ラマダン中のドバイ観光ガイド。時期は?過ごし方は?

日本人には馴染みのないラマダン。

そんなラマダンとやらの時期に、ドバイに行くことはありなのだろうか?行くとしたら気をつけるべきことはあるのか?それともやめといた方がいい?

そんな疑問にお答え。

2024年ドバイのラマダンはいつ?

2024年のラマダンは、3月から始まる予定。ちょうどドバイが暑い夏を迎える頃だ。

”予定”というのは、ラマダンが実際に決定するのは、少なくとも開始日の1~2日前だからである。なので、開始日は前後する可能性がある。

新月観測委員会なる人々が、肉眼で月の動きを観察してはじめて、ラマダンの時期が決まる。

このご時世に、月を肉眼で見て大事な祭日を決めるのはいかなることか、とツッコミたくなるが、それが習慣なのだ。

ラマダンとは?

ラマダンとはイスラーム暦の9番目の月のこと。イスラム教徒の5大義務、喜捨(ザカート)、礼拝(サラート)、信仰告白(シャハーダ)、巡礼(ハッジ)、断食(サウム)のうちの一つである。

「断食」と訳されている「サウム」は、もともと「慎み避けること」を意味する。ラマダンといえば、飲まない食わないというイメージが強い。けれどもそれだけではない。ラマダン中は、性行為や喫煙なども禁じられている。

ムスリムたちいわく、ラマダンは聖なる月らしい。同僚のムスリムに「ラマダンを前にして、今の心境はいかがですか?」と聞いたところ、「心の準備は万端。神聖な気持ちだよ」という。

飲まず食わずでさぞかしい辛い思いをしているのだろう、と思いきやそうでもないらしい。

ラマダン明けの「イード」は、日本でいうお正月みたいなもので、親戚が集まり、こどもたちはお小遣いをもらったりする。

ラマダンになるとドバイは一変・・・

前述した通り、ラマダンは慎む月である。多国籍な都市であるドバイもラマダン中だけは、イスラーム色が濃くなる。

ドバイのパリピたちも、いつもはパーティやらバーで酒を飲み、踊り狂っていたとしても、この時ばかりはムスリムたちに気を使う。

街中のカフェやレストランは、日中は閉まっていることが多い。たまに開いていたとしても、ムスリムたちに配慮して、間仕切りで「食べてません!飲んでません!」アピールをする。徹底して食べ物や飲み物を公共の場から隠すのだ。

ラマダン中のドバイ飲食店閉まる
ドバイモールにある飲食店も日中は、営業停止になるだけでなく、黒幕で隠蔽されている

公共の場といえば、タバコもNGである。普段はその辺で路上喫煙万歳!と言わんばかりにプカプカやっている人が多いが、そうした人もラマダン中には一切いなくなる。ラマダン時期専用の喫煙者スペースが作られ、そこでしか吸えなくなるのだ。

そのほか、「慎みましょう」シリーズで言うと、露出が多い格好もNG。

普段から、男女が公共の場でいちゃつくのは禁止されているが、聖なる月にはそれがより強化される。過去にはビーチでキスをしていた外国人が逮捕された例もある。

ラマダン中のドバイモール
ラマダン仕様にデコレーションされたドバイモール

ドバイのラマダン
ラマダン仕様にデコられているスワロフスキー

一方で街はラマダン一色に。ホテルやショッピングモールはラマダンを祝うデコレーションであふれかえる。やはりイスラム教徒たちにとっては、日本でいう正月のような祭りなのだ。

観光への影響は?

ラマダン中とはいえ、異教徒が断食をする必要はない。けれども、イスラーム圏であれば街全体が「ラマダン」の雰囲気に包まれるので、異教徒もそれなりに気を使わなければいけない。

ドバイにおいては、ラマダン中に異教徒が飲み食いしても逮捕されないが、やはり公共の場でおおっぴらに飲食をするのは避けるべきだろう。

空気を読む達人の日本人であれば、すぐにその「ラマダンの空気」というものを察知できるので、問題はないと思うが。

いつもは各々みなやりたい放題にしているのに、ラマダン期間中だけは公共の場で飲食する人がピタッといなくなるのだ。

断食は強制されないが、それでも断食の「影響」は受ける。特にラマダンが暑い時期に行われた場合は、観光客も公共の場で水分補給などがしづらいといったプレッシャーがある。

日本人にとっては、酒を飲める場が減るのが結構きついかもしれない。普段はランチタイムからお酒が飲めるレストランでも、ラマダン中は飲めない。

店によってはラマダン中は一切お酒を提供しない店や、遅い時間帯から提供する店がある。このように店によって事情は異なるので、お酒をあてにレストランに行く場合は、事前に電話で確認をしたほうがいいだろう。

