イラク観光ビザを取得するためだけにロンドンへ

すでにバグダッドに関する記事をアップしたので、時系列で読んでいる人(いるのだろうか・・)にとっては、は?という状態だろう。

イラクデモに関しては、タイムリーであげたかったため、あちらを先にアップしたというのが理由である。本来ならば、こちらの記事から始まる予定だった。


1ヶ月後にイラクへ渡航することになっている。今回は単独ではなく、クラブツーリズムよろしくのグループ旅行である。

現在のイラクでは、個人向けの観光ビザを発行していない。ビザが発行されるのは、グループ単位である。一人で行こうとすれば、ビザ代だけでたいそうお金がかかる。

よって、プントランドの時と同様、世界各地のランダムな人々と行くことにしたのである。

ツアーを主催するのは、ソマリアやプントランド旅行でも世話になったアンテイムド・ボーダーズというイギリスの旅行代理店である。ロンドンに拠点を構える会社だ。

パスポートを郵送せよ

グループツアーなので、ビザの手配などもすべてやってくれるのかと思いきや、そうではなかった。アンテイムド・ボーダーズの世話役から送られてきたメールには、こう書かれていた。

「え〜、観光ビザをこちらで一括で申請したいと思いますので、つきましてはパスポートを郵送で送ってくんなまし☆」

ひえっ!?

大事な大事なパスポートを郵送で送れだと!?

海外居住者にとって、パスポートは極めて重要なアイテムなのである。なにせ、居住ビザがパスポートにひっついているので、失くしたら一大事である。

それを、ドバイからロンドンへ郵送で送れ・・・とは。

そんなことをしたら、ブラックホールにパスポートを放り込むようなものである。

今回はグループ旅行のため、みな同じ大使館でビザを申請しなければならない、という縛りがあった。ロンドンのイラク大使館でビザを申請する!と先方がいうので、申請するならロンドン限定なのである。

ビザだけのために海を渡る

もしかしたら、パスポートの郵送は危険、と考えているのは私だけかもしれない。よくあるのだ。日本人が常識と考えていることが、海外の非常識だということが。今回もその一例かもしれない。

世の中をよくわかっている、経験豊富なインド人同僚に聞いてみると、

「おいおい、そんな危ねえことできっかよ。ロンドンに行ってビザがとれるんだったら、ロンドンに行ったほうが早いじゃん」とのたまわった。

ということで、急遽ロンドンへ行くにことにした。

ビザをゲットするためにだけである。

なんとも違和感がある渡航目的だが、ビザをゲットしないことには次に進めないのである。

かつてドバイがあるアラブ首長国連邦(UAE)に入国するには、イギリスでビザを取らなければならなかった。現在のUAEがイギリスの保護領となっていた時代の話である。

そんな石油が見つかる以前のドバイを訪れた、元産経新聞カメラマンのエピソードを思い出した。

ドバイが貧しかった時代。石油以前のドバイを切り取った日本の写真家がいた

ちなみに後に判明したことだが、他の参加者たちは、みな郵送でパスポートを送っていた。のこのことロンドンへと出かけて行ったのは、私のみであった。

アメリカやカナダ、スイス、ドイツなど、郵便システムが信用できる国だからなのかもしれない。

ロンドンへ行った顛末は、下記のとおりである。
これお墓!?ゴージャスすぎる謎の墓。ロンドンのハイゲート墓地に行ってみた

最強すぎたロンドンのホームレス

18世紀の労働者メシ。絶滅する「ウナギゼリー」をロンドンで食べてみた

イラクツアー参加者の顔ぶれ

ロンドン滞在中。大都会ロンドンに浮かれながらも、翌日に控えたビザ申請の書類を確認していた時のこと。

その中の1つに、今回のツアー参加者リストがあった。見ると、参加者全員の名前に加え、生年月日、パスポートのお国、パスポート番号がすべて記載されているではないか。

個人情報があからさまに流出している。

参加者の顔ぶれをみると、私以外全員は欧米人である。アメリカとイギリスが多い。

しかも、どちらかというとみな高齢なのである。もっと若い参加者がいるのかと思いきや、ざっとみる限り参加者の平均年齢は50代といったところだろうか。

クラブツーリズム状態である。

ちなみに最年長はオーストリア出身の76歳男性で、最年少は自分であった。ちょうど私の祖父も同じぐらいの年齢だ。もはやおじいちゃんと孫のイラク旅行である。

というか、その年齢でイラクに行こうとか、強すぎないか?

強すぎるシニアに、敬意を払いたい。

観光ビザを無事取得

そして、ビザ申請の当日。ロンドンにあるイラク大使館で午前10時頃に申請をし、お昼過ぎに、ビザを取りに行くというスケジュールであった。


ビザ申請所の入り口


ロンドンのイラク大使館。立派な入り口があるのに、なぜしょぼい地下の扉から入る仕組みになっているのか。

大使館のおばさんに、「まったくもう。あんた人の話、聞いていた?先にお金を払ってと言ったでしょう?ぷんすかぷんすか」などと、いびられながらも、ビザは、めでたく取得できた。

時間とお金をかけた割には、あっけなさすぎて、特に記述することもない。

ただ、その達成感は並々ならぬものである。

しかし、一歩外へ出ればそんな達成感をむなしくしてしまうほどに、ロンドンは大都会すぎて、寒かった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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