不安と緊張でいっぱい・・・はじめてのラマダン

もうすぐラマダンが始まりまっせ〜と他人事のように別の記事で書いていたが、内心は恐怖でいっぱいである。

今年はムスリムに改宗して、記念すべきはじめてのラマダンなのだ。

昨年までは、「大変そうねえ・・・ま、がんば!」と断食中のムスリムを見やりながら、その隣で思いっきり水を飲み、早帰り(ラマダン中は就業時間が短縮される)をエンジョイしていた。

まさか、その翌年自分が断食をしなければならない当事者になるとは思いもよらなかっただろう。

勝手もよくわからないまま、あの苦しそうな修行、断食を行うわけである。ムスリムの当人たちは、「あれはやみつきになるぜ〜。ラマダンが終わったら、ラマダンが恋しくなるぐらいだわさ」とにわかには信じられない発言をかましてくる。

それに、イスラーム関連の書籍でも「苦しそうにみえて、実は楽しいラマダン★」みたいなトーンでラマダンを紹介している。

しかし、他人事だからそう言えるのである。当事者になってみい。

ドバイのような日中の気温が40度近くなる(今年はちょうど気温が高くなり始める時期にあたる。ラマダンは毎年時期がずれるので冬になることもある)中で、食事はおろか、水も飲めないのだ。

はっきり言おう。辛いに決まってるじゃん?

最大の懸念は飲み食いができないことではなく、「寝坊」である。

断食月といっても、夜明け前と日没後は飲み食いができる。夜明けとともに断食はスタート。ということで、ムスリムたちはこの時期だけは、めちゃ早起きをし、「ファジャル」と呼ばれる夜明け前の礼拝と簡単な食事をとる。

私の不安はそこにある。

つまり、夜明け過ぎに起きたら、食事はおろか、水を飲むチャンスを失うのだ。生物にとってこれほどの絶望はないだろう。寝坊したら、水もご飯も日没後までおあずけ。

日中、飲み食いできないことよりも、寝坊して朝ごはんのチャンスを逃したらどうしよう・・・この恐怖に取り憑かれている。ゆえに私は最近ラマダンに関する悪夢をよくみる。

ちなみにイスラーム圏の田舎だと寝坊する心配はないらしい。なにせ、太鼓をもったおっさんが街を練り歩き、ドンドコやりながら人々を起こすのだという。太鼓がアラーム代わりである。

さらには、お隣さん同士でドアをノックし、「起きてるー?」なんていう起床確認を行う。

まあ、隣に誰が住んでいるのかもわからない、都会のドバイではありえないけどな・・・と遠くを見やりながら、シリアやパキスタン出身のムスリムたちが話してくれた。

それでも、他のアラブ諸国に比べるとドバイのラマダンは比較的楽だという。初心者には、楽もへったくれもないのだが、その訳を聞くと納得がいく。

ドバイは夏には日中の気温が40度近くになるのだが、それでも公共交通機関が発達しており、車移動が中心であることから、夏でもクーラーがガンガンに効いた室内にいるわけである。

ところが、シリアやパキスタンは事情が異なる。真夏の炎天下を仕事や買い物のために出歩かなければいけないのだ。体力の消費度が違う。

初心者にとっては比較的かんたんなフィールド、ドバイではじめてのラマダンを過ごすことに感謝すべきだろうか。

それにしても、超早起き(午前3~4時ぐらい)をして、飲まず食わずでいつも通り仕事なんかできるのだろうか。とにかく心配がつきないはじめてのラマダンである。

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サイゾー

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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