ドバイのリモートワークビザ。リモートワーカー視点で考えてみた

とにかくフットワークが軽いドバイ。やると決めたら思い切って即行動に移すのがドバイの良いところである。

そんなドバイが始めたのがリモートワーカー向けのビザ発行である。

中東のハブとして世界中から観光客を集めてきたドバイだが、コロナの影響で観光客は減少。コロナで職を失ったり、もうドバイはあかん!と見切りをつけた外国人たちがドバイから流出した。

リモートビザを得るための条件とは?

実際にコロナ以降、かつて働いていた不動産会社の同僚たちは半分以上解雇された。とある人は今も仕事を探し続け、一定の人々は自分でビジネスを始め、そのほか大勢はコロナでニーズが増加したデリバリー会社に集団で転職を決めていた。まさしく蜘蛛の子を散らす勢いである。

ドバイの収入を支えていた観光客が来ねい!しかし、偉大なるドバイはあわてない。ドバイが考えた次なる作戦が、リモートワーカーを呼ぼう!というものである。

ドバイリモートワークビザ
ドバイのリモートワークビザを紹介するページ

他の国と同じくドバイ経済は停滞気味。一方でリモートワーカーは、世界レベルで確実に増えた。かくいう私もその一人である。

ではビザ取得の条件はどうなっているのか。

それがこちら。

・最低月収が5,000ドル(約52万円)
・雇用証明書の提出が必要
・有効期限は1年
・ビザ申請料は287ドル
・所得税の支払いは不要

ひえっ

月収50万!????

50万円で足きりしたら、ドバイ労働者の半分近くがいなくなるんじゃないか!?

ちなみにUAEの平均月収は80万円ほどだが、これは一部の人々がアホみたいに高い月収をもらっているために引き起こされる数字マジックである。

一方で、キラキラドバイを演出する高層ビルを建設したり、巨大モールで笑顔で出迎えてくれる人々の月収は6~15万円ぐらいである。

月収50万円はそれほど難しくはない?

なるほど。ドバイが相手にしているのは、高級クラブに行くような一部の富裕層リモートワーカーもしくは社長なのだ。私のような庶民派リモートワカーはお呼びではないのだ。

そりゃそうだ。ドバイが一貫して重視しているのはマネーである(他の国もその点は同じだろうが、ドバイの場合はかなり露骨なのである)。それはコロナ前も変わらない。

そもそもドバイに来るような観光客はかなりお金を思っている。ドバイはお金があって初めて楽しめるようなアトラクションが満載だからである。

しかし、50万円というのはそれほど高い数字ではないのかもしれない。デジタルノマド向けのビザを発行しているジョージアは月収20万円エストニアは月収45万円ケイマン諸島の場合は年収1,000万円を最低条件としている。

税金を納めるという確固たる形で、その国に貢献していないポジションだからこそ、きちんと稼いでいる人だけに門戸が開かれるのだろう。

フルリモートワークの落とし穴

もう1つ問題がある。仮に会社がフルリモートOKな場合でも、どこでも好きに住んで良いという訳ではないというケースもある。

最近、とあるグローバル企業の面接を受けた。日本支社の仕事だが、フルリモートOKということで面接を受けてみた。宴もたけなわ、これはイケそうだぞと思った瞬間。人事から言われた。

「あのー、うちの会社ってフルリモートOKなんですけど、基本は日本にいて3ヶ月だけ海外にいてもいいというルールになってるんですYo」

「・・・・」

「今後、もし3ヶ月以上海外にいるっていうなら、この話はなかったことに・・・」

「ですよね・・・」

そう。いかに個人がリモートだとかデジタルノマドなどと称して、”自由”に働けるようになったとはいえ、会社の社員として働く場合には、こうした壁がある。会社は会社で、その国に税金を納めなければいけないし、日本の場合は年金や保険の問題も絡んでくる。

もしかしたら、年中どこにいてもOKな企業もあるのかもしれない。実際に今はそうした企業で働いているのだが、契約はあくまで社員ではなくフリーランスとして結んでいる。

ちなみにドバイにはフリーランスビザというのもある。職種は教育、メディア、IT系と限られているが、こちらの場合は7,500AED(約23万円)を払えば、1年間有効のビザを取得できる。ちなみにかつての同僚も、会社の不当解雇にあってからからこのビザを取得した。今では会社員時代よりも稼いでいるという。

リモートワーカーの視点で見たドバイ

では実際にリモートワーカーとして生活する上でドバイの生活はどうなのか。正直、家に引きこもって仕事をするだけなら、ドバイはかなり最適な環境である。他の中東の国では、ドバイのような超快適な空間(あくまでも生活において)はなかなか見つからない。

<良い点>
・ネット&インフラ環境が先進国並み
・コワーキングスペースが充実
・日本との時差が5時間。日本やヨーロッパ企業と仕事がしやすい
・英語が通じる
・日本レストランや日本食が売っている
・所得税がない

特に重要なのが、日本やヨーロッパとの時差が3~5時間ということ。いかにリモートOKとはいえ、ある程度同じ時間に働くことが暗黙のうちに求められるし、その方が一緒に働いている感がでる。

ヨーロッパ企業やアメリカの企業と働いているリモートワーカーにとっては、時差の短さも重要だったりする。その点、ドバイは日本とヨーロッパの中間にあるので、どちらとも働きやすい。

またコワーキングスペースでのコミュニティも充実している。ミートアップイベントも頻繁に行われているし、実際に使ったことがあるという知人に聞いたら、仕事の話で盛り上がったなんていうことも聞いた。ドバイには世界中から人間が集まっているので、そうした異文化の刺激を受けることもできる。

生活においても、ほとんどストレスなく生活ができるのも良い点。日本食が恋しくなれば日本食を食べられるし、英語ができれば生活に困ることはない。

しかし快適な空間を維持するには、日本以上のコストがかかるのがドバイでもある。月収50万円以上で所得税なしといえども、そこそこの生活をしようと思えば20万円ぐらいかかる。

<悪い点>
・生活コストが高い
・夏は暑すぎて外に出られない
・食事、エンタメ以外の娯楽が少ない

こうしてみると、出費がかかることや気候をのぞけば、リモートワーカーにとってもいい場所なんじゃないかと思う。1年だけドバイに住んでみるのもありだろう。

ドバイに住んでよかった4つのこと

元在住者の告白。メディアが伝えないドバイのやばすぎる闇5選