パキスタン旅行をする前に知っておきたいこと。ビザ、治安、女性の一人旅など

この記事は1万文字近くにおよぶ。なぜか。パキスタン自体に関する情報が少ない上、他の国とは違ったシステムが満載だからである。だから、ついつい細かく書いてしまう。

それは、英語で書かれている他の旅行者のブログを見ても同じような傾向が見られる。やたらとパキスタン旅に関する記事だけが長いのである。

実際にパキスタンを旅してみて、それがしみじみとわかる。こんだけツッコミ満載だと、記事も長くなるよなあ・・・と。

単純にシステムが違う、旅がしにくいというだけではない。同時に、知られていない魅力もたくさんある。だからこそ、もっと多くの人にパキスタンという国を知ってもらうため、できる限りの体験を文章にして書くのだろう。

パキスタン旅は楽ではないが、それと同じぐらい他の国では得られない何かがある。

ビザ取得

以前は観光ビザの取得が難しかったパキスタンだが、現在は政府のポータルサイトからe-Visaを申請するだけ。観光ビザの場合は、シングルエントリーで3ヶ月間有効。料金は8ドル。申請からビザ取得までには、早くて数日だが1週間ぐらいをめどにみておきたい。

申請する前には以下の書類をそろえておく。

・パスポートコピー
・パスポートサイズの顔写真
・ホテルの予約証明
・招待状(LOI)

ネックになるのが招待状である。通称LOILetter of invitation)とも呼ばれ、パキスタン国内から正式に招待されてますよ~という体の書類である。ツアー会社に依頼すれば、簡単に発行してもらえる。ツアーを通さない場合は、Backpacking PakistanといったフェイスブックグループでLOIを発行してくれる人を探すのもあり。

ちなみに登山目的で行く場合には、山にもよるが観光ビザではなくトレッキングビザを申請する必要がある。

ビザ申請に際して、最寄りの大使館を選ぶ項目がある。日本国外から申請する場合でも、日本を選択しておくとスムーズ。下手に海外を選ぶと、居住証や運転免許証など追加の書類を提出しなければいけないからである。

観光シーズン

日本国土の2倍もあるパキスタン。同じ日でも、南部のカラチは40度の猛暑、北部の山岳地帯はマイナス20度近くにもなる。その温度差は約60度。同じ国でありながら、場所によって気候が大きく異なる。

北部エリア(フンザ、チトラル、ギルギットなど)

フンザを訪れるなら、3月下旬から4月中旬がベスト。あんずや桃の花が咲き誇り、桃源郷の景色を見ようと、国内外から多くの観光客が訪れる。一方で9月下旬から10月中旬にかけての紅葉の季節も見ごたえがある。

フンザ
7,000メートル級の山々が連なるカラコラム山脈

パキスタン北部パンダール_ポロ
北部パンダールでのポロの試合

中南部エリア(ラホール、カラチ、モヘンジョ・ダロ、イスラマバード)

北部エリアがベストシーズンを迎える頃、中南部エリアの温度は40度近くにも上るため、観光には適さない。11月から2月にかけての冬季が比較的過ごしやすく、観光にはベスト。特にカラチやラホールは、45月が最も気温が上るため避けるべし。

パキスタン_ウチュシャリフ
13~14世紀の廟建築が残るパンジャーブ州のウチュ・シャリフ

ペシャワールの街並み
ペシャワールの裏路地

国土が広いパキスタンを一度に見ようと思ったら、なかなか難しいのである。というわけで、北部も南部も見ておきたいという場合は、個人的には10月もしくは3月がオススメ。10月、3月であれば中南部エリアでは気温はやや高くなるものの、ギリ観光はできるレベルである。また北部だと3月は花の開花シーズン、10月は紅葉のシーズンにもかぶる。

ラマダン

いわゆる断食月。この時期には、飲食店も含め多くの店が日中には店を閉める。一部の観光スポットなども営業時間帯を変更することもある。

イスラーム教徒以外は断食する必要はないが、町の体制や多くの人々が断食モードになるので、少なからず影響を受ける。日中にレストランで食事ができなかったり、人前で飲食するのがはばかられるのである。

スムーズな観光を望むのであれば、ラマダンは避けた方がいい。ただし、ラマダンならではの風物詩もあり、それはそれで楽しい。パキスタンのカルチャーなどに興味があれば、ラマダン時期を訪れるのもアリだろう。

