後悔しないために。マレーシア移住で実感した意外な落とし穴

マレーシアよ、すまん。住まわせてもらっている身でありながら、今回ばかしは、少々毒を吐かせてくれ。というわけで、マレーシアに住んでみて実際に感じたことを綴っていく。

物価が安いと思ったらアカン

マレーシア移住の魅力の定番ポイントとして、物価が安いというのがあるだろう。私自身、そこを一番のメリットと考えていたわけではないが、実際に住んでみると他の国とそれほど変わらないな、というのが現実。

確かに安いものは安い。たとえば、屋台のご飯。1食300円で美味しいローカルフードが食べられるが、いくら安くても毎日屋台のご飯を食べる気にはならない。

それは味というよりも、とにかく脂っこさである。熱帯気候のため、あらゆるものが倍速で腐りやすいため、食中毒を防ぐためにも、ジモティーたちはこれでもか!という量で、食べ物を揚げていく。

一方で、日本人が一般的にイメージする小綺麗なレストランで食事をすると、だいたい1,000円〜ぐらいするので、あまり安さは感じない。

私は筋金入りの自炊派なので、スーパーで食材を買うのだが、同じようなものを同じ量で買っていても、ドバイで生活していた頃と価格はほとんど同じである。

マレーシアでは日本製品も含め、生活日用品も豊富にそろっており申し分はない。しかし、あまり競争がないためか、日本で見られるような価格競争による安さを享受することはできない。

この点は、マレーシア特有というよりも、むしろ安すぎる日本の方が特異なのかもしれない。世界中が物価高というトレンドにありながらも、多少その影響を受けているが、それでも日本の安さは、断然安いと言えるだろう。

安いのにはワケがある

日本よりも激安でプール+ジム付きの高級タワマンに住める!といったイメージが流布しているが、良いものが激安で提供されるほど、世の中甘くはない。

私が住んでいる家も、東京に比べれば3分の1ぐらいの家賃である。しかし、マレーシアの家は作りが粗雑なところも多く、家の修繕費に度々お金がかかったり、虫を殲滅させるためのアイテム費用や労力などがプラスαで発生する。

虫に対抗するストレスが含まれていると考えれば、決して安くはない。こうした手間を考えたら、高くてもなんの問題がない家に住んだ方がお得だなあ、と思ったりする。

娯楽が少ない

首都クアラルンプールは、人口が180万人と都市にしては少なめで、娯楽のバリエーションは限定的。

休日になると、だいたいジモティーはハイキングなどアウトドア活動に勤しむ。もしくは、涼しいショッピングモールで食事といったところだろうか。私自身もクアラルンプールにいる時は、このループを延々繰り返している。

またマレーシアはどちらかというと家族主義的なところがあるので、単身者が楽しめる娯楽は特に少ないと感じる。さらに車がないとアクセスが難しい場所も多く、楽しめる娯楽もグッと減る。

英語力が衰える

マレーシアで英語を学ぼうと思っている人に言いたい。そこまで英語をマスターできる国じゃないぞ、と。なんならフィリピンの方が断然いい。

英語が通じる国としてマレーシアは知られるが、あくまでも通じるレベルである。なぜなら、ほとんどのジモティーにとって英語は母国語ではないし、国内においてはマレー語の権力の方が上だからである。

特に華人が話す英語は、ものすごい訛りが強いことが多く、もはや何語で話しているのかわからなくなることがある。これは私だけの問題かと思いきや、ネイティブレベルの友人からしても、「マジで何言っているのかわからん・・・」といった具合である。

実際にマレーシアに住んでいると、聞こえてくるのはマレー語、北京語、広東語、英語など混沌である。コミュニティやイベントによっては、中国語オンリー、マレー語オンリーといった場所もあり、英語の浸透率は100%ではない。また、英語は話せるが、マレー語で話した方が楽という人や、英語がほとんど通じない人もちらほらいたりする。

昨今はグローバル英語を許容していこう!という流れにあるが、そうは言ってもマレーシアの英語はクセが強い。よく言えば、わかりやすく、馴染みやすさがあるが、悪く言えば内輪だけで通じる英語である。

多様性は本当にいいことなのか

マレーシアは多様性な国だとよく言われる。カレンダーをみるとそれがよくわかる。ヒンドゥー教、イスラーム教、華人の祭日など、あらゆる祭日がごったまぜになっているのがマレーシアのカレンダーである。

実際の路上では、マレー語、中国語、タミール語、英語などが飛び交っている。各々が自分の言語を話している状態である。こうした実態からも、マレーシアでは英語はよくある言語の1つに過ぎず、絶対的な地位を得ているわけではないということに気づく。

マレーシア社会に馴染もうと思えば、英語だけでは足りず、中国語もしくはマレー語を習得した方が良いのでは?という圧すら漂う。

英語だけでは、表面的なコミュニケーションしか取れない余所者のポジションとなり、ひたすら寂しさを抱えて生きる羽目になる。これは英語だけで社会の一員になれると思った人間への天罰かもしれない。よって、マレーシア社会に踏み込むには別の言語の習得が必要になりそうだ。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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