豪華絢爛!オマーンのスルタン・カブース・グランドモスクをめぐる

石油で潤った湾岸諸国に行くと必ずあるのが、豪華絢爛なモスクである。

オマーンも例外ではない。それが首都マスカットにある国王の名前を有したスルタン・カブース・グランド・モスクである。

異教徒も訪れることができるモスク

本来イスラム教徒の祈りの場であるモスクに異教徒が入ることはできない。しかし、このモスクだけは金曜日を除く午前8時から11時まで、異教徒にも解放している。

すでに観光スポットとしても有名なアブダビのグランド・モスクを見てきた後なので、正直どんなもんだろうと思っていた。

美しきイスラム建築の集大成

しかし、金をかけ贅を尽くした国内一巨大なモスクは、やはり見応えがあった。正直に言えば、アブダビのグランド・モスクよりも美しい。というかセンスがある。

スルタン・カブース・モスクには、イスラーム教徒の5つの義務に由来して、ミナレットと呼ばれる塔が5つある。ミナレットからは、アザーンと呼ばれる祈りの合図が流れる。


スルタン・カブース・グランド・モスクは、2万人を収容できるほどの大きさで6年と7ヶ月をかけて2001年に完成。

60万のスワロフスキー・ガラスと 24カラットの純金をあしらったシャンデリア。高さ14メートルで重さはなんと8.5トンにもなる。シャンデリアを作るだけでも4年かかったらしい。

聖地メッカの方角を示す「ミフラーブ」と呼ばれるくぼみ。イランのモスクでよく見かける”ムカルナス”と呼ばれる鍾乳石のようなデザインが特徴。


ステンドグラスの周りにもムカルナス。


すべて手で縫われたペルシャ絨毯。タブリーズ、カシャーン、イスファハンなどイラン各地の伝統的な模様が施されている。


女性用の礼拝所には、細やかな木彫りのデザインやカラフルなステンドグラス。

豪華なシャンデリアや内装に目を奪われがちだが、敷地内の回廊にも注目されたい。回廊には、インドやイラン、アラブなど各地のイスラーム建築模様があしらわれたミフラーブがならんでいる。世界各地に広まったイスラームの多様性を感じさせてくれる。

こうしたモスクは、確かに美しい。ただ、本来イスラム教徒の祈りの場としては、別にこんなに豪華絢爛である必要はないのだ。

必要なのは、メッカの方角を知ることと、祈りをするのに十分に清潔な場所だけ。砂漠で祈りを捧げるベドゥインやドバイのメトロの駅でおもむろに祈りを捧げる人もいる。

たとえ豪華絢爛なモスクの中での礼拝であっても、その祈りの動作は非常にシンプル。豪華絢爛さからは想像しがたい、イスラム教徒たちの素朴な姿にも思いを馳せたいところである。

訪れる時の注意点

モスク内に入るのには、女性は肌と髪の毛を隠す必要がある。長袖を着て、ストールを持参したほうが良いだろう。

忘れた場合には、モスク前に待機しているタクシーの運ちゃんがアバヤとスカーフを貸してくれる。しかしアバヤはぶかぶかなので、歩きづらい。料金は2リヤルだが、渋って交渉してみると1リヤルになる。

モスクへの行き方

モスクへ行くにはタクシーかレンタカーが便利。マスカットのマトラからモスクへは車で約20分ほど。バスでも行けなくはないが、バス停から20分ほど歩く。マスカットのルイにあるバス・ステーションから1番線のバスに乗って、15分ほど。

オマーン旅行前に読んでおきたい本

旅行先としてはまだマイナーなのか、オマーンだけを特集した旅行本はないが、地球の歩き方には、まとまった情報が掲載されている。細々と紹介されているわりには、各地の情報がきちんと網羅されているので、役に立った。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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