治安

パキスタン旅行をするのは危険か安全か。パキスタンの治安を一言で表すことはできない。なぜなら地域や訪れる場所によって治安がかなり違うからだ。

ギルギットやフンザなどの北部主要都市やイスラマバード、ラホール、カラチは外国人が比較的自由に旅行できると言われている。

一方で、治安が極端に悪い地域もある。カシミールに加え、外国人の誘拐事件が多発しているバローチスターン州、インドとの国境周辺、アフガニスタンとの国境に近いペシャワール以北にある部族地域は事実上の無法地帯になっている。エリアごとの治安は、外務省のHPで確認すべし。

またその中間もある。パンジャーブ州にあるムルタンでは、観光するには警察の護衛をつけなければいけない。その他にも警察の護衛や、立ち入るのに事前に許可が必要な場所などもある。このように外国人観光客を守るための、過度な警察の介入にもパキスタンでは出くわす。

パキスタン警察の護衛
警察の護衛車両が前を先導している。

パキスタン軍の一掃作戦により、国内でのテロ事件は減っている。とはいえ、ゼロになったわけではない。特に狙われているのが、シーア派モスク(金曜の正午礼拝が狙われやすい)や聖者廟、また近年では中国人を狙ったテロもカラチ市内で起きている。

身近な軽犯罪にも注意したい。特にカラチやラホールなどの大都市では、バイクの運転手が銃で脅し財布や貴重品を奪う強盗事件が発生している。

治安が悪い地域は避け、基本的に注意しながら行動すれば、必要以上に心配する必要はないだろう。また、可能な限りジモティーのアドバイスを聞いた方がいい。パキスタンでは明文化されていないルールがあったり、システムが常に変わるので、ネットにある情報は限られている上に、古かったりする。

言語

パキスタンの公用語はウルドゥー語と英語。英語も広く通じるが、リキシャー運転手や露店のおっちゃんなどには、あまり通じない。もちろん基本的なウルドゥー語を学ぶことに越したことはないが、英語ができる人に助けを求める(呼ばずとも自然にヘルプでやってくることもある)という方法もある。

お金と物価

パキスタンの通貨はパキスタンルピー(PKR)。コインもあるが基本的に流通しているのは、お札のみ。パキスタンではお金の面で注意しておきたいことがいくつかある。

ATMでの引き出し

国内に多くの銀行があるものの、海外のキャッシュカードが使える銀行はかなり限れられている。よって、お金を下ろせるATMを探すのも一苦労。ATMは銀行の横にあり、入り口に銃を持ったガードマンがいる。

ATMを使う場合には、VISAやマスターカードの目印があるかを確認するべし。海外のカードが使える銀行としては、Allied bankMCBなどがある。Dubai Islamic Bankなど海外展開している銀行でも、使えない場合があるので注意。

現金は多めに所持

またATM1度に下ろせる金額は、私が確認した範囲だと20,000ルピー(約14,000円)までとなっている。食事やホテルであれば安く済ませるが、観光地の入場料やツアー料金などは外国人価格になっているため、現地でツアーを依頼したりすると、一気に現金がなくなる。パキスタンは現金社会のため、ATMで一度に何度か現金を下ろしておくか、ドルを多めに持参して両替しておくなどすると良いだろう。

海外カードが使えない場合も

大きめのスーパーやショップではクレジットカードが使えるが、国内航空券を予約する際には要注意。フラッグシップであるパキスタン航空やSerena Airなどの航空会社ウェブサイトで、海外発行のクレジットカードが使えないという事例も発生している(私自身の経験も含め)。可能であれば、航空会社のオフィスや旅行代理店に依頼した方がよいかもしれない。

小銭を持っておく

100、5010ルピーといった細かいお金を常備しておきたい。観光地のガイドやちょっとした心づけ、物乞い対応など、パキスタンを旅行していると、小銭がどんどこ流出する。物乞いには基本的に10ルピー。観光地のガイドには100ルピー程度が相場。

価格が常に変動

近年、パキスタンではインフレが続いており、物価が上昇している。地球の歩き方やロンプラが出版された10年前と比べると、米ドルに対しルピーの価値は3分の1に下落している。というわけで、古いガイドブックの料金体系はあまりあてにならない。よって最新の為替状況をチェックしておくことをおすすめする。

パキスタンのお金
マフィアとの取引前・・・ではなく、ツアー代約9万円をパキスタンルピーで払ったらこうなった

外国人価格とローカル価格

観光スポットのチケットでは、外国人とローカルかで値段が大きく違う。場所によっては10倍以上の差もあり、往々にして主要観光名所は500~1,000ルピー(約350円~700円)ほどの入場料がかかる。

