歴史を食べる。文化と歴史がつまったザンジバルのグルメ

ザンジバルの料理は実に国際色豊かだ。アフリカだけでなく、アラブやインドといった地域の影響を受けている。また島ということもあって、本土とは違いタコやロブスター、イカなど海鮮類も食卓に登る。
観光リゾート地ということもあってか、島の中心地であるストーンタウンには、イタリアン、インド、シーフードと種類は以外にも多い。日本人が経営する”マサ・ジャパニーズ・レストラン”もストーンタウンにある。

イスラーム教徒が大半を占めるザンジバルだが、お酒類も飲め、ビーチ沿いにはおしゃれなバーやラウンジなどもある。以下では、ザンジバルの中心地ストーンタウンのおすすめレストランをご紹介。

ルックマン

ザンジバルのローカルフードを食べるなら、ここは外せない。ローカルフードを現地価格で楽しめることで、観光客に人気のザンジバル食堂。やってくるお客も半数以上がジモティーと地元民からも愛されている。キングフィッシュ、ロブスター、タコといったザンジバルならではの魚介類など、とにかくメニューが充実している。


ザンジバル名物のタコカレーに、シュリンプの串刺し、ピラウ


ジモティーで賑わう店内

エビの串刺しは4,000シリング、ザンジバル名物のタコカレーは6,000シリングとローカル価格で現地料理を楽しめる。食事をするなら2階へ。2階はオープンテラスになっており、大きなバオバブの木を見渡すことができる。

マアシャアッラ

ルックマンと並んで、お手軽価格でローカルフードが食べられる食堂。アラカルトで頼むよりも、15,000シリングでいろんな味が楽しめるビュッフェのミックスプレートがおすすめ。ミックスプレートは、インド、アラブ、アフリカなどメトロポリタンなザンジバルらしい味が楽しめる。


ビュッフェスタイルのプレート。インド、アフリカ、アラブ料理などがミックスされている。



TUMA

ザンジバルの町歩きに疲れた時に食べたいのが、TUMAのジェラート。よもやまさかザンジバルで本格的なジェラートが食べられるとは思ってもいなかったが、イタリア人オーナーがやっている店ということもあってかお味のクオリティは高い。

アップルシナモンやパッションフルーツ、バニラなど常時10種類ほどのジェラートがいただける。1スクープで3,000シリングとお手頃なのも嬉しい。石窯で焼くピザは15,000シリング。

ザンジバル滞在中は、ほぼ連日のように通った。ジェラートだけでなく、バーガーやピザもある。こじんまりとした店内に、美味しいイタリアの味がほっとさせてくれる。

ザンジバルコーヒーハウス

ザンジバルでコーヒーを飲むならココは外せない。タンザニアのバリスタ大会で優勝をおさめたバリスタがいるお店。コーヒーはヨーロッパの観光客も納得のクオリティ。

ザンジバルならではのスパイスコーヒーなどが楽しめる。コーヒーのお供で頼みたいのは、季節のフルーツを使ったデザート。

カルダモンやクローブなどが入ったスパイスコーヒーは6,500シリング。コーヒーのお供に頼んだパッションタルトは5,500シリング。コーヒーを飲むなら、ストーンタウンを一望できる屋上のテラスへ行くべし。

ファロダーニ・ガーデン

旧要塞の目の前にある。昼間は何の変哲もない公園だが、毎日夜6時頃になると屋台が立ち並び始め、多くの観光客でにぎわう。屋台に並ぶのはイカやタコ、エビ、カニ、インドのサモサ、”ミシュカキ”と呼ばれるザンジバル風の焼き鳥など種類は実に豊富。


ファロダーニ公園に並ぶ屋台


すでに火を入れた串焼きを注文が入ったら、再び焼く。種類は豊富だが、値段はローカルマーケットよりはやや高め。


ザンジバル名物のウロジョ。日没頃に行くと美しい夕焼けが楽しめる。近くで地元のキッズが飛び込みをしていた。

リゾート客が多いためか、中にはぼったくられただとか、料理が生焼けだったといったクレームも結構ある。賛否両論の屋台マーケット。

問題のガーデンへ行くと、歌舞伎町のような客引きが現れる。手持ち無沙汰なジモティーはその辺に多くいるのだが、誰も屋台には手を出していない。やはり値段が高いからだろう。

