アフリカのリゾート地に間違って行った結果

キリマンジャロから下山した翌日。ズタボロになった体を引き連れてやってきたのが、ザンジバル島である。モシから小型プロペラ機に乗って1時間弱で、ザンジバル空港に到着した。

同じタンザニアとはいえども、やや高地に位置するモシと、島のザンジバルでは天候もずいぶん違う。3月の雨季に入ったザンジバルは、とにかく湿気が高く、日本の梅雨みたいにムシムシしている。

ザンジバルの中心地であるストーンタウンをぶらぶらしながら、気づいた。

どうもザンジバルというのは、チャラチャラ感が否めない・・・

ザンジバルの観光業は予想以上の発展を見せており、アフリカの土産屋らしからぬ、ハイセンスでオシャンティなファッション雑貨店が立ち並んでいる。そこに群がるのは、ラフなリゾートスタイルに身を包む、欧米の観光客たち。

ザンジバル人民の90%以上がイスラーム教徒だというのに、街中にはバーやお酒を扱うレストランもあるし、路上には短パンにへそピをかましているヨーロピアンギャルもいる。

何ここ・・・?

キリマンジャロ登山にやってくるような、アウトドア派とはまた毛色が違う人々であった。日本人がハワイに来るような感覚で、欧米人はザンジバルを訪れるらしい。

そう、ザンジバルはモルディブやセーシェルに匹敵するような、リゾート地だったわけである。

一方でこちとら、ザンジバルがリゾート地という認識はあまりなく、むしろオマーンがかつて支配した場所という、アラブのよしみだけでやってきた。

おまけにキリマンジャロ登山を終えたばかりの私いえば、髪の毛もボサボサ、唇も日焼けでガサガサで感覚がない。筋肉痛で痛む足を引きずるようにして歩いていた。下山で無理をしたせいか、どうも親指の感覚がない(治るまでに1ヶ月弱ぐらいかかった)。

当然、その姿はリゾート地とはかけ離れており、ホテルの部屋にある鏡に映った己を見て思った。

野人じゃあん・・・?

それに、今まで行ってきたのは、サウジ、エチオピア、ソマリアといった、キラキラ感もリゾート客もいない時化た場所である。そんな場所からいきなり、新婚カップルがハネムーンでも訪れるというザンジバルである。

おのれの場違い感が否めない。

リゾート服は持っていないし、湿度が高いのでジーパンも履けない。

しょうがないので、正面に「モガディシュ☆」と大きく書かれた、ソマリアのマラソン大会でもらったTシャツに、ランニングスパッツという完全なランナースタイルで、終始やり過ごすことになった。

優雅なリゾート旅行でやってきて、きゃっきゃする観光客を横目に、ランナースタイルでザンジバルの路上をずんずんと歩く野人。なんで、リゾート地に来ちゃったんだろう・・・

ザンジバルに来たことを、ちょっとだけ後悔した。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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