イラクのお酒飲み比べ。地産ビールからアルコール度数40度の蒸留酒まで

イラクは、イスラーム教徒が大多数を占める国だが、お酒を飲むことができる。

しかも、バグダッド市内の店に行けば、バドワイザー、コロナ、ハイネケンといったお馴染みの銘柄から、日本のウィスキーまでもが手に入る。

その品数をもってすれば、軽くバーでも開けそうである。

ただ、どこにでも売っているわけではなく、専門の酒屋で購入する必要がある。

バグダッド市内の中でもカラダ地区からサドゥン通りにかけては、そうした酒屋が多い。

一方で、同じイラク国内でも、ナジャフ、カルバラ、クファといった聖都では、お酒は禁じられている。

イラクで、”かんたんに”お酒が飲めると知ったのは、バグダッドについた当日だ。

「そうそう、このホテルにはバーがあるから、お酒も飲めるよ」

なんと!?

これは確かめずにはいられない。そんなわけで、ホテルに到着して早々に、私はバーに行ったのだった。

イラクのビール
怪しげなピンクの明かりに照らされたバーで、出てきたのは「ファリダ」と呼ばれるイラク産のビール

もちろんホテルのバーなので、値段は少々高い。ホテルだと1本5ドルしたが、市内の店で買えば、1ドルちょっとである。

それでも、ドバイに住んでいる身にとっては、もはやブラックフライデーセール状態である。

ドバイでは、一応お酒は飲めるが、ホテルのレストランやバーに限られる。しかも、ビール1杯の値段は、1,500円ほど。

世界一ビールが高い!ドバイの酒事情。お酒を飲むなら持ち込むべし!

飲んべえなら暴動を起こすであろうというほどに、異常に高い価格だが、それでも人々は「高えよな」と愚痴りながらも、お酒をちびちびとやるのである。

お隣のサウジアラビアでは、国内では一切合切お酒を飲むことができない。

もはや、酒なんて存在しませんよ?という世界なのである。まあ、外国人観光客を受け入れ始めたサウジがお酒を解禁する日は、そう遠くないように思えるが。

イスラーム教の国でも、ここまで規制が厳しいのは、湾岸諸国ぐらいだろう。パレスチナやヨルダン、シリアでは少数ながらもキリスト教徒がいるので、地元産のビールやアラックと呼ばれる蒸留酒が出回っている。

ここイラクでも、お酒を売っているのは、少数派のクリスチャンやヤジディ教の人々である。

バグダッド市内にある酒屋

イラクの酒屋で売られる日本のウィスキー
イラクの酒屋で売られる日本のウィスキー

イラク産ビール、ファリド
イラク産地ビール「ファリダ」


道端の酒屋。こちらは欲しい品物を店員に伝えて、購入するという形式

酒の近くにはパリピも集まりやすいのか、店の近くには、若い女性がもてなすスナック、クラブなどが点在していた。

さらには、タバコをふかしまくるおっさんが大集結していたカジノなどもあった。

バグダッドのナイトライフは、意外と充実していそうである。

イラクで作っているのは、ビールだけでなく、アラックと呼ばれるナツメヤシの蒸留酒やウィスキーもある。これらは、なぜ缶に入っており、どこか怪しげでもある。


イラク産と書かれたアラックとウィスキー

アラックとウィスキーのアルコール度数は40%。両者ともストレートで飲めるものではない。

アラックは、水で割って飲むのが一般的。水をいれると、無色透明から白色になるので、「獅子の乳」とも呼ばれる。

ビールやワインしか飲めない人間にとっては、アラックもウィスキーも、残念ながら理科の実験で使うアルコールのような匂いでしかなかった。

原液をそのまま飲もうとしたら、「んなもんいれんじゃねえ!」と喉が拒否したぐらいである。口が焼けるようで痛いのである。

飲み比べをしようと思ったが、あまりにも酒の度数が強すぎて、結局ビールだけを飲むという結果に終わってしまった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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