断食明けに何を飲む?ラマダンならではの飲み物たち

もしも砂漠を長時間さまよい、喉もカラカラ、体もヘトヘト。そんな状態で、1杯だけ飲み物を与えられるとしたら、何を飲むだろう。

ラマダンの断食明けには、まさにそんな状態だ。

飲み物は、断食が終わって一番に口に入れるものである。普通ならば、無難に水を選ぶだろうが、日中の外気が40度近くにもなる今年のラマダン。断食明けはやはり何かスカッとしたものを飲みたくなる。

断食明けの1杯はとにかく美味い。だからこそ、その1杯を定めるためにあれこれと考える。生半可な気持ちで選べば、美味さは半減する。

そうした、ラマダン中ドバイで「断食明けの1杯」に選ばれている代表的な飲み物をご紹介しよう。

アラビア半島で愛されて100年以上。イギリス発祥の「Vimto」

イギリスが発祥の「ヴィムト(Vimto)」。アラビア半島に持ち込まれたのは100年以上前のこと。それ以来、ラマダンの断食明けに飲む1杯として、湾岸アラブの人々には親しまれている。

濃縮シロップなので、水や牛乳と割って飲む。すでに日中の気温が40度近くになっている乾燥地帯では、炭酸水と割って飲むと、スカッとして飲み心地がよい。グレープファンタのような味だ。

ヴィムトは、ラマダンのアイコンにもなっているようで、マックの広告に登場したり、ダイソーではヴィムト袋として、商品化されている。

甘くない飲むヨーグルト「ラバン」

アラブの飲み物というと、極端に甘かったりするのだが、「ラバン」はほどよい飲み心地。ラマダン中は、ラマダン仕様のパッケージになって大量にスーパーなどで売られている。

日本の甘い飲むヨーグルトに慣れていると、はじめは違和感を感じる。しかし、慣れるとなんとも言えない塩加減がクセになる。ヨーグルトということで、水よりもお腹にたまりやすい。断食明けの食事前や、小腹が空いた時に飲めるミニパックサイズを重宝している。

バラの高貴な香り。パキスタンの「ルーアフザ」

インド人やパキスタン人は、ドバイ人口の半数近くを占める。そんなこともあってか、インドやパキスタンで飲まれている「ルーアフザ」も、スーパーではよく見かける。

ヴィムトと同じく濃縮シロップなので、水などで割って飲む。バラの香りがほんのりとする高貴な飲み物。水割りのルーアフザをマイボトルに入れて、モスク近くで断食明けを待つ人々の姿もちらほら見かけた。

ラマダンは大人数での集まりが多くなるためか、ドリンクも濃縮系が目立つ。1本で多くの人が飲める、コスパのよい飲み物だからだろう。

日本でおなじみの商品もラマダンドリンクに参入?

ちなみにラマダン中、なんとなく目についたのが「オロナミンC」や「ポカリスエット」だ。

常時ドバイでは、売られているものなのだが、ラマダン中はドリンク消費量が増えることを見込んでか、盛んにポップなんかで商品を目立たせようという光景が見られた。

断食中、体の水分を保つ方法を調べていたら、ヒットしたのは、商品を宣伝する日本の企業の記事ばかりだった。

毎年夏には熱中症患者が多く発生する国ゆえか、水分補給の知恵にかけては他の国よりも抜きん出ているのかもしれない。水分補給先進国、ニッポン。また、新たな日本の一面を発見してしまった。

オロナミンCはともかく、ポカリスエットを飲んでいる人はみたことがない。

我々日本人からすると、スポーツ後や風邪の時の水分補給ドリンクというイメージが刷り込まれているが、いったいドバイにおいては需要があるのだろうか。

基本、人間は見慣れないものには手を出さない。かつては、それが命取りになるほど重要であったから、本能的にそうしているのだろう。

毒かどうかわからないものを不用意に口に入れると、命を危険にさらしてしまう。人間は、食に関しては意外と保守的なのである。

なのでこの先、見慣れない日本のドリンクが普及していくのだろうか、ということである。日本のものだからといって、安易に誰もが好き好んで手に取るわけではない。

一方で、UAE人が好んで飲むのが、レッドブル。アゼルバイジャンに行く飛行機の中で、UAE人の女子2人組が隣に座っていた。

一眠りした後、2人そろって彼らがまっさきに注文したのが、レッドブルであった。水でもなく、コーヒーでもなく。レッドブル。水よりもコーヒーよりもレッドブルを好む理由が聞きたい。

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サイゾー

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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