ビザが降りそうにないのでサルサを踊ることにした

異国に住む人間にとって一番ストレスとなること。それが、ビザ問題である。

気づけばマレーシアにやってきてもうすぐ1年。ビザ更新の時期となった。滞在を延長しようか迷った末に、やっぱりマレーシアにまだいたいという気持ちが強くなり、更新をすることに。

更新を始めたはいいものの、壁にぶち当たることになる。

申請システムのエラーである。

必要は書類は全てそろっているのに、システムエラーでアップロードができない。困り果てて、電話やメールをするものの、詳細はメールで送って〜だとか、メール転送しました〜みたいな、役人的対応で一向に解決する気配がない。

ぐぬぬぬ

しかも、ビザが切れるまであと数週間しかないやないか。

ビザが更新できなかったら、マレーシアを出国?引っ越し手続きは?次は一体どこの国に行けばいい?

など、パニックとストレスで悶々とする日々である。自分ではどうにもならない状況に陥る時ほど、絶望的なものはない。

しょうがない、ここはひとまずサルサを踊ることにしよう。ストレスに対抗する手段として、私が弾き出したのがサルサであった。どうせなるようにしかならないのだ。であれば、ストレス悶々で生きるより、最後の審判の日を迎えるまで、楽しく生きた方がいい。

というわけで、やったこともないサルサの無料教室に行くことにした。指定されたのは、KLの繁華街にあるとあるバー。バーの2階を貸し切って、サルサを行うらしい。7時集合だが、まったく人がいない。

「ごめんなさいね〜まだ全然人が来てないの」

陽気な南米系?のセクシーな先生が声をかけてくれた。”遅延”は、マレーシアではよくあることなので気にしない。実際、私もそれを見越して10分ぐらい遅れて行ったのだが、それでも誰もいない。実際に教室が始まったのは8時である。恐るべしマレーシアである。

ようやく始まったかと思えば、先生はいきなりおしゃれなピンクカクテルを飲みだす。それに引き換え私が先ほどまで飲食していたのは、ビールとナチョス。どう考えてもおっさんチョイスである。サルサの先生は、飲み物からしてセンスが違う。


先生が注文したおしゃれカクテル

先生も含め教室に集まった面々は、ハイヒールにひらひらのスカートと、フェミスタイルで決めている。

サルサというのは、どうやらフェミを出すことが重要らしい。

10名ほどの参加者がいたが、私以外は皆パートナーがいるようで、一人参加の私は先生の「ワイフ」として、初っ端から先生と組むことになった。

「もう、あなたは頭で考えすぎ!」

など檄が飛ぶ。それもそうだ、1,2,3・・・右足がこうで、左足を出して・・・などとつい考えてしまう。はたから見たら、ロボットが動いているように思うだろう。

先生はひたすら陽気で、しまいには手に持っていたマイクが邪魔だからということで、谷間にブッさし始めたのである。

「これでよし!」

ひえっ

谷間に挟まれたマイク・・・

先生は何の恥じらいもなく、サルサを踊り続ける。先生の胸が豊満なためか、マイクもちょうど良い安定感を保ち、己の役割を果たしている。

レッスンも中盤に差し掛かった頃。パートナー替えタイムということで、見知らぬ男性たちと組んで踊ることに。男性と踊るなんて、高校の文化祭以来である。

といっても、異性にドキドキなんていう年齢ではないので、「この人、手の温度が高いなあ・・・この人はめちゃくちゃ冷たいな・・・」などどうでも良いことを考えながら、ひたすらステップを踏んでいくのであった。

レッスン後、先生に挨拶にいくと、「また来てね」と投げキッス。

ひい

初対面の人に、投げキッスできるなんて、相当な陽気レベルである。

というわけで、陽気なサルサ先生のおかげで、しばしビザのストレスから解放されるのであった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

管理人をフォローする
マレーシア
シェアする
進め!中東探検隊