アラビア語初心者におすすめの勉強法、本、オンライン講座まとめ

国連の公用語でもあり、世界で3億人以上が話しているアラビア語。世界で5番目に多くの人に話されている言語である。

しかし、アラビア語を勉強していてしみじみと思うのが、アラビア語学習に関する情報や教材の少なさである。

本屋に行ってもアラビア語の本があるのは稀だし、アラビア語学習者による情報も乏しい。それだけで、出鼻をくじかれてしまう。そんなわけで、アラビア語に興味があるという人や、アラビア語を勉強したいという人に向けて、勉強のコツやおすすめ本を紹介。

ちなみに、これを書いている著者は社会人になってから、趣味でアラビア語を勉強している人間である。なので、以下で紹介するのは、アカデミックにアラビア語をやる!という学生向けではなく、一般の方に向けた内容となっている。

フスハーかアンミーヤか

アラビア語をいざ勉強しようとなると、まず目の前に現れるのがこのフスハー(書き言葉)とアンミーヤ(話し言葉)である。

この時点で、すでに大きな決断を我々は迫られる。フスハーから始めるべきなのか、アンミーヤから始めるべきなのか。いきなりアラブ諸国現地に飛び込んでしまった人の中には、話し言葉であるアンミーヤから始める人もいる。

けれども、早急にアラビア語を話す必要がなく、長期的に学びたいという人は、やはり書き言葉であるフスハーから学ぶことになる。

そもそもアラビア語は、大きく分けて2種類あると言ってもいい。

フスハーとアンミーヤの違い

フスハー:書き言葉。日本語で言う古典。イスラーム教の聖典コーランもフスハーで書かれている。日常的には使われないが、ニュースや新聞と言った公式の場で用いられる。

 

アンミーヤ:話し言葉。日常的な会話で使われる。エジプト方言、レヴァント方言、シリア方言、湾岸方言などと国によって方言が違う。同じアラブ人でも理解できないことも。

同じアラビア語なのだが、使う状況や国によってかなり違う。面倒なのはフスハーを学んだからと言って、アラブ諸国の人々とすぐに話せると言う訳ではないのだ。

アラビア語ネイティブは、こちらがフスハーで話しかけても理解してくれるが、こちらが相手を理解できるとは限らない。中には日常的に使うアンミーヤは知っているけど、フスハーは知らねえと言うネイティブアラブ人もいる。

アラブ人なのにアラビア語が書けない!?学習意欲を萎えさせるアラビア語の謎がようやく解明してきた

まずはフスハーを勉強し、それから自分が興味のある国でアンミーヤを習得するなりして、その国の話し言葉を覚えていくと言うのが、一般的なパターン。

中でもアラビア語留学で人気の留学先がエジプトである。エジプトの映画やドラマはアラブ諸国でも放映されているので、エジプト方言は、他のアラブ人たちにも通じやすい。

ちなみにアラビア語学習メモというサイトでも、アンミーヤとフスハーに付いて詳細に語っているので参考にされたし。

日本人アラビア語学習者とフスハー、アーンミーヤの問題

まずは基礎をおさえる。文字と発音の反復運動

アラビア語を学ぶ際に、まずマスターしなければならないのが、文字と発音である。

解読不能な古代文字に見えるアラビア語。はじめは、あんな文字読めるかいな!と思ってしまうが、案外慣れるとすぐに読めるようになる。

文字はひたすら書いて覚えるしかない。文字は他の文字とつながると、ポケモンのごとく変形するものもあるので、ちょっとややこしい。

そして、発音の練習。日本語にはない独特な発音が多くあるので、音声を聞きながらひたすら自分で発音していく。日本人には識別しにくい発音もあるので、可能であればネイティブのアラブ人にチェックしてもらう方がいい。

一見すると地味な作業だが、これが後々のアラビア語学習を楽にしてくれる。はじめは、つい日本語や英語の発音表示に頼りがちだが、一刻もはやくアラビア語だけを読んで、アラビア語で発音できるようになることが重要である。

この段階をクリアすると精神的にも楽になる。あの難しそうなアラビア語が読めちゃっている自分!という達成感がひしひしと湧いてくる。

独学で勉強する時のおすすめ本

文字がかけるようになったら初心者向けの本で、簡単な会話や文法をみにつけていく。アラビア語にある程度慣れていないと、初めの方で頓挫していまうこともある。そうならないよう、発音や文字の特訓はある程度こなしておきたい。

ちなみに私が色々試した中で、役立ったと思うのがこちらの本。

とにかく語彙力を増やさねばということで、単語帳はこちらを活用。ひたすらこちらを覚え込んでいくと、そこそこ話せるようになる。また、辞書を持っていなかった時には、辞書としても活用。

日常会話では使われないフスハーといえ、やはりアラブ人の先生と会話をしながら学んでいくことになる。かんたんな会話文をマスターするために役立ったのがこのエクスプレスシリーズ。

日本人留学生がエジプトへ留学するというストーリーのもと、会話文が展開していく。実際に先生と話す際に使う単語や表現がよく出てくるので、覚えやすい。会話文を学びつつ、関連単語や文法にも触れていくので、1冊終わるごろには、基礎が出来上がる。

文法をもう少し強化したいと思い、手に取ったのが「アラビア語とことん表現トレーニング」。音声などはなく、ひたすらテキストで文法について詳しく解説している。各項目には、練習問題がついている。一通りやって、よくわらかない文法にぶつかった際に辞書的に使っている。

「ゴロで覚えるアラビア語」は、アラビア語を楽に覚えたい、という一心で読んでみた。2007年出版と古い本かつ、数も出回っていないようで、アマゾンではかなりお高めの値段になっている。

