小学生の愛煙家に遭遇。インドネシアのヤバすぎるタバコ事情

インドネシアではマレーシアと同様、街中でも人々が気軽にスパスパやっている。ここには、副流煙や受動喫煙という概念はない。そう、ここはまさしく喫煙者にとっての、最後の楽園である。

楽園の住民は、どこでも自然にスパスパやっている。しかし、中には見慣れない喫煙者の姿もある。

それが、ちびっ子愛煙家の姿だ。

スマトラ島から船で6時間ほどの場所にあるジャングルに住む部族に会いに行く予定だったが、フェリーがキャンセルとなり我々はパダンという町で1日をぶらつくことになった。パダンはあくまでも経由地なので、観光のアテになるものは特にない。というわけで、グーグルマップで見つけたその辺にある滝を見に行くことにした。

滝には先客がおり、キッズ軍団たちがキャッキャ言いながら飛び込みをしている。微笑ましい光景である。しかし、その数分後、衝撃のシーンを目撃することになる。

ふとキッズ軍団を見やると、その手には白い棒。そう、キッズの手にあってはならないブツである。

お分かりいただけるだろうか。

キッズの口から出ている白い煙を。

その姿を呆気に取られつつ、各々のキッズに年齢を聞くと、

「俺は15歳!」

「俺は18歳!」

どう見ても、めちゃくちゃ年齢を詐称しているのである。

自らも愛煙家である私からすれば、複雑な気持ちである。それにここは異国であり、他人の子どもを叱りつける権利などない。

というわけで、キッズとおしゃべりしながら、吸い回し仲間に加わる。


ちびっ子が喫煙中という喫煙天国ならではの光景


タバコの吸い方といい、「カーペッペッ」と痰を吐き捨てるなど、ちびっ子なのに見事までにおっさん化している。もはやおっさんが幼児化したのだと思いたくなる

タバコはライトなもので、吸いやすい。一体、キッズがどのようにタバコを入手しているのか聞くと、もらったお小遣いで親には内緒で買っているという。時々、こうして仲間同士で滝にやってきては、スパスパやっているのだという。だいたい仲間同士で、1日1箱吸うのだというのだが、それが多いのか少ないのかもはや分からない。

近くにいたインドネシア人ガイドに「こういう時、大人は叱るのか?」と聞くと、彼らの親に色々と言われたくないから、見てみぬふりをするという。日本の電車でやべえ奴が登場した時と同じく、人の心は同じらしい。

かつてインドネシア人の2歳児のヘビースモーカーが話題となったが、このようにインドネシアでは、ちびっ子が喫煙をするのはそれほど珍しくないようである。インドネシアでタバコを買えるのは18歳からだが、10歳から14歳の青年の喫煙率は13%にもなる。

ちなみに、インドネシアの喫煙率は全体で70%を超えており、約2.7億人という人口を考えれば、その愛煙家の多さは世界でもトップクラスであろう。ただ、喫煙者の多くは男性であり、女性は圧倒的に少ない。滞在中も、一度も女性がタバコを吸う姿を見かけることはなかった。

ちなみに、パダンの遊園地に行った時に、目にしたのがこちら。


射的コーナーかと思いきや・・・

射的の目玉景品がタバコ・・・調理油の堂々さたるよ

遊園地にある景品の相場といえば、キッズが喜ぶおもちゃかお菓子がセオリーなのだが、ここインドネシアでは、調理油やタバコ、家電製品と生活感が満載なのである。

なんと、堅実なことか。そう、つまりは遊園地は子どもだけでなく、大人もゲットして嬉しい商品が並んでいるのである。

このようにインドネシアでは、愛煙家の多さをうかがわせる光景が、町中の至るところで見られる。そのせいだろうか。なぜかインドネシアでは心が安らぐのだ。電子タバコの持ち込みすらアウトな台湾やシンガポールでは、生きた心地がしなかったが、ここインドネシアは私にとっては、かつての昭和の香りを楽しめる、ささやかなパラダイスなのだ。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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