【海外から見た日本】外国人が思う日本人っぽい性格や特徴とは?

ドバイで働いていた時、私の職場ではイギリス、フィリピン、インド、パキスタンなど、総勢で40ヶ国以上の国の同僚が働いていた

そんな同僚たちから気付かされたのが、意外な日本人らしさである。それは、日本人が思う日本人らしさとは、ちょっと違う。日本人じゃない人々から見ると、こう見えるのか、と言う発見でもある。

海外で暮らして気づいた、意外な日本人っぽい性格や特徴についてご紹介。

改善大好き

現代の日本人は、やたらとアメリカがすごいだとか、北欧が先進的などというが、日本もその点においては劣っていないと思う。海外で生活して初めて、この点に気付かされた。

日本車は壊れにくくて質がいいよ!とアフリカやアジアの人々が大絶賛するように、日本の技術は本当に高いのである。中国が〜、韓国が〜、などというが、日本も一応は技術大国なのである。

レコード好きのイギリス人上司がこんなことを言っていた。「どや、このレコードいいやろ。日本製やで。日本で作るレコードは技術が高いから、音も断然ええんや」。技術においては、なかなか高い評価をいただいている日本である。

日本人というのは、昔から工夫や改善を加えて生活を便利にしてきた。好奇心が旺盛で、海外からも積極的にいろんなものを取り入れてきた。

戦国時代に、種子島に漂着したポルトガル人から日本人が2丁の鉄砲を買い取ったと言う話がある。なぜ2丁なのか。1丁は鉄砲として使うため、そしてもう1丁は解体してその仕組みを知り、自分たちで鉄砲を作ってしまおうという意図であった。

ポルトガル人が再来し、鉄砲を大量に日本へ売りつけようとした頃には、すでに改良された大量の鉄砲が日本に出回っていたという話である。

ちなみに”KAIZEN(改善)”はそのまま英語にもなっており、ビジネス用語としても使われている。

ドバイの広告代理店で働いていたとき、今後は仕事で”KAIZEN”を取り入れよう!と、プレゼン資料1枚を使って、改善の意味を説明する光景には驚いた。日本で仕事をしていれば、”KAIZEN”など当たり前のよっちゃんである。そのとき、初めて改善は日本独自の考えだということを知ったのである。

シャイで何が悪い

日本では一度も言われたことはないが、私は海外ではよくシャイだと言われた。普通に振舞っていたつもりだが、日本人以外と比べると、人と話す量や他人と交流する量が断然少ないと判断されたのだろう。

私が思うに”シャイ”というのは、ややネガティブな意味合いで使われるようなことが多いように思う。

とりわけビジネスにおいてそんな印象を受けた。会社やビジネスの場においては、みんなと雑談をそつなくこなしたり、初対面でも速攻で「ハ〜イ、マイケル!元気か〜い」などと言って、握手をぐっと交わす人の方が、やはり印象はいい。というかそれが大人としてのマナーや!と言うような空気がある。

日本人がよくやる「遠慮」もシャイに加担していると思う。日本でやれば理解される行為だが、そうした文化がない国の方が圧倒的多数なので、遠慮への理解はない。遠慮を知らない人からすれば、言いたいことや自分の意識をはっきりとさせない日本人は、やっぱりシャイに見えてしまうのだ。

しかし、私は外国人がネガティブな意味で使う「日本人はシャイやね」に対して、ちょっと反発したい。

ヒマさえあればすぐに雑談に走ったり、頬にキッスしたり、異性とハグしたりする人々からすれば、日本人はそれほど感情を表に出す方ではないし、シャイかもしれない。

けれども、こちらからすれば、彼らはにぎやかで大げさだ。つまり、うるさいと言うことである。

ささやかな逆襲のつもりでそう言ってみたが、これを読んでいるのは日本人しかいないだろう。残念無念。やはり私は、面と向かっていえないシャイな日本人なのである。

なんでも食べる雑食マン

よくいえば、食に非常にオープンということである。日本人はとにかくなんでも食べる。外国人が明らかに嫌な顔をする納豆やら、ウニ、白子、ナマコなど何もそこまで食べなくても・・・というものまで食べる。

「毒を取り除いたら、いけるっしょ」と言って果敢にフグを食べにいく精神や、生きている小魚を巨神兵のごとく踊り食いする姿は、外国人たちをドン引きさせている。

東京には世界各国のレストランがある。ヨーロッパはもちろん、エチオピアやアフガニスタン、イランといったマニアックな国のレストランも存在する。そうした店へ訪れるのは、現地の人というよりも日本人が大半である。「今日は気分を変えて、エスニックを食べに行こう♪」こうしたマインドセットも日本ではよくあることだ。

ところが、日本を出てみるとそれは当たり前ではなくなる。意外にも、みな食に対して保守的なのである。

私が働いていたドバイの職場で、同僚たちのランチをのぞいてみると、みなそれぞれのお国の料理を食べていることが多かった。インド人はインド料理、フィリピン人はフィリピン料理、アラブ人はアラブ料理といった具合に綺麗に分かれている。

