刑務所からこんにちは。受刑者との遭遇

家の近所に刑務所がある。

あまりにも町に馴染みすぎていて、当初は気づかなかった程だ。刑務所のすぐ横には、スーパーもあるし、幼稚園もある。人々の日常に刑務所は溶け込んでいる。

けれども、何度も通るうちに、やはり町に鉄条網は似つかわしくない・・・まさかと思い調べてみると、やはり刑務所だった。

これまでいろんな場所に住んでいたが、刑務所まで徒歩10分という利便性は初である。刑務所というと通常、人里離れた場所をイメージする。

しかし、私が住むのはミッテと呼ばれるベルリンでも一等地のエリア(高級というわけではない)である。なんなら外国人が住みたいエリアとしても人気が高い。

ある日、刑務所横にあるスーパーへ行った時のこと。その日は4月で暖かく、外を歩いていて気持ちがいい日だった。

何気なく、ふと刑務所の方をみやる・・・

あれ・・・?

刑務所の窓が開いている。窓際に立つ男が、「ピュー」と口笛を吹いて、誰かの気を引こうとしている。

さらに男はこちらに向けて手を振ってきた。

私はあたりを見まわした。他に道路を歩いている人はいない。

私・・・?

とりあえず手を振られたので、振り返す。

無意識でやってしまったが、ええと、受刑者の方ですよね?

なぜ私は受刑者(おそらく)に挨拶しているのだろうか。この世にも奇妙な事件を紐解いていこう。

そもそも、受刑者と私が挨拶している状況。日本ではまず考えられない。日本の刑務所は塀が高く、建物の中が見えることなどまずない。

一方で、私の近所にある刑務所は、塀がかなり低く、建物の大部分が見える。よって、一般人が受刑者と「こんにちは」してしまう状況が発生してしまうのだ。

ドイツの刑務所?
例の刑務所

調べてみると、そもそもドイツでは刑に服することを、罰というよりも社会復帰のプロセスとしてみなす傾向があるという。

よって、受刑者のリスクに応じて、開放型と呼ばれるような塀が低い、もしくは塀がそもそもないといった刑務所も存在するらしい。どうやら私の近所にある刑務所は、そのタイプだったようだ。

ここには、刑が確定した受刑者だけでなく、裁判待ちの勾留者もいることが判明。となると、窓の男は受刑者ではなく、もしかしたら無罪になる人だったのかもしれない。

さらに見ていくとなんとこの刑務所、インスタまでやっている。刑務所がインスタを運営していること自体驚きだが、中には、収容者たちがテレビでサッカーを見ている写真まで投稿されていた。

それがこちら

 

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刑務所というより、日常の光景である。

何この自由なスタイル・・・

結局あの男が何者だったのかは、誰にも分からない。今でも刑務所の近くを通る度に、建物を見上げる。けれども、あの不可解な遭遇はあれっきりだ。