発生してから、私はサウジアラビア、エチオピア、ソマリランドといった国を転々としている。
これまでブログにアップしている記事とはかなり時差があるのだが、この辺については順次アップしていく予定なので、時空の歪みはとりあえずスルーしていただきたい。
中東やアフリカのコロナウイルス対応
日本にいれば、マスクをしてみなさん気を付けましょう、というレベルであるが、これが国外にいると周りの反応がかなり違う。
私が訪れた国は、アジア人が少ない。中国人だろうが、日本人だろうが、韓国人だろうが、とにかく中国人とひとくくりにされるわけである。
いかに正真正銘の日本人だろうが、もう見た目が中国人なので、中国人なのである。そんなわけで、見た目中国人として実際に体験したことをお伝え。
世界中にウイルスが広まっているとはいえ、UAEやエジプトをのぞけば、中東アフリカでは、感染者はほとんど出ていない。
空港だとマスクをしている職員が、圧倒的に多いのだが、乗客や街中の人にいたっては、マスクをしていないのが現状である。
けれども、マスクをしていないからといって、コロナウイルスに無関心というわけではない。
コロナウイルスに関しては、連日ローカルテレビでガンガン放送されているようで、スマホを持っていない人が多いエチオピアの辺境でさえも、コロナの認知率はかなり高かった。
無知から出た差別
悲しいのはここからである。理想としては、「コロナが流行っているのか、そうなのね」と、お上品にスルーしてくれればいいものの、中には遠慮なく、ぶっこんでくる輩もいた。
サウジアラビアのジェッダ空港では、2人組の男がこちらをちらりとみやり、
「コロナじゃん!笑」
と、うちはなったのである。
げっ!
その時、私ははっきりと理解したのである。世界が私をどうみているか、と。
確かに、それまで私は自分のことを日本人だと思っていた。が、アジアを遠く離れてみれば、自分はもはや中国人なのだと。
ちなみに、無礼を放ったのは、ローカルのサウジ人ではなく、インドやパキスタンからの外国人労働者と見られる男たちである。
さらに、エチオピアの辺境でのこと。こういう場所はデフォルトで、「チャイナ!」の嵐である。
それに、コロナウイルスが加わると・・・
「チャイナ!コロナ!」
に変化するのである。日本人だと分かる前には、オーバーリアクションで、あからさまにウイルスを避けるような仕草をしてくる輩もいた。
もはやクレヨンしんちゃん100人分よりもウザい。そのウザさに、普段は仏の私も「じゃかしいわ、ボケ!!!」という言葉が、のどまで何度かでかかった。
日本人と分かれば、安心する輩が大勢だったが、その辺に関して彼らの脇は甘い。
コロナウイルス=中国人というイメージが定着しているが、日本は中国についで第2位の感染者数を出しているのである。
見た目中国人というだけで審査対象に
決定的だったのが、ソマリランド空港のことである。空港に着いて、入国審査に並ぼうと思った時。
「おめえ、ちょっとこっちこい」
マスク姿の係員が、声をかけてくる。その後ろには、コロナウイルス対策ブースが設けられていた。空港はみすぼらしいが、ウイルス対策に関しては、やる気マンマンである。
ひえっ!?
あからさまに、疑われている。
声をかけられたのは、私一人である。他にも、外国人はいるのに、彼らはノータッチである。見た目だけやる気マンマンのやつは、こういうところが困る。
「おめえは、どこのもんや」
「日本や」
「いくつか質問するさかい、正直に答えなはれ」
有無も言わさずに、咳や熱の症状はあるのかなど、基本的な質問をされる。
「ここ最近、中国にいったか?」
「人生で一度もいったことはねい」
「おめえが、日本人だと信ずる証拠は?」
パスポートを渡して、なんとかその場を解放された。しかし、コロナウイルス対策とはいえ、嫌な職質である。
チェックするなら、見た目中国人だけでなく、すべての人間に対してするべきなのだ。
見た目中国人でも、中国に足を踏み入れていない人間もいれば、見た目ヨーロピアンだろうが、アフリカンだろうが、中国に行っている人だっているのだから。
後日、先日中国から帰ってきたという、ソマリ人に遭遇した。こういう人間こそ、チェックすべきだろう。
世界はどうもコロナウイルス=中国人、という観念に囚われすぎているような気がする。
見た目中国人だからと言って皆が、「うぇーい、コロナ!」という反応を見せるわけではない。
ここで挙げた例は、私がすれ違った多くの人の中の、ごく一部のケースだ。5,000人中、80人ぐらいのケースである。
中には自ら進んで、見た目中国人である私の隣に座る、アメリカ人カップルなどもいた。コロナ怖くないのか・・・?
アフリカや中東という場所柄なのか、アラブ人やヨーロッパ人たちは、マスクもしていないし、それほど気にしていないようでもあった。
もしかしたら、心の中では「ぎゃっ!コロナ!」と思っていたかもしれないが、それを表に出さないのが、品性というものである。