知っているようで知らない、ロシアへ渡った韓国料理

ドバイのグルメ家たちが集まる会に参加した。この日やってきた参加者たちは、おおよそ12人ほど。

今回のテーマは「シルクロードか?スターリンか?」というもの。

まず我々一行がやってきたのは、ドバイにある韓国料理レストラン。1997年の創業で、世話好きの韓国人の女将さんが切り盛りをする店だ。

韓国料理なので、食べ慣れた味の料理が出てくるんだろう、と思いきや一品目から見知らぬ料理が出てきて面を食らう。

赤いスープにチーズ?

はて。韓国料理にチーズがかかった料理なんかあっただろうか?そうしているうちに、韓国料理ではおなじみのお通したちが、どやどやと到着する。

正直いうと、12人ほどの参加者のうち東アジアからの参加者は私一人だけだったので、韓国料理ならおまかせよ〜♪などと、まったく根拠もない自信を持っていた。

しかし、その瞬間かグルメ家たちが牙を向く。

インド人が赤い物体を見て、「これはコチュジャンが入っているんじゃないの?」だとか、ドミニカ人やセネガル人が「キムチおいしいよね〜」などと次々にかましてくる。

というと読者はこう思うだろう。そんなの人種で人を決めつけちゃいけないよ、と。

それは百も承知である。しかし、インド人がコチュジャンについて真面目に語る姿を見たこともないし、ましてやカリブ海の人がキムチをつつく様子なんか想像だにしなかったのである。

笑うなら笑っていただきたい。この島国育ちの島民を。

これがドバイのグルメ家か・・・無論、自分がグルメ家などとはこれっぽちも思っていないが、改めてグルメ家たちの威力を垣間見た瞬間だった。そして、己の料理に対する浅薄な知識さえも自覚してしまった。

よく食べてる韓国料理だからといって、韓国料理のことを知っているわけにはならないんだよな・・・

話を料理に戻そう。先ほどの赤いスープの正体は、トッポギ(実はトッポギをこれまで食べたことがなかった)。突如、登場した韓国料理屋の女将の話によると、通常はチーズをのせないが、外国人が食べやすいように工夫した結果ということ。

さらに女将は続けてこんな話もしてくれた。

「うちのお店ね〜、結構ロシア人のお客が多いのよ。みんな、韓国料理を出してくれっていうんだけど、いざ料理を出したらこれは韓国料理じゃない!っていうの」

???

謎かけである。この疑問は、次の店で解き明かされることになる。

謎をかけられたまま、最後に出てきたのは。「カルグクス」と呼ばれる麺料理と韓国風冷麺だ。


シャリシャリの氷が投入された韓国風冷麺

麺に氷をかけているところで、一行からは「ええ!?」と驚嘆の声が上がる。冷たい麺類というのは、他の国ではあまり馴染みがないものであることが見て取れた。

ワンテンポ遅れて私が驚いたのは、その味である。甘いのだ。麺なのに甘い?アラビア半島のバラリートほどの衝撃的な甘さではないものの、ほんのりとした甘さが癖になる。


カルグクスは日本のうどんの味に近い

すっかり馴染みの味に満足したところで、我々一行は次の店へとそろぞろと移動した。

次回へ続く

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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