スワヒリ語ってどんな言語?知っていると旅で役立つフレーズ集

ケニアやタンザニアを旅行していると出くわすのが、スワヒリ語。旅行中に使える簡単なフレーズや、聞く者をほっこりさせるスワヒリ語についてご紹介。

スワヒリ語とは?

タンザニア旅行中にビビったのが、「マンボ」だの「ジャンボ」だののたまう人民たちである。なんだなんだ。こんな柔和な言葉を使う人々は。

これが私のスワヒリ語との出会いである。

スワヒリ語は、聞いているだけでも、なんだかほっこりする。一体世界のどこに、「ジャンボ!」などとあいさつする人民がいるのだろう。

スワヒリ語は、主にケニアやタンザニア、ウガンダの公用語として話されている。と言っても、スワヒリ語の比重が特に高いのがタンザニアだけである。ウガンダやケニアに至っては、教育や公的機関では主に英語が使われているため、スワヒリ語の使用頻度は低い。

スワヒリ語は単にアフリカの言語と思われるかもしれないが、実際とはグローバルな言語である。

スワヒリ語の単語のうち実に30%はアラビア語由来のもので、そのほかにもヒンディー語やペルシャ語、ポルトガル語などにも影響を受けている。

もともと、タンザニアやケニアの海岸地域は、アラビア語で「サワーヒル(海岸という意味)」と呼ばれていた。それがバントゥー語風になまったのがスワヒリである。

紀元前あたりから、インド洋や現在のイラン、アラビア半島とも船を通じて交易をしており、ケニアのマリンディやモンバサ、タンザニアのザンジバルやキルワといった交易地では、インドやアラブ商人たちが行き交った。

種子島にポルトガル船が鉄砲を伝えた頃、ポルトガルはケニアやタンザニアがある東アフリカ地域を占領した。江戸っ子が黒船襲来にビビり、幕府が異国船を追い払っている頃、ポルトガルに代わり、ザンジバルを支配したのがアラブの海洋大国オマーンである。

このように、ポルトガルやアラブ、インドと言った多国籍なカルチャーが合わさってできたのが、スワヒリ語をはじめとするスワヒリ文化である。

スワヒリ語はある意味、この地域の歴史を移す言語でもあるのだ。

役立つ基本フレーズ

タンザニアの路上でよく聞くフレーズをまとめてみた。スワヒリ語はローマ字を使っているので、英語のようにそのまま読めるのも特徴。

ジャンボ=こんちは
とにもかくにもタンザニア人の顔をみたら、まず「ジャンボ」である。朝から晩まで挨拶として使い回しが聞く便利な単語。
ジャンボというと、どうもプロゴルファーのジャンボ尾崎を思い浮かべてしまう。ゆえに私の中で「ジャンボ!」というのは少し恥ずかしかった。

マンボ=元気?

ポア=元気やで
マンボ?と聞かれたら、ポアと答える。ポアというと、オウム真理教を連想してしまうのは私だけだろうか。オウム真理教用語ではあまり良い意味ではないので、やや使うのがためらわれた。

ポアキチジ=めっちゃ元気やで
ポアの上級系。外人があまり知っているような表現ではないらしく、何気に使ってみたら、タンザニア人がビビっていた。

カリブ=いらっしゃい/どういたしまして
店の前を通りがかると、ショップ店員たちが「カリブ」と呼びかけてくる。ついついカリブ海を連想してしまうが、単に店に手招きしているだけである。「カリブ」と手招きされたら、「アサンテ」と切り返すべし。

アサンテ=ありがとさん
スワヒリ語で「サナ」は英語でいうところの”very much”。「カリブ サナ」や「アサンテ サナ」のようにも使われる。



ハクナマタタ=問題ねい!

キリマンジャロ登山で使うフレーズ

キリマンジャロ登山では、1週間近く現地のガイドやポーターたちと山で過ごすことになる。登山中にガイドからスワヒリ語を教えてもらったり、スワヒリ語を実際に使うのには良い機会でもある。

ポレポレ=ゆっくり


キリマンジャロでは、ひたすら「ポレポレやで」とガイドたちから指導を受ける。ゆっくり歩くことは高山病対策にもなる。

ポール・セローのアフリカ縦断記「ダーク・サファリ」によると、東アフリカにはもともと急ぐという概念が存在しなかったという。スワヒリ語にも急ぐという言葉はあるが、すべてアラビア語からの借用語。東アフリカでは急ぐことが否定的な意味を持つのだとか。

マジ=水



マジモト=お湯

マジハバリ=冷たい水

ピチャ=写真



タファッダリ=お願いします
ゆっくり歩くことのほかに、水を頻繁に飲むことも高山病対策となる。私のカバンがポンコツゆえか、横リュックに入れてある水筒が自分では取れないので、水休憩の度にガイドに「マジハバリ、タファッダリ」と言って水筒をとってもらっていた。「ピチャ タファッダリ」と言えば、「写真とってくだせえ」になる。

トゥウェンデ=ほな、行きますか
登山中の休憩終わりによく使う。

サワサワ=OK
英語のOKと同じく、いろんな場面で使い回しがきく。

カカ=兄弟

ポーター同士が、カカと呼び合っていたので、私も便乗してポーターに話しかけるときは「カカ」と呼んでいた。インド人やパキスタン人がやるような「マイフレーンド」に値するのだろう。

ダダ=姉妹

ポーターたちが、女性登山客に呼びかける際に使っていた言葉。

日本語のようなスワヒリ語

意味は日本語と全く違うけれども、日本語に似た言葉がスワヒリ語にはあるのも面白い。

キス=小刀(ナイフ)

ブス=接吻(キス)

ウソ=顔

チャクラ=食事

ナニ=誰

*左がスワヒリ語。区別するため日本語は漢字で表記

どこか日本語と似ていて、日本人にも聞き取りやすい言語。スワヒリ語を聞いているだけで、なんだか癒されるような気さえしてくる。

それにタンザニア人は気さくなでフレンドリーな人も多い(もちろん中には嫌な奴もいるが)。そんな人々と接しているうちに、この癒しの言語であるスワヒリ語をもっと学びたくなってしまうのである。

東アフリカをさらに知るなら

エジプトから南アフリカを縦断したポール・セローのアフリカ縦断記「ダーク・サファリ」がおすすめ。アフリカ旅行記の中でも大著と言える。筆者は日常の仕事やしがらみと一切決別するため、スマホもパソコンも持たず、たった1枚の地図だけで大陸横断に挑む。旅行中は、アフリカを舞台にした官能小説などを書きながら、本著では現地の人々を通じてアフリカの本質に迫ろうとしている。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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