ちなみにコネ社会であるパキスタンでは、宿の料金なども知人を通した方が安くなったり、通常であれば満室になっているところでも、部屋を貸してくれたりする。いわば決まった料金というのはなく、コネや交渉によって価格は変動する。

SIMカードとネット環境

ネット環境

都市部でのネット環境は比較的よく、4Gが使える。ホテルでもだいたいWi-Fiが使える。一方で、北部のホテルになると、Wi-Fiがあるものの遅すぎて使えないということもよくある。北部でのネット環境はあまり期待しない方が良いだろう。

SIMカード

パキスタン国内にはいくつか通信会社があるが、外国人旅行者の間で評判が良いのがZongである。一方で、Zongはフンザやギルギットなど北部地域はカバーしていない。北部でネットを使うならSCOMを使うべし。同じ国なんだから、1つのSIMで済むようにしてほしいのだが、こればっかりはなんとも言えない。

またSIMカードの取得も少々やっかいである。外国人旅行者の場合は、フランチャイズと呼ばれる特定の支店に出向かねばならない。取得には、パスポートと観光ビザの提示(コピーを持っていくと良い)が必要。イスラマバード、カラチ、ラホールといった国際空港にはSIMカードの売り場はない。

一方で現地人の知り合いがいる場合は、もっと簡単に取得できる。現地人の名前でSIMを契約してもらうというやり方なのだが、この場合はフランチャイズに行く必要はなく、近くのSIMショップですぐに購入できる。

今後もパキスタンを訪れる予定がある場合や、3ヶ月以上パキスタンに滞在する場合には、スマホの登録も必要である。これを行わないと、パキスタン通信局によりデバイスがバンされ、パキスタンのSIMカードが使えなくなる(ただし解除する裏技もあり)。

この点については、以下の記事を参考に。ただし、パキスタンでは制度がコロコロ変わるので参考までに。

イスラマバード&フンザでのSIMカード取得について(セカイの歩き方)
https://arukikata-world.com/pakistan-simcard

スマホの登録について(在パキスタン日本大使館)
https://www.pk.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/00_000351.html

パキスタンでのデバイス登録について(SUZUKIKEIKO.COM)
https://suzukikeiko.com/pakistan/information/pta-device-verification-system/

パキスタンでスマホがバンされた場合
https://seiwanishida.com/archives/15641

宿泊

パキスタンでは値段よりも、安全や衛生面を優先させるためにある程度のお金を払うべきだと思う。またホテルを選ぶ際にも、なるべく知人やジモティーにおすすめの場所を聞いた方がいい。

なぜなら、中級ホテルでも予約サイトやネットの写真とリアルがかなり違うことがあるからだ。またレビューもあてにならない。ほとんどが国内旅行者のジモティーによるものであり、ジモティーの満足基準と外国人の基準には大きな差がある。

先進国でいうところの中級ホテルに泊まろうと思ったら、外資系のホテルや5つ星ホテルを選ぶことになる。ただ北部のホテルに関しては、中南部のような高温多湿の気候でないこともあってか、それほど衛生面を気にせずに泊まることができる。


パキスタン南部シンド州のホテル


パキスタンのホテルでは一般的にシャワーとトイレがくっついている。写真では綺麗そうに見えるが、実際には虫がいたりする。

また可能ならばジモティーを通して、宿を予約した方がいい。知人を通じた方が、ホテル代が安くなったり、通常ならば空いている部屋はネイ!と言われるところでも、部屋を空けてもらえるからである。パキスタンではシステムではなく、コネを使うべし。

服装

パキスタンはイスラーム教の国の中でも特に保守的と言われる。男女共に短パンやタンクトップなど過度な露出の服装は避けるべし。

女性の場合は、長袖、長ズボン。現地の人がよく来ているサルワール・カミーズを現地購入して着るのもアリ。現地の気候に適した服装なので、快適に過ごすことができる。また、現地人の格好をすることで目立ちにくくなる。中南部を旅行すると、常に人に見られるので覚悟しておくべし。

モスクやヒンドゥー教寺院へ入る時には、女性はスカーフで髪を隠す必要がある。といっても、パキスタンのムスリム女性は、ムスリムであっても髪をさらしている人が多い。なので髪の毛を常に隠す必要はない。

