未知なる味?ラクダミルクからラクダ肉まで!ラクダグルメを一挙紹介

アラビア半島、ソマリアあたりにいると、ラクダグルメに接触する機会が多い。

なにせソマリア(ソマリランド含め)は、ラクダの出荷頭数世界No.1で、サウジアラビアやUAEにもずいぶんとラクダを輸出しているのだ。

一方のアラビア半島には、もともと砂漠の遊牧民、ベドゥインがいる。今では4WDを乗り回しているが、数十年前はラクダを乗り回していた人々である。

正直に言うと、あの愛らしい動物を食べるのは忍びない。ラクダはのろのろ歩いているが実に愛くるしくて、ポテンシャルが高い動物なのである。


愛くるしいラクダの笑顔

砂漠では「かわいいなあ」といって、ラクダが繰り出す自然な変顔を愛でておきながら、レストランや道端でラクダ肉を食らっている自分。ラクダよ、すまん。

そんなラクダへの罪滅ぼしとして、ラクダグルメのポテンシャルをお伝えしたい。

強敵!ラクダミルクシリーズ

まずは軽くラクダミルクから行こう。ラクダを使った食べ物といえば、ラクダミルクが定番だろう。ドバイのスーパーでたまに見かけるのがこのラクダミルクシリーズ。


キャメリシャス社のラクダミルクシリーズ。1本あたり約250円ほど

プレーンからいちご、デーツ、チョコ、サフラン味など種類は豊富だ。「普通にイケますよ〜」みたいな顔をして陳列されているので、「あら、意外とイケる口なのかしら」と思って手に取ってみる。

なんだこの味は・・・?

牛乳になれている人間からすれば、ラクダミルクも同じような系統の味なのかと思いきや、思いっきり別の惑星レベルの味ではないか。

ものすごく不味いわけでもないし、美味しいわけでもない。デーツ味とサフラン味を試したのだが、結局どちらも3口ぐらいが限界だった。飲みやすいようにフレーバーをつけているのに、どうしてもあの少量が飲み干せない。それがラクダミルクなのである。

一方で、アメリカではなんと1本約2,000円でラクダミルクを売っているDesert Farmsという会社がある。100円のコーラを1万円で売る、みたいな話があったがまさにこのことではないか。ラクダミルクが体にいいべ!みたいな付加価値をつけて、高額で売りつける・・・実によくできたマーケティング戦略である。

激辛!ラクダミルクを使ったスポーツドリンク

ラクダミルクだけにとどまらず、スポーツドリンクも作っちゃえ!ということで作られたのが、キャメリシャス社のラクダミルクを使ったスポーツ飲料である。こちらもドバイのスーパーで見つけたものである。

製造国をみると、「オーストリアがUAEのために作りました」と書いてある。あくまでUAEの製品であることをアピールしたい。製造業にめっぽう弱いUAEは、このように自国の製品として匿うのに必死なのである。

肝心のお味は・・・?

スポーツ飲料なのに激辛!

あまりの辛さにむせてしまった。これは、罰ゲームとかで使うレベルのものである。家で一人飲んでみたので、一人で罰を食らうという悲しい状況。

生姜風味と書いてあるが、生姜の味しかしないのである。ラクダミルクの面影なんてこれっぽっちもない。あからさまに生姜の味でラクダミルクの味を消しにかかっている。

オーストリアの製造担当者も、「ラクダミルクの味、きっついなあ。生姜で調整するか」などといって、生姜成分を多くした。その結果、気づけば生姜の味しかしない激辛スポーツ飲料が誕生したのではないか、とさえ思う。

製造&販売担当者に言いたい。これは飲料コーナーではなく、ドンキのバラエティコーナーに置くべきだ、と。

ドバイの高級土産に成り上がったラクダミルクチョコ

ここまで読んだ方は思うかもしれない。なんだあ、ラクダのミルクって美味しくないの〜?と。ここでラクダの名誉挽回である。


ドバイ土産の定番。「アル・ナスマ」チョコ

ドバイ土産の定番、「アル・ナスマ」チョコはラクダミルクを使った高級チョコである。板チョコでも1,000円ほどするのだ。こちらは、日本人もうんめっ!というほど絶賛されているチョコレートである。

砂漠のストリートフード!ラクダの串焼き

オマーンのサラーラを旅行中に道端で発見したのがコチラ。なにやら屋台みたいなものが連ねており、近づいてみると石焼で肉を焼いていた。


8店舗ほどの露店が連ねていたがすべて同じ商品。中央に位置するのはチキン


ラクダの串焼き。脂身と赤身が交互にドッキング

聞くとラクダ肉を使った串焼きだという。1本あたり約50円ほどとお財布にも優しい。ミルクとは違って、こちらはウマい!!何本でもイケてしまう。独特のくさみもなく、歯ごたえがありながらも柔らかかった。

酒のつまみにイケる!ラクダジャーキー&ラクダ肉煮込み

こちらはたまたま羊を放牧していたベドゥインを訪れた時にいただいたものである。遊牧民とだけあって、住処は荒涼とした岩山の一角にあった。

「ラクダ肉を乾燥させたものよ」とおもむろに出されて食べてみたのだが、これがまあ味も見た目もビーフジャーキーとくりそつなのである。

砂漠にいながら、ビールを思い浮かべるほど、酒のつまみとしてもいけそうだ。というか商品化したらこれは絶対売れる。

別の鍋から出されたのがラクダ肉の煮込み。シンプルにラクダ肉だけを煮込んだものである。5センチほどの長さに切られたラクダ肉だったが、こちらもうまい。牛すじを煮込んだような、トロトロのやわらかさと肉の旨みが凝縮している。

この2品だけでラクダ居酒屋でもやっていけそうだ。それぐらい、遊牧民のラクダメシは日本人にもなじみがある、優しい味だった。

優しい味付けで日本人も食べやすい!ラクダ肉炒め

未承認の独立国家、ソマリランドにもおいしいラクダグルメがある。アラビア半島とは違い、炒めて食べるのが特徴的である。脂っこくなく、優しい味付けなので日本人も食べやすい。


ラクダ肉の炒め。フレンチフライと野菜ソテーを添えて

はじめてラクダ肉炒めを食べたのは、ソマリランドのホテル。国連の人も利用するホテルなので確か1,000円近くしたような覚えがある。ラクダ肉はしっかりと調理され柔らかかった。

ちなみにソマリアのモガディシュやプントランドは、海が近いためかラクダ肉よりも白魚やロブスターを食べる機会の方が多かった。

ギネスにも登録!世界最大の料理、ラクダの詰め料理

こちらはまだ遭遇したことがないのだが、最大の未知なる料理だろう。知人のシリア人でさえも、「こんなの食べるなんてサイコだ!」とのたまうぐらい、ビジュアルがすごいのである。

だからあえて画像は載せない。見たい人は”Whole Stuffed Camel”で検索。説明をすると、首、尻尾、足(たまについていることもある)を切り落とされたラクダの胴体がまるごとご飯にのっかっている料理である。

軽く小学生の身長を超えるぐらいでかい。その大きさゆえに世界最大の料理としてギネスにも登録されたほどだ。

サウジアラビアの結婚式などめでたい場で食べられるものだという。ラクダの中にはまるでマトリョーシカのごとく羊や魚が詰められていて、多種多様な味が楽しめるらしい。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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