稀有な体験をした。
ああ、こういう人が俗に言うサイコパスという人で、これはもしかしたらパワハラというやつなのではないかと。
まさか、自分の身にそんなことが起こるとは思ってもみませんでしたよ。
意外な体験をした時に、人々が語る言葉だ。
私もまたその一人なのかもしれない。
しかし、リアルサイコパスと働いている、などということは誰も信じてくれないだろう。それは、彼と直接働く人間を除けば、会社で働く同僚たちも同様だ。
だからこそ、不思議な体験なのである。
読み進めるにあたって、こちらの記事を参照すると話がわかりやすい。
会社の不条理と社内政治に巻き込まれ、どん底に叩き落とされた話
一見普通の人に見えたが・・・
サイコパス上司との出会いは、半年ほど前にのぼる。はじめは、意欲のある仕事熱心な人という印象を受けた。
イギリス出身で何年か働き、そこそこの経験と役職を持つ人である。それなりに期待をしてしまった。
しかし、時が経つにつれなにやら様子がおかしいことに、気がつくのである。
彼は、やたらと口達者だが、どうも具合がおかしい。仕事で成果を出したわけでもなく、むしろ仕事環境や成果を悪化させているように、少なくとも私からすると見えた。
しかし、口は達者なので、周りの人はその勢いに飲まれて、実態の伴わない彼の空想ビジョンをを信じてしまうのである。
実際にサイコパスの特徴で調べてみると、ほぼすべてが当てはまるのである。以下は実際にあてはまった特徴である。
サイコパスの特徴
- 表面上は口達者
- 利己的
- 自慢話をする
- 自分の非を認めない
- 平然と嘘をつく
- 良心の欠如
- 他人を操ろうとする
私だって、彼を何が何でもサイコパスに仕立て上げたいわけではない。
それに、私だけでなく、彼と直接的に働いた同僚たちは、彼をサイコパス指定していた。そう、国境や個人の偏見を超えて、彼がサイコパスだということは、もはや普遍的な事実となっていた。
そして、このサイコパスと働きたくないということを理由に、すでに3人の人間がここ数か月でやめていった。そのうちの一人は、入社して早々に異変に気付き、速効で再び転職活動をはじめたのだという。
転職活動の苦労を思えば、それほどにサイコパスに対する拒絶が大きかったのだろうと察する。
サイコパスの振る舞い
表面上は、悪い人にはみえない。しかし、一度彼と働くと、彼の本性がみえてくるのである。
そんな彼を私は、影でハリポタに出てくるディメンターと呼んでいた。
彼と仕事をすることで、どんどんやる気やエネルギーが吸い取られていくからである。
表面上はさもそれっぽいことをいい、いい人を振る舞う。しかし、影で私も含めた部下たちがいかに仕事ができないか、を人々に言いふらすのである。
仕事ができないのは、ディメンターの方じゃないか。と思ったが、役職もあり口達者なサイコに疑いを持つ人は、そう多くなかった。
なんだこの不毛な状況は?
毎日、ディメンターと顔をあわせるのが嫌になった。むしろ、恐怖であり、苦痛であった。
表面上は「おまえたちは、クビになんかならないから大丈夫だよ」などと言っておきながらも、あの惨劇を起こした当人である。
当然ながら、裏の意味でしかとれない。こいつは、チーム刷新のために全員をクビにするつもりだ、と無知な私でもさすがに感づいた。
しかも、我々がいないところで、「こいつは、仕事できんから」などと言いふらしているのである。
あな、おそろしや。
むしばまれる精神と絶望
ただ働いているだけで、みえない恐怖におびえるばかりである。特に、不当解雇事件を境にしてか、体調も芳しくなくなった。
これまでドバイで病気らしい病気をしたことがなかったのに、発熱し、長引く風邪をひいたり、吐き気などを催すようになったのである。
あら、どうしたのか自分。
決して、世にあるパワハラほどひどいものではないと思う。
けれども、己の無謀な行為によって、周りの人間を脅威に陥れ、精神的苦痛を与えているという点では、パワハラといってもいいんじゃないだろうか。
決して、被害者ぶりたいのではない。しかし、何か変なのだ。この異変をあらわすと、きっと軽度のパワハラという言葉に行き着くのだと思う。
そう考えた時、訴訟という手もあるのではと思った。
しかし、そもそも国として新しいUAEにそんなことを取り締まる倫理観も、法律も期待できなかった。
労働者というちっぽけな存在
私がこの気持ちを吐露したところで、私は単なる役職の低い労働者の戯言にしか取られないだろう。
実際に人事にも話したが、そこには宇宙の静寂が広がっていた。
自分がいつでも代替可能な労働者という、ちっぽけな存在だということを思い知らされた。
労働者に与えられる選択肢は、嫌ならやめればいい、だけなのだろうか。
特に出稼ぎ労働者たちで構成されるドバイの労働市場では、その風潮は顕著だと思う。UAEには、賃上げを要求する労働組合もない。
給料や職場に納得がいかないなら、さっさと次の職場を見つければいい。それがドバイのルールだ。そう割り切って、辞めていく人もいた。というか、そういう人が大半だ。
やめれば、すぐに次の人がやってくる。なぜなら、ドバイで仕事を得たい人は南アジアやアフリカ、東ヨーロッパ、中東など各地にいる。速攻で世界から代打がかけつける仕組みだ。
追いつめられた結果
別にこの会社に長居したいわけではない。単純に、目の前にある問題を解決して、職場環境を改善するという選択肢すら与えられない風潮に、違和感を覚えるのだ。
こんなことを考えながら、さして楽しみを見出せない日々が過ぎていった。良好な精神は、今はどこへやら。
地球でいうならば、完全に地殻の部分がやられた状態だ。けれども、それは浅い傷にしかすぎない。肝心のマントルはまだ傷ついていない。
気象庁のサイトより引用
だからこそ精神は高揚している。
自分は今、リアルサイコパスと働き、軽度のパワハラを体験していることに。自分は世にも稀有な体験をしているのだ、と。
強がりではない。
何事も、ものの見方が大事である。
そんなわけで、私は会社を辞めた。