よって、注文するときは、事前に値段を必ず交渉すること。複数店舗を回った上で値段を決めるのもありだ。串刺し4本で40ドルなどといった、あからさまに高いと思われる場合はスルーすべし。

また、店主が忙しくて料理に十分火が通っていないということもあるので、必ず焼け具合をチェックすするべし。

ローカル屋台マーケット

ザンジバルのローカル屋台

ジモティー価格で美味しい料理を食べるなら、ここ。周りの客はジモティーしかおらず、ストーンタウンを歩くような観光客の姿は、ここには全くない。ローカルな雰囲気を味わいながら、激安グルメに舌鼓をするなら、オススメの場所だ。

屋台に並ぶ商品は、肉類がメイン。イカやタコといった海鮮類の串刺しはあまりない。それでも、ボリューミーな焼き鳥5本ぐらい頼んで、3,500シリング(約160円)と激安。ファロダーニの屋台マーケットと違い、昼過ぎから空いているのも嬉しいポイント。


特製ダレがかかったザンジバル風焼き鳥

屋台マーケットがあるのは、魚やスパイスなどが売られているダラジャニ・マーケットから道路を挟んだ反対側である。グーグルマップで見ても、なぜか地名はない。だいたいこの辺なのだが。

食事をするときの注意点

いくらザンジバルがリゾート地とはいえ、ここはアフリカの島。食に関しては油断してはならない。ザンジバルでは、一度火を入れた状態のタコやイカ、ザンジバル風焼き鳥を屋台に並べ、お客が注文すると再び火で温めて出すというスタイルが取られている。

おそらく、多くの人はふーん、という程度で読んでいるだろうが、これは体調に関わる重要な情報であるから心していただきたい。かつての私も別の旅行者から同じような情報を聞き、ふーんと聞き流していたのだが、そのせいで当たってしまった。

2度温めすること自体は問題ない。問題は、火の通りがイマイチで、冷めた料理が結構出てくることなのである。

ローカル食堂でサメのスープを注文したら、冷えたスープが出てきて、直後にお腹を下してしまった。観光客の人気レストランでも、どう考えても冷めてね?というような串刺し料理が出てきたこともあった。

ザンジバル島民は、1回火を入れてるし、こんぐらいでOKやろ!と思ったり、客側もなんくるないさ〜とやり過ごしているのかもしれない。けれども、外国人にとっては十分でないのである。よって、海鮮類や肉を使った串類を食べるときは、必ず事前によく温められているか確認すべし。

歴史を語るザンジバルの食卓

ザンジバルの食事は、単なる食事ではない。そこには、文化と歴史が凝縮されている。かつてこの小さな島を支配したアラブやインド人たちが残した、足跡をたどることができるのである。

なぜこんな小さな島を支配したのか。それを紐解いていくと、ヨーロッパの大航海時代やそれ以前にアラの商人たちが、「海の道」で手広く商売をしていたことが見えてくる。海の交易において、東アフリカのこの島は、地理的に重要な意味を持っていた。

ザンジバルはかつて海洋帝国とも呼ばれたオマーンの一部でもあった。東アフリカのザンジバルと、アラビア半島のオマーン。地理的にはずいぶんと離れているが、人々の交流も盛んで、現在のオマーンでは、ザンジバル移民の子孫らしき人もちらほら見かける。

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さらに、オマーン人男性がかぶっているクンマと呼ばれる帽子は、元々はザンジバルからきたものだと言われる。ザンジバルのショップを見ていると、確かに大量のクンマが売られていた。

食べ物はモノを語らない。けれども、皿の上に盛られたザンジバル飯をじっと見つめていると、モノ言わぬ歴史の語り手のように見えてくるのである。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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