カンドゥーラ?トーブ?似ているようで違うアラブの民族衣装

アラブ人男性といってイメージするのが、真っ白な衣装に、黒い天使の輪っかみたいなのを頭につけた姿。

主にサウジアラビア、UAE、カタールといったアラビア半島の国々で見られる。

そんなアラブ人男性の民族衣装について、ご紹介。

石油王ルックスというイメージ

不思議なことに日本では、あのスタイルが石油王ルックス、富豪ファッション、ドバイの富豪などとして、認知されている。

コスプレ衣装としても、すっかりおなじみ。

カンドゥーラアマゾン

しかし、実際は富豪だけが着るような階級ファッションでもなければ、石油王自体も存在しない。

石油の収入は国が管理しているので、石油で大儲けをした一個人がいるわけではないのだ。アラブの王族はいるが、石油王とはいいがたい。石油王というのは、幻想なのである。

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ドバイのイメージ戦略が、あまりにも成功しすぎているために、世界中の人間が、あの格好をしていたら富豪なんだ、と洗脳されているのである。

現実は、政府に生活保護をもらって暮らしているような人や、アラブ人ではないが、現地人アピールをしたい人々が着ているケースもある。

そう、あくまでインドのサリーのように、ジモティーの人々が着る民族衣装なのである。

似ているようで微妙に違う民族衣装

こうした民族衣装は、「カンドゥーラ」や「トーブ」という名前で知られている。

同じような衣装なのだが、地域によって呼び名が違うことが特徴。カンドゥーラはあくまで、UAEだけの呼び名である。

それぞれの国で呼ばれている衣装の名称

トーブ
サウジアラビア、バーレーン、パレスチナ
カンドゥーラ
UAE
ディシュダシャ
イラク、クウェート、オマーン、イラン、レバノン、シリアなど

同じような民族衣装にみえても、衣装に微妙な違いがある。

カンドゥーラは、白だけでなく、紺色や土色、黄身色など色のバリエーションがある。しかし、現地で見かけるのは、やはり白が圧倒的に多い。

頭につけているアレは何・・・?

ちなみに、頭に乗っかっている天使の輪みたいなものは、「アガル」と呼ばれるもの。頭につけている布は、「クフィーヤ」、「グトゥラ」などと呼ばれる。

 

カンドゥーラ_アラブの民族衣装

ちなみに、アラブでヒゲは男の象徴。コスプレをする際には、ヒゲもあると一層本物っぽくなるだろう。

頭につける布にもいろんな種類があるが、主に赤と白の格子柄やまっさらな白を見かけることが多い。

布のかぶり方にも、いくつかパターンがある。天使の輪をつけないバージョンや、布をこんもりと頭に盛りまくるバージョンもある。

その姿は、髪の毛を逆立てて、オスの威厳を見せつけるギャル男や、ホストさながらである。

靴は、ビルケンシュトック風のサンダルを履いているのが特徴。夏、冬に関わらず、オールシーズンでサンダルである。

日本との意外な関係

この衣装だが、実は日本とも関係がある。カンドゥーラ生地で高いシェア率を誇るのが、日本の東洋紡という会社。

まさかアラブの民族衣装に使われるとは思ってもみなかったのか、東洋紡自身も「こんなところに東洋紡」と、公式サイトで紹介している。

実績は確かにすごいが、「中東の白い服は50%が日本製」と若干、説明が雑である。

中東の白い服て。ざっくりすぎる・・・

東洋紡いわく、東洋紡の生地は、主に高級カンドゥーラに使われているとのこと。

実際に、街にあるカンドゥーラ屋に見に行くと、確かに、TOYOBOだとかShikiboと書かれた布がどの店にもおいてある。

UAEにあるカンドゥーラショップで売られている生地。メイドインジャパンと書かれたものが多い。

多くはメイドインジャパンと書かれた布だったが、韓国やベトナム、インドネシアの生地も売られていた。

灼熱の土地に適した衣装

民族衣装を着たアラブ人をみていると、いかにも土地に適した格好をしているなあと思う。

ドバイを含めたアラビア半島は、とにかく日差しが強く暑い。夏は、外を10分ともあるいていられない。もはや人間が住む場所じゃねえ、という人もいる。

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暑い上に湿気もひどい。特に夏の間は、外がガチでサウナになる。これから出勤するのに、外に一歩出たらサウナという絶望感がそこにはある。

ゆえに西洋風の服は、この土地に適していない。

ジーパンやズボンなどを履こうものなら、ひどいことになる。その意味で、ワンピース型の衣装は、風が通って涼しいし、白は光を反射させる。

都市ができる前は、砂漠を主なフィールドとしていた彼らである。サンダルは、砂漠の砂が入ってもすぐに取り払えるし、通気性もいい。砂漠の夜は冷え込むし、昼は日差しも強いので、肌全体を覆う布は、肌を守るのにも役立つのだ。

なんで民族衣装着るの?

これだけ都市化が進み、近未来感を感じさせるドバイでは、いまだ多くの人が、民族衣装を着ている。

その姿は、人々が遊牧民としてラクダを乗り回していた時代と同じだ。

文明開化で、ちょんまげを切り、着物をすて、いそいそと洋装へと着替え始めた日本人とは、違う。

聞くところによると、UAE人であることの誇りや、社会的なプレッシャーがあるのだという。

実際に、国外に出たら、カンドゥーラやアバヤは着ないと、宣言している現地のアラブ人もいた。

さらに、アラビア半島以外のアラブ人と区別をつける、という意味合いもあるのだとか。

ドバイやサウジのアラブ人は、シリアやパレスチナ、イラクのアラブ人より格上なんだぜ、と考えている人も中にはいるらしい。アラブにも格付けしあう世界が存在するようだ。

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20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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