英語で外国人を笑わせる!日本人コメディアンのショーをみにいってみた

ドバイで開かれたスタンドアップコメディーのイベントに行った。

日本でお笑いといえば、漫才やコントを思い浮かべる。けれども、海外だと1人でマイクを前にしゃべくる、というのが一般的なスタイルらしい。

果たして、英語でお笑いを聞いて面白いのか、という懸念はあった。けれども、たまたま見かけた英語のイベントチラシに、日本人の名前がのっていたのである。

これは一体・・・

よく見ると、イギリスのコメディアンたちを呼び寄せて行われるイベントらしかった。

娯楽が少ないため、娯楽を海外から呼び寄せるというのは、よく行われることである。それにもともイギリスの保護領にあったためか、それなりにドバイに住むイギリス人も多い。

イベントの会場となったのは、高層ホテルのイベントスペース。30人ほどが入れる会場につくと、すでに参加者で席はうまっていた。

会場の横には、バーカウンターがあり、参加者たちは酒でのどを潤す。

ほう。海外のお笑いというのは、酒を飲みながら聞くものなのか。

参加者のほとんどは、欧米系、それに少しインド系といった具合である。イベント側も、「みなさんドリンクは飲みましたか〜」などと声がけして、やたら酒をすすめてくる。

すでにほろろ状態の観客が席につき、イベントが始まった。

が!

案の定、よくわからない。

最初に登場したコメディアンは、イギリスのリバプールとマンチェスターの違いについてあれこれ語り、スコットランドをいじるなど、ゴリゴリのローカルネタを披露する。

観客たちは、その辺の土地に明るい人々なのだろう。そこそこ笑っている。

次に登場したのは、カナダ出身でアメリカに住んでいるコメディアン。

「見ての通り、俺はハゲなんですけども、頭に髪の毛がない分、眉毛だけはボーボーなんですよお」

大げさなジェスチャーで、いかにも面白くいう。

観客爆笑。

何が面白いのか分からない。

 

過去のトラウマが蘇る。

 

「これ、面白いから一緒に見ようよ〜」といって、見せられたスタンドアップコメディの動画。誘ってきた方は笑っているが、こちとら何が面白いのかまったく分からない。

日本のお笑いの楽しさをシェアしようにも、外国人が面白いねえ、と思うのは、ハードゲイ(HG)とか、大げさな動きをする面白映像ぐらいである。

漫才やコントの面白さというのは、どうにもシェアできないのである。

そして10分間の休憩。観客は席を離れ、ガソリンを入れるごとく、再び酒にありつく。酒を飲みきているのか、コメディを見にきているのか、よく分からなくなってきた。

しかし、不安である。

ゴリゴリのローカルネタで欧米人たちが、「うぇーい」などと唸る中、日本人コメディアンは笑いをとれるのだろうか。

向こうからすれば、大きなお世話だが、目の前に立ちはだかる圧倒的笑いのセンスの違いに、私は一人心配になった。

登場したのは、イギリス在住の小谷ゆりこ氏。イギリスカルチャーに憧れ、イギリスに住むこと10年。BBCのコメディー賞を受賞する実力者である。

「さてさて。今日のお客さんに日本人はいますかー?」

「むむ。どうやらいないようですね。なにせ日本人は夜遅くまで働く人たちですからね〜」

会場から笑いが起こる。

このように外国人が見ている日本のイメージと、イギリス文化のギャップを交えて、話すのが彼女のスタイルらしい。

英語が唯一の生活言語でありながらも、日々言語に苦労している人間からすれば、すごいの一言である。なにせ英語を操って、人を笑わせるなんて、相当な技術なのである。

こちとら普段でも、ウィットが効いた英語のギャグをひねり出すのに、苦労しているというのに。

なんだか、勇気をもらった一夜であった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

管理人をフォローする
内向型のつぶやき
シェアする
進め!中東探検隊