ラマダンということで、約1ヶ月の間、断食をしていた。しかし、考えてみればそのコンセプトは脅威である。
四半世紀近く自由に飲み食いしていた人間が、約1ヶ月の間、日中は飲み食いを一切してはならないというルールに基づいて生活する。
まるで黄金伝説のような企画である。そんな状況に置かれた時、人はどうなるのだろう?断食を始めてからの、変化を改めて振り返ってみよう。
ちなみにラマダンの断食の基本ルールはこんな感じ。
- 夜明けから日没までの、飲食は一切禁止
- 水を飲むこともNG
- ガムや飴もNG
- うがいもだめ
- 日没後から夜明けまでは、好きなものを食べてOK
基本は毎日15~20時間の断食を行う。
イスラム教のラマダンについては、こちらを参照していただきたい
【保存版】ラマダンを徹底解説!日本人が知らない意外な事実とは?
ラマダンの断食開始前に見られた異常
ラマダンの断食は、やる気マンマンで断食道場へ入るのとは少々違う。しかも、いきなり約1ヶ月断食せよというお達しなのだ。はじめてのことなので、やはり恐怖や不安が大きい。
ラマダン中は食べれない!という恐怖により、ラマダン前の数週間は過食傾向が見られた。人間の本能なのだろうか。冬眠に備え、食料を蓄えるリスのごとく、私は体内に普段よりも多くの栄養を送り込んだ。
断食初期のつらい症状と好転反応
断食の初期はとにかく口周りがヒマになる。普段どれだけ無意識にいろんなものを口に運んでいたか、という証拠だろう。
それに伴い、日中は料理をしたり、冷蔵庫を開けたりすることもない。キッチンや飲食店に用がなくなるので、時間がぽっかりと空いたような感覚を覚える。
その感覚は禁煙するプロセスにも似ている。禁煙をすると、タバコを吸いにいったり、買いに行くことがなくなる。普段とは違う行動にちょっとした違和感を覚えるのだ。
断食をはじめて1週間ほどは、飲食をしないことによる頭痛、眠気、集中力の欠如といった症状が見られた。断食初期は飲食できないことよりも、こうした断食の副作用がけっこう辛かったりする。さらに顔にはニキビも現る。
一見すると、断食が体に悪影響を及ぼしているのでは?断食をやめるべきではないのか?という不安に駆られる。
しかし、これは断食をする上で見られる「好転反応」だという。「好転反応はグッドサイン!体の毒素が体外へ出ている証拠★」などと、断食をすすめるサイトではこのように記述されている。
本当に体が好転しているのかは知る由もないが、しばらくすると、こうした症状は消えていった。
断食の効果はいかに?
デトックス効果、美肌効果など健康オタクな人にとっては、嬉しい特典が満載のように見える断食。果たしてそのような効果はあったのか?
美肌になったかは正直わからない。目をかっぽじって見ても、断食前後で肌の具合は同じである。そもそも美肌になったところで何なのかということである。
一方で、食事をすると疲れるという感覚を体感した。食べ物を体内で消費するということが、こんなに体に負担をかけていたのかということがよく分かる。
巷では、これを食べると健康になるとか、スーパーフードだというが、結局のところ何も食べないという手法が一番の健康法なんじゃないかと思う。
それに金もかからない。健康食というのは、あくまで健康ビジネス商法なのだ。
断食で痩せるのか?断食後のリバウンドは?
断食前の過食時期から比べると1~2キロ体重が減っていた。リバウンドは今のところない。
断食をしていると、余計に食べ物のことを考えてしまうのでは?と思うかもしれない。その通りである。
事実、断食明けには普段よりもスナックや甘いものを食べていたように思う。さらには、人生で買ったこともないようなレシピ本を断食中に2冊も購入してしまった。
断食明けまで、そうしたレシピ本やインスタの食べ物の写真を眺めては、食べ物の妄想を膨らませて楽しむのである。
断食してわかったこと
人間飲み食いしなくても、けっこう平気。むしろ食べることってそんなに重要じゃなくね?この事実が体感できたことは大きい。
逆に言えば、飽食の時代は常に食べ物を消費する機会にあふれている。やれ美味しい話題のレストランだの、うまいレシピだの、こだわりの高級食材など。より高品質な食材を体内にいれることで、健康を手に入れようとする人もいる。
けれども、やはり食べないことに勝る健康法はないんじゃないだろうか、というのが実感だ。
それに、断食なんてできるわけない、と思っていたがやってみると以外とカンタン。お金もかからない。断食道場、健康食、美容食品に金をつぎ込む人もいるが、断食であれば余計な金も時間も必要ない。
それに、断食で体がからっぽになるあの感覚が、病みつきになるのだ。
マンガでゆるく読めるイスラーム
普通の日本人がムスリム女性と暮らしてみたらどうなる?「次にくるマンガ大賞」や「このマンガがすごい!」などでも取り上げられた話題のフィクション漫画「サトコとナダ」。