イギリス人やフィリピン人がインドカレーを食べているのは見たことないし、アラブ人がインド料理を食べていることも見たことがない。

同僚のおすそ分けで異国の料理を食べるケースは散逸されるが、それでも「今日はインド料理食べよっ」と、1日1度しかない重要なランチタイムに、自ら果敢に違う国の料理に手を出す人はほぼ皆無である。

それは街中のレストランでも同じだ。インド料理屋にいるのは、インド人だし、アラブレストランにいるのはアラブ人なのである。ドバイは多国籍な都市で、路上では違う人種の人たちが行き交う。ところが、お国柄が強く出るレストランに限ってはそれがない。

漫画『テルマエ・ロマエ』の著者ヤマザキマリ氏もこんなことを書いている。

ヨーロッパの人々はワインの味に対してですらやたらと保守的で、自分の国で栽培された葡萄のワインだけしか基本的には信用できないらしく、イタリア人がフランスワインを飲んだりポルトガル人がイタリアワインを飲むということは日常的には滅多にない。

 


ヤマザキマリ 『望遠ニッポン見聞録』より引用

海外では食の規定を持っている人が多い。アルコール類を受け付けないムスリムやヴェジタリアン、牛を神を崇めて牛肉を食べないヒンドゥー教徒など。

また、生魚を食べる文化を持った国は少ないので、「生魚を食べるぜ☆」というと、想像だけで拒絶反応を示す人もいる。イモムシやカエルを食べる人々に対する日本人の反応と同じだ。

宗教や主義にとらわれずなんでも食べる日本人は、世界的にみても珍しい存在といえよう。

礼儀正しくて、親切

日本へ旅行にいった人や同僚に日本人のイメージを聞くと、この言葉がよく出てくる。

客が来るたびに「いらっしゃいませ〜」と笑顔で迎える店員の対応や、道を聞いたら親切に教えてくれたりしたからだという。また、相手を不快にさせない物腰の柔らかさや、攻撃的でない態度もこれに含まれるのだろう。

日本人の礼儀正しさは、島国ならではの処世術から生まれたものじゃないかと思う。

日本人は日々の生活において、他人との衝突を避けようとする。なにせ我々が育ったのは、島国の村である。問題を起こせば村八分にあうし、国境を超えて他の場所へ行くこともできない。他人や社会との間で問題を起こすのは、マズいのだ。

だからこそ、思ったことを相手にストレートに伝えたりせず、タテマエを使ったり、時には自分を押し殺してまでも、場の空気を壊さないように努力する。

日本の学校は、個性を伸ばすというよりも、集団生活を学ぶ場である。日本のキッズは、人様に迷惑をかけないための処世術を幼いうちから叩き込まれる。このように、個よりも集団や社会、相手を優先させることが尊ばれる価値観も、礼儀正しい日本人を作り出した1つの理由だろう。

ところが、個人の権利や主張が強い社会に行くと、逆の評価を受けることもある。はっきりと物事を言わないため、本音が分からないだとか、議論が苦手と言われてしまうのである。

どちらの文化が優れているとは言えない。文化はそもそも優劣をつけてもしょうがないものだし、あるがままに受けとめるべきなのだ。

ただ言えるのは、日本人の礼儀正しさと言うのは、他の国の人が持っていない、なかなかレアな性質だと言えよう。

よく働く

日本人は一般的によく働くと思われている。というか、本当によく働く。いや、めちゃくちゃ働く日本人からすれば、外国人たちはそれほど一生懸命に働いていないように見える。

彼らにとっては決して、楽をしようとか、仕事したくないと思っているわけではない。いや、中にはそう言う人もいるし、日本人の中にもいるだろう。

それは働き方に対する意識の違いにある。日本人というのは、どうも仕事に熱心だ。人生や生活において、仕事が占める比重や優先順位が非常に高い。

一方で、海外では仕事の重要度はそれほど高くない。むしろ趣味や家族と過ごす時間の方が、仕事よりも大事だ。深夜まで残業なんかしたり、会社で一晩を過ごそうもんなら「クレイジーや」と言われドン引きされるのがオチである。

採用においては、日本人は真面目に働くという事で、有利になることもある。真面目に仕事をこなせば、同僚から高い信頼を得ることができる。

イギリス人上司になぜ私を採用したのか、と聞いた頃があり、そのときの答えは「日本人って嘘つかないじゃん?真面目に働くし」というものであった。意外なところで、日本人であることも役に立つらしい。

海外から見たニッポン

『テルマエ・ロマエ』の作者が見た不思議なニッポン。イタリア、エジプト、アメリカなど海外で過ごした時間が長い著者だからわかる、日本の良さや不思議なところがぎゅっと詰まった一冊。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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