スーパーマーケットやモールは、いつも通り営業をしているものの、人気が少なくなる。ムスリムたちは体力温存のために家に引きこもっているので、活気がなくなるのだ。

さらに観光スポットやレストランもラマダン中は、営業時間が変更することもあるのであらかじめチェックしておいたほうがいい。

ラマダン期間限定の楽しみ

酒も昼間から飲めないし、ラマダン中は規制が多くてつまらなそうだな・・・と思われるかもしれない。

確かにラマダンの日中は大型モールでも、郊外にある昼間のイオンより活気がない。

ラマダン前にあれだけいた人は一体どこへ行ったのだろう・・・?というぐらい街全体が静まり返る。昼間だけはゴーストタウンと化すのだ。

けれども、飲食店以外は普通に営業をしているし、常に人であふれているドバイ・モールなどで静かに買い物をするのには絶好のチャンスである。

そのほかにも、ラマダン中だからこそ楽しめるポイントも次にお伝えしておこう。

イスラム教徒が断食をするのは、日の出前から日没まで。日没となれば、水もOK!ご飯もOK!

飲まず食わずの後の食事は、とびきりうまいに決まっている。そんな断食明けの食事を「イフタール」と呼ぶ。

それに便乗して、高級ホテルのレストランを含めた各所で「イフタール・ブッフェ」が展開される。

ラマダンならではの「おすそわけ精神」で、普段ならば1万円以上はする高級レストランでも、ラマダン中はなんと4,000円から7,000円程度で飲み物付きでお腹いっぱい食べられるのだ。残念ながらこうしたビュッフェにお酒はついていない。

超高級ホテルが半額以下で楽しめるお得なシーズン

ラマダンにドバイを訪れる最大のメリットは、高級ホテルにお得に泊まれることだろう。例えばドバイでトップホテルの1つである、ブルガリ・リゾート・ドバイ。ハイシーズンだと1泊13万円以上はするが、ラマダンだと半額近くの6.5万円ほどで泊まれてしまう。

いわずもがな、超お得なのだ。ラマダン中には、ハイシーズンの高級ホテル1泊料金で、同じレベルのホテルに2~4泊できちゃうのだ。これを逃す手はないだろう。

がっつりと観光やグルメを堪能したいという人であれば、ラマダン中は避けたほうがいいかもしれない。けれども、のんびり人気のないドバイで優雅な休暇をお得に過ごすのには最適だろう。

ラマダン時期にしか見れない光景

ラマダンのドバイだからこそ見ることができる光景もある。特にデイラ地区や街中のモスクに行くと、断食明けの食事、イフタールを無償で提供している場所が多くある。


イフタールを前に断食明けの合図をじっと待つ人々

断食明けの合図が始まると一斉にムスリムたちが、水やらデーツ(なつめやし)を口に入れる。その光景は圧巻だ。

ラマダン中だからこそ見れるものだろう。さらに異教徒も飛び入り参加OK。ラマダン中は誰もがおこぼれに預かれるチャンスでもあるのだ。

ラマダン中のドバイ観光を楽しめる人VS楽しめない人

ラマダン限定のドバイ観光の目玉を紹介してきたが、ラマダン中のドバイ観光を楽しめるかそうでないかは人によって大きく異なると思う。

楽しめる理由

  • ゴージャスな高級ホテルに安く泊まれる
  • 高級レストランでお得に食事ができる
  • 人が少ないモールで思う存分買い物ができる
  • ラマダンならではのドバイを楽しむことができる
  • イスラームの文化を知るよい機会

楽しめない理由

  • お酒がほとんど飲めない。もしくは飲める場所を探すのに苦労する
  • おおっぴらに公共の場で飲み食いできるのが19時過ぎ
  • 暑くても公共の場で水分補給をするのが気がひける
  • イフタール・ビュッフェに一人では入りづらい(一人で食事する人は結構大変)
  • 人気が少なくて、ショッピング・モールでも買い物にあまり熱が入らない
  • 外でランチするときに選択肢が少ない

ラマダン中は夜になると、皆活発に動き出す。

そのため、昼間はまるでゴーストタウンのように眠っていた街も、夜になるとパッと明るくなる。

モールは夜になると混みだすし、ラマダン時期限定のラマダンマーケット(青空マーケットの夜版みたいなもの)なども開かれる。そうしたギャップが楽しめるのもこの時期ならではだろう。

夜型の人であれば存分に楽しめるが、夜は早めに寝たいという人にとっては、お楽しみの時間が少なくなるとも言える。

ちなみにラマダンのセールは、ラマダン中常時やっているわけではない。あくまでもラマダン前、もしくはラマダン明けのイードあたりにスポットでやってくるのが恒例だ。

ドバイで何を楽しみたいか。それによって、ラマダン中にドバイに行くべき人、行かない方がいい人に分かれるだろう。

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20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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