短パンを履いている男性の外国人観光客を見かけることがある。本人にとっては、なんのことはないだろうが、ジモティーからすれば「うわあ、やってんな」という感じで見られる。お葬式にジーパンでいくようなもんである。

北部へ行く場合には、事情が異なる。特にフンザやギルギットなど標高が高い場所では、日本でいう冬の服装を持っていくべし。4月でも夜には気温がマイナスになることもある。4月だと北部のジモティーは、長袖にダウンやジャケットを羽織っている。一方で、同じ時期のラホールやカラチは、40度近くになるので、地域の天候を考慮した服装選びが重要となる。

衛生

パキスタンという土地柄か、治安面を心配しがちだが、パキスタンでの危険因子といえば衛生面である。パキスタンで病気にならない旅行者はいない!という人もいるほど、衛生面はあまりよろしくない。

特に多いのが、水でお腹を壊すケース。私自身も、パキスタン旅行中の半分は、熱が出たり、謎の腹痛に襲われるなどした(ちなみに普段は全くもって健康体である)。

特に注意したいのが屋台。揚げ物や調理された料理であれば問題ないが、氷や水を使ったフルーツジュースなどはかなり危険(美味しそうに見えるが、飲むとだいたいお腹を壊す)。1ドリンク飲むと、ゲリーが数日以上続く。

水道水は煮沸すれば飲めるが、生水は飲むべからず。ローカルレストランでは、古いペットボトルやピッチャーに入れられた水が出されることもあるが、飲料水は必ずペットボトルのミネラルウォーターを飲むべし。さらにいうならば、水を買うときには、キャップが空いてないことを確認(by ジモティー)。

パキスタンのレストランで出てくる水
ローカルレストランで提供される水は避けるべし

お腹を壊すのは何も外国人だけではない。ジモティーもしばしば謎の腹痛に襲われることがある。この地になれた人でさえ、お腹を壊すのだから、パキスタンの水がいかに恐ろしいかがわかるだろう。

食事

パキスタン料理は、パキスタンの多様性を反映しており、食の種類は豊富である。州によっても味付けが違う。インド料理にも似ているが、イスラーム教の国なので肉類を扱ったメニューが多いのも特徴。逆に言えば、ベジタリアン料理は少ない。

またパキスタン料理はオイリーだという声もよく聞く。サモサ、パコラなどの揚げ物はもちろん、カラヒと呼ばれるカレーに近いものも、オイルがたっぷり使われている。チャパティやロティ、ナンといったパン類やビリヤニやプラオと呼ばれる炊き込みご飯風のものもある。

地域によって多様性がある食事だが、どういうわけかホテルの朝食はどこでもオムレツとパンで、全国で統一されている。

KFC、マック、ドミノピザと行ったファストフードや、イタリアン料理、ステーキハウス、寿司屋などのレストランもある。

中級レストラン以上だと、1食につき1,000~3,000ルピー(600円〜1,800円)。ローカルなレストランだと100~500ルピー(30円〜300円)ほどで食べられる。


ローカルレストランでの食事

チャイ

パキスタンといえばチャイ。紅茶に牛乳を混ぜたミルクティーのようなものである。パキスタンではひたすらチャイに遭遇することになる。休憩時に一杯、食後に一杯、店で一杯、とにかくパキスタン人はチャイを飲む。

パキスタンのチャイと緑茶
左側にあるのがチャイ。右側にあるのが緑茶。

チャイの飲み方にも地域性がある。パンジャーブ州やシンド州では砂糖を入れて飲む。一方でフンザなどの北部の人々は、塩を入れて飲む。またアフガニスタン国境近くのペシャワールの町では、チャイではなく緑茶が出る。緑茶に砂糖を入れる人もいる。

お酒

基本的にパキスタンではお酒は飲めない。ホテルや一部のレストランなら飲めるという、恩赦などもない。ただし、カラチやイスラマバードなどでは外国人向けにお酒を扱う店もある。

移動

メトロや行き先が表示されたバスのような公共交通機関は一部であるものの、網羅している地域は限定的。というわけで以下のような移動手段がメインとなる。

都市間での移動

都市を移動するなら、飛行機が最も早くて手軽。国内線であれば、便数も多い。ただし、遅延やキャンセルも頻繁に起こるのでここは運に任せるしかない。パキスタンには、カラチからラホール、イスラマバード、ペシャワールをつなぐ長距離列車もある。また長距離バスも走っている。ただこれらを利用するのは、パキスタンの中でも中間層以下の人々である。