確かに別のものと関連づけて覚えると覚えやすいが、単語数はそれほど多くない。単語帳という意味では、先のアラビア語単語帳の方が役立つ。定価で買うか図書館で借りるのなら良いが、アマゾンでは4,000円近くなので、ガチで気になる!という人以外には、あまりオススメしない。

とにかく学習者が少ないためか、アラビア語の学習本は数が少ない上、古いものも混在している。できるだけ、出版年数が新しいものを選ぶ方が良いだろう。

ついつい、辞書も買いたくなってしまうが、アラビア語は辞書を引くのにも一苦労である。ある程度の勉強をして、本格的にやるぞお!となった段階で辞書を購入しても遅くはない。もしも、辞書が必要になったら、オンラインの辞書を利用すると言う方法もある。

アラビア語の辞書といえばこちら。と言うか、これぐらいしかない。英語とアラビア語のみだが、アラビア語学習者の間では古くから使われているベストセラー辞書だ。

アマゾンならばポチりで簡単に買えるが、ややお高め。神保町の穂高書店など語学専門の海外書物を扱う店をチェックするのもありだろう。

この辺までは独学でもさらりといけるが、先ほど言ったようにアラビア語学習の道のりは長い。

こうした本と合わせて、オンライン講座やリアルな講座を受講するのもよいだろう。私は息抜きに、YouTubeでアラビア語版の日本のアニメ(ちびまる子ちゃんなど)なんかを見ていた。アニメで使われているのも、フスハーである。

家で簡単に学べる!アラビア語オンライン講座

日本ではマニアック言語として扱われるアラビア語。英語のように、駅前留学があるわけでもなく、アラビア語の先生を見つけるのも一苦労である。そんな時に便利なのが、ネットで受けられるオンライン講座だ。

Arab Academy

オフィスはエジプトにあるアラビア語のオンラインスクール。説明はすべて英語だが、教材は視覚的かつインタラクティブなので、それほど英語がわからなくても問題はない。コースは、フスハーやエジプト方言のアンミーヤと分かれており、受講者のレベルに応じたコースが用意されている。

自分のペースで進められる上に、週に1、2回はエジプトにいる先生とマンツーマンのオンライン授業がある。授業料も一番安いコースで1ヶ月$99ドル。約1万円ほどなので、普通の講座に通うよりもはるかにお得。

Arab Academyのサイトをみる

Udemy(ユーデミー)

さらに気軽にもっとアラビア語に触れたいという人であれば、Udemyのアラビア語のオンライン講座もおすすめ。こちらも英語をベースとしたコースが多いが、日常でよく出てくるフレーズをサクッと学ぶものから、がっつりと文法を学ぶ講座までさまざま。中にはアラビア語書道のコースもある。

30日間返金期間があるので、コースがあわなければ返金も可能。割引セールも頻繁にやっているので、通常ならば2万円のコースがたった1,000円程度で受けられることもある。いずれにしても、本で学ぶより視覚や聴覚で学んでいくので、頭には残りやすい。

Udemyの人気アラビア語コースをみる

東京外国語大学言語モジュール

外大のアラビア語講座

外大のサイトで受けられる無料のアラビア語講座。アルファベットの発音から、文法、語彙まで項目別に解説。各項目に、練習問題が付いている。音声はあるが、基本的にはテキストベースで動画はない。個人的には、文法で分からないことがあったら、調べてみると言ったように辞書のようにして使っている。

東京外語大学のアラビア語講座をみる

エジプト大使館主催のアラビア語講座

エジプト大使館アラビア語講座

エジプト大使館が主催するアラビア語講座。春と秋の講座で週に1回、Zoomでエジプト人の先生が教えてくれる。講座料金は1タームあたり1万円と非常に良心的。かつてはリアルな場でレッスンがあったが、コロナの影響によりオンライン授業になっている。

エジプト大使館のアラビア語講座をみる

italki(アイトーキ)

気軽に世界各地のアラブネイティブと話せるのが、アイトーキ(Italki)と言うサービス。講師は世界中にいるアラブネイティブの先生。サウジアラビアやモロッコ、シリア、カナダ、レバノンなどいろんなアラビア語に触れられることができるのも特徴。

格安でトライアルレッスンも受けられる。初心者でも、発音をチェックしてもらったりするのに活用できるだろう。サイトだけでなく、アプリもある。

ただ、先生といえどもしっかりと経験がある先生かどうかは分からない。特にフスハーはアラブ人だからと言って、誰もがきちんと教えられるわけでもない。日本人だからと言って、全員が古文を知っているわけではないのと同じである。

それに先生との相性もある。相性が良ければ、学習のモチベーションもグッと上がる。カジュアルにいろんなアラブ人と話す場としては最適で、スピーキング強化にはもってこいである。

Italkiでアラビア語レッスンをみる

Learning Arabic

カタールのアルジャジーラによる無料アラビア語講座サイト。アラビア語の先生から教えてもらったもの。アラブ圏におけるニュース動画を、レベル別に紹介している。

リスニングの強化と実際のアラビア語に触れるという点で最適。各動画には、スクリプトや理解度チェックのためのクイズがついている。アラブ圏の文化やニュースも知れて、アラビア語も勉強できるので一石二鳥である。

Learning Arabicのサイトをみる

アラビア語を独学で習得するには、思った以上に忍耐力と努力が必要。いや、それは他の言語も同じかもしれないが、挨拶の言葉ですら国によって違うので、実際にアラブ人たちと話すと軽くショックを受けたりする。本や講座で学んだアラビア語はなんだったのか、と。

けれども、ちょっとでも現地の人々に自分のアラビア語が通じると嬉しくなる。それがあるからアラビア語の勉強はやめられないのだ。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

管理人をフォローする
内向型のつぶやき
シェアする
進め!中東探検隊