ラマダン時期によく耳にするのが、「イフタール」という言葉。イフタールとは一体どんなもの?という疑問にお答え。
イフタールとは?
イフタールとは、ラマダンで断食明けに食べる最初の食事のこと。断食明けが訪れるのは、日没後なので日本でいうと、夕食の時間帯である。
ラマダン中は、1ヶ月間断食をすると思われているが、断食をするのは日の出から日没まで。国や季節によっても異なるが、だいたい10~16時間ほど飲食を一切しない。水やジュースといった液体を飲むこともNGである。
断食明けの瞬間は、達成感と開放感が重なる。日中の間、飲み食いを我慢してやっと食事ができるのだ。
とはいえ、飲食OK!となった瞬間に、爆食いを始めるのではない。ほとんどの人は、デーツや果物、飲むヨールグルトや水をまず口にする。
イフタールを前に断食明けの瞬間をまつ人々。飲むヨーグルトにオレンジジュース、ビリヤニが並べられている。
いきなりいろんなものをぶっこむと、小さくなった胃がビビるからである。それに、水も飲んでいないのだ。断食明けに、まず口に入れたいのは液体である。
よって、ジャブ程度の軽食をお腹に入れることから始まる。そして、軽食を済ませたら本格的なイフタールへと突入する。
イフタールのいろいろ
ラマダンというのは、ムスリムたちにとっては日本でいう正月みたいなもの。もちろん信仰心が高まる時期でもあるが、日中の断食が終われば、家族や親戚が集まって、ワイワイと飲み食いをする。このような正月が1ヶ月も続くのである。
そこで出される食事は、やはり正月仕様なのである。種類も多ければ、量も多い。
イフタールはこれ!という決まったものがあるわけではなく、国や地域、家庭によって様々である。
世界の色々なイフタール。ラマダン中の食卓はいつもより豪華だ。
この時期には、いろんな人を招いて一緒に食事をする習慣もある。もちろん、イスラーム教徒でなくとも大歓迎だ。10時間以上も一切何も口にしないのだから、家族や友人と食べるご飯は余計美味しく感じられる。
ついつい食べ過ぎてしまうので、断食をする期間でありながらも、太る人が続出するのは、このせいだろう。また断食をしているので、ヘルシー系ではなくこってりとしたものを選びがち、ということもあるだろう。
ラマダン中は、メディアでいかにヘルシーな食生活を送るか、という特集が毎年組まれている。
また、ラマダンはとにかくいいことをしよう☆という時期でもある。炊き出しのごとく、町では無料のイフタールが配布される。貧しい人でもラマダン中は、お腹いっぱい食べられるように、という配慮である。
無料でいただけるビリヤニのイフタール。ドバイの街中にて。
アラビア半島のドバイなんかでは、ラマダンをダシにしてイフタール・ビュッフェなるものが開かれる。普段なら1万円以上はする高級レストランでも、ラマダン中は3,000~5,000円程度で料理が食べ放題になるのである。
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ラマダン中のもう1つの食事
ムスリムがラマダン中に食べるのは、イフタールだけではない。断食明けの食事もあれば、断食に突入する前の食事もある。それが、「スフール」と呼ばれる食事だ。
断食は日の出とともに始まるので、スフールは辺りがまだ暗い午前3~5時のあたりに食べる。この時間に起きるのが辛いという人は、就寝前にスフールを済ませる人もいる。
スフールは、断食前なので軽めに済ませる。ここでがっつくと、後々の断食が辛くなるからだ。果物やヨールグルトといった腹持ちするものかつ、水分を含んだものが、スフールでは好まれる。
ラマダン中によく見かける飲むヨーグルト。断食明けのイフタールで飲んでもよし。
ムスリムの人口が少ない日本では、ラマダンは遠い国の話のように思うかもしれない。けれども、日本にいながらにしてイフタール体験をすることもできる。
東京の代々木上原にある東京ジャーミイでは、ラマダン期間中に無料のイフタールを配っている。誰でも参加OKなので、イフタールとはどんなものか?を知るいい機会だろう。
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