フンザなどの北部への移動

こちらも最も手軽なのが飛行機である。イスラマバードやラホールとフンザへの最寄りの地となるギルギット、スカルドゥを結ぶフライトがある。イスラマバードとギルギットを飛ぶフライトは便数が少ない上、小型飛行機なので40人程度しか乗れない。よって早めの予約が必要。天候によってキャンセルになることも多いので、スケジュールには余裕を持ちたい。

バスや車で行くこともできるが、イスラマバードからギルギットへは10時間以上かかる。また落石により道がふさがれたり、バスがパンクするなど思わぬアクシデントも発生することもある。北部での移動は何かとトラブルに見舞われることが多い。

イスラマバードから各都市へのアクセスについて(インシャラ)
https://yukizahra.blogspot.com/2018/05/blog-post_23.html

市内での移動

市内の主な移動手段は、リキシャーもしくは配車アプリを使ったタクシーがメインとなる。

リキシャー

短い距離や観光スポットへ行くのに手軽な手段。値段は交渉制だが、気事前にウーバーなどで相場を調べてみると良いだろう。都市部ではすぐにつかまえられるので、納得のいく値段になるまで何台か交渉してみることもできる。

運転手が細かいお釣りを持っていないケースもあるので、事前にお釣りがあるか確認した方が良い。目安としては、10分程度の距離で100~200ルピーほど。ただしジモティー価格であればもっと安く済むだろう。

タクシー

ラホールやイスラマバードなどの都市を移動する際には便利。パキスタンではウーバー、カリームが使えるが、個人的にはカリームの方がおすすめ。

タクシーアプリは、行きたい場所に確実に行けるので便利だが、他の国と同じようなクオリティを期待しない方がいい。クレジットカード払いを選んでも「現金で払いにしてほしい」とか、目的地を選んでいるのに「場所はどこ?電話してくれ」だとか、依頼してもまったく動く気配がない(あえてこちらがキャンセルするのを待っている)など、ドライバーの質はあまり高くない。

空港から市内への移動

空港から市内へ向かう公共の交通機関はなく、タクシーアプリ(カリーム、ウーバー)を使うか、タクシー会社に手配してもらうかになる。イスラマバード、ラホール、カラチのいずれにしても、市内へは40分〜1時間程度かかる。料金の目安としては1,000~1,500ルピーほど(約700円〜1,350円)。

旅の情報収集

パキスタンの旅行情報は少ない。これは日本語だけでなく英語でも言える。

日本語でのまとまった情報といえば、2008年度版の地球の歩き方がある。写真付きで読みやすいのが特徴だが、網羅していない観光名所なども多くあったり、情報が大雑把だったりもするので実用的ではないが、参考程度にはなる。ロンプラに関しても同じくで、当時の価格やホテル、レストランなどの情報は古いものばかりだが、国に関しての情報は丁寧にまとまっている。

観光スポットや見どころを日本語で調べるなら、西遊旅行のサイトがかなり詳しい。長年にわたりパキスタンツアーを実施しているだけあって、細かくまとまっている(ただし、個人では行けない場所もある)。

その他、実際に役立った情報ソースが以下。

Backpacking Pakistan(英語)
パキスタン旅行者のためのフェイスブックグループ。とにかくパキスタン旅行に関して疑問があれば、ここに振ってみるといい。パキスタン旅行経験者や地元のガイドなどがアドバイスをくれるので、かなり有益なソース。

Pakistan Traveller(英語)
英語だが、最新かつ一番まとまった情報ソースとして旅行者に定評がある電子書籍。

Lost with Purpose(英語)
パキスタンに3度も一人旅をしたというアメリカ人女性のブログ。バックパッカー向けの情報やパキスタン旅に関する情報が旅ブログの中でも特に充実している。

現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。
フンザをはじめとするパキスタン北部を中心にフィールドワークを行う言語学者による本。旅行に関する情報はないが、現地の言語事情をユーモラスを交えて語る。著者いわく、パキスタンが大嫌いだそうだが、実際に行ってみてその気持ちがわかるような気がした。

ちなみにパキスタンでは、グーグルマップの情報はイマイチ信用できない。ジモティーによる情報は間違ったものも多いし、場所自体も違う場合がある。また観光スポットになりそうな名所も、マップに記載されていないなど、とにかく情報が発展途上である。

