地獄のジャカルタ観光。ジャカルタ観光に行くやつなどいない

これは警告である。もしあなたがジャカルタ観光を考えているのなら、やめておけと言いたい。

ジャカルタは、3億人近くの人口を抱える急成長の国の都市!世界有数の観光地バリ島を持つ国の首都!など、いかにも観光地ですよというツラをしている。しかし、これは巧妙な罠である。

愚かなは私はまんまとこのトラップにはまり、のこのこととジャカルタに観光へやってきてしまった。この悲惨な体験をもとに、今後ジャカルタ観光トラップに陥る被害者を一人でも減らすのが、この記事の目的である。

地獄の入国

入国の時点ですでに地獄の門は開き始めていた。日本に近いアジアという国というだけで、容易に入国できるだろうとみくびっていたが、甘かった。

入国審査ゲートには、大量の人が並び遅々として動く様子はない。しかも、前の観光客と思しき人物は、散々尋問された後、書類不備のためかあっちへ行けと言わんばかりに、追いやられてしまった。

嫌な予感・・・

いよいよ私のターン。

何しにきたんや?
ビザの証明書みせんかい
どこ泊まるんや?
何日泊まるんや?
帰りのチケットはどこや?
予約したチケット見せんかい

ひい。怖い。

審査というよりも尋問。これまでに味わったことのない、緊張が走る。なんとか審査をパスできたが、こんなに質問連射をされたのは始めてである。イラクやサウジの入国の方がまだあっけなかったぞ。

地獄の町歩き

気を取り直して、街歩きである。ジャカルタの中心地にあるホテルから、のこのこと歩くこと500メートル。私は、察した。あ、これは歩く町ではないなと。町の形状からして、この町の主体は車。歩行者などいない、という前提で町が作られている。ジャカルタにおける移動の正解は、車である。

この事実自体はさほど驚くことでない。しかし、ジャカルタで驚愕したのは、車の凶暴さである。青信号で横断歩道を渡っていても、構わず車やバイクがガンガンに突っ込んでくるのである。歩行者は、それを必死で交わしながら、決死の横断を行う、といった状態である。

ジャカルタにおいて、青信号というのは歩行者が安全に横断できる、という意味でなく、注意をしながらなんとか歩ける、というものらしい。

人間などひいても構わん!と言わんばかりに、バイクや車がせわしなく行き交う道なき道を行くのは、精神的にも体力的にもしんどい。

おまけに、ジャカルタの空気汚染は深刻で、多少の汚れならば気にしない人間ですら、これはやばいと思わせてしまう空気がそこにはある。これだけの人口密度で、バイクや車が行き交っているのだ。汚染しない方がおかしい。

またジャカルタではGoogleマップはそれほど当てにできない、ということを思い知った。なぜなら地図からでは、歩行者として歩けるのかという情報がないからである。そして、大半の場合はそれは歩くことが困難な道である。よって、歩行者に提示すべき地図ではないのだ。

地図上あれば、徒歩15分ぐらいで行ける道であっても、障害物が多すぎて実際には30分ぐらいかかったりするのである。

地獄の都市計画

数日間の街歩きを終えて、私は確信した。ジャカルタの都市計画は最悪である。VICEでもジャカルタは、世界最悪の都市計画の場所として紹介されていた。

何せスラム街のような道を歩いていたら、突然武蔵小杉にあるようなタワマンがそびえたっているのである。道の反対側はバラック小屋なのに、その向かいには新築の高級タワマン。絶対に交わることのない世界が、隣接している。

また市内の中心地にある巨大なモールでさえ、たどりつくのが困難である。人が多く集まるモールだというのに、入り口を見つけるまでにクエスト状態である。

ジャカルタに観光スポットはない

ジャカルタの観光スポットを検索していると、うすうす気づくであろう。この地に観光スポットと呼ばれるものがほとんどないということに。ここで引き返せば、まだなんとかなる。

しかし私は、一瞬よぎった疑念をスルーした。公式には観光スポットがないと言われている場所でも、視点を変えれば楽しい場所であることもあるからだ。

そうしたポジティブ精神でいどんだものの、今回ばかりはそうでなかった。

マジでない・・・

ただ救いはある。観光スポット自体は、あまり整備されておらず観光スポットとしての楽しみは、少ないがそこへ人を絡めると途端に楽しくなる。ジャカルタにおいては、人との絡みが一番の良い思い出である。

ジャカルタに観光に来るやつなどいない

ジャカルタ観光という私の過ちを決定的にしたのが、ジャカルタに観光に来るやつなどいない、という事実だった。

スラム街ツアーやグルメツアーで、一緒になった他の参加者は一様にこう述べた。

「仕事でジャカルタに来たから、ついでに参加した」
「ダイビングで別の島に行くから、ジャカルタにはトランジットできただけ」

そう。いずれも、ついで観光なのである。ジャカルタ観光を目的にした人は皆無であった。

もしもこれを読んでいる人で、ジャカルタ単品で観光をしようと考えている人がいれば、やめておけと言いたい。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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