パキスタンの事情は、コロコロと変わるため、現地にいるガイドや個人などに直接問い合わせたりインスタで聞いてみる方が確実だ。また衛生面や旅の心得に関しては、状況がよく似ているインド旅行記事も参考になる。

パキスタン最高!動画に注意

YouTube”Pakistan travel”と英語で調べると、海外の旅系インフルエンサーの動画が出てくる。それらの中には、必要以上にパキスタンを絶賛したものもある。動画の中で「パキスタンは最高の国!」だとか「なんて美しい秘境!」などとパキスタン絶賛のオンパレードである。

しかし私が実際に現地で感じたのは、パキスタン人のホスピタリティや自然、建築に感動しつつも、衛生面やシステムも含めマジか!と思うようなことも多々あった。

のちに調べてみるとその動画は、パキスタン政府に招聘されたインフルエンサーによる動画だったということが発覚。パキスタン最高!の背景には、政府やコネによる手助け、また彼女が白人であり(パキスタンにはゴラ・コンプレックスと呼ばれる白人への優遇措置がある)、通常の旅人が受けられないような恩恵を受けた結果だ、という見方もある。

パキスタンを訪れる旅行者は少ない。またパキスタンは、誰と行動するか、コネの有無で旅の質が左右されてしまう面もある。よって、私の書いている記事も含め、情報をそのまま鵜呑みにしてしまうことは避けたい。むしろパキスタン旅の情報は、コンテキスト(旅人が誰なのか、一人なのか、ガイドをつけているのかなど)を考える必要がある。

予定には余裕を持つ

パキスタン旅行は思い通りにいくことが少ない。北部だと、落石の影響で道路が封鎖されたり、悪天候のため飛行機が飛ばなかったり、予定変更を余儀なくされることもある。

また中南部では、フライトが遅延したり、体調を崩してダウンすることもある。地図上では1時間で行ける距離でも、道路事情や渋滞により、倍以上の時間がかかることもある。

というわけで、パキスタンでは2~3日ぐらいの余裕をもうけたスケジュールを立てると良いだろう。

パキスタンの旅は容易ではない(個人の場合)

まず初めにお伝えしたいのが、パキスタンは他の旅行先とは毛色がかなり違うということである。パキスタンを旅行することは、以前よりも容易になっているが、正直ハードルは高い。旅をすることはできるが、外国人の立ち入り禁止地域が多かったり、警察同伴で観光しなけれればならない場所が多くある。

これは何もカシミールやバローチスターンだけの話ではなく、シンド州やパンジャーブ州にも言える。日本人観光客がカラチにあるスラム街に訪れて、警察沙汰になったケースも報告されている。逆に言えば、旅行者が行ける場所はかなり限られていると言うことである。

そして明確な立ち入り禁止地域は、公になっていないという点もある。逆に言えば、上記のように行ってみて初めて地雷が埋まっていた、と言うことが明らかになるケースもある。

さらに、パキスタンはあらゆることがコネで進むので、知り合いがいなければ入れない場所があったり、外国人旅行者一人では対処に困ることも多々発生する。おいおい、観光スポットなんだからあらゆる人々に開かれているべきだろう、と思うのだが、パキスタンではそれが通用しない。

他の国であれば、すべての人に開かれるべきものであっても、コネを持つ人や一部の特権階級の人間にしか、与えられないものもある。それは軍の力が強く、軍があらゆる特権を享受している社会システムを反映しているようにも見えた。公共性の欠如をパキスタンでは常に実感した。

実際に、私は外国人観光客として、思いがけず特権を手にすることになった。観光スポットでは、安全のためと称して専用のガイドがつき(断る権利はない)、頼んでいなくとも通常であれば入れない場所にも案内された。

しかし、それらの場所は常時オープンしているわけではなく、ジモティーは入ることができないのである。日本でいうならば、外国人観光客にだけ正倉院を特別にオープンして案内するようなもんである。

逆も然りである。地元のガイドを同伴させず、一人で旅行していると、まあすべての物事がうまく行かない。コネも情報も言語力もないからである。戦場に赤子を放つようなもんである。そうした困難も旅の一部と考えることもできるが、場所によっては警察沙汰になることもある。というわけで、パキスタンを快適に旅をするならツアー会社を通すか、地元のガイドをつけることが懸命だろう。

いずれにしても、パキスタンの旅はあらゆる意味でハードである。しかし、それを上回る魅力がパキスタンにはある。ただ、最終的にはどういう人間と行動するか、によってパキスタン旅の質は大きく変わるように思う。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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