夜中に知らない人からのインターホン。開けてみたら・・・

時刻は夜の11時前。さーて、寝るかとベッドに潜り込んだ、その時。

ピンポーン。

暗い部屋の中に響き渡る、恐怖の音。深夜に鳴るインターホンほど不気味なものはない。夜中に訪れる知り合いなどいないもんで、インターホンを鳴らしたやつは、知らない人間&やべえ奴確定である。

これから安眠のお時間だというのに、よくも恐怖に陥れてくれたな!

この恐怖の正体を突き止めなければ寝られそうもない。というわけで、様子を探ることにした。あろうことか私の住んでいる家のドアには、のぞき穴なる嬉しい防犯アイテムが組み込まれていない。よって、ドアの隙間から様子を伺う。

何やら男2人の声がする。声の調子からして、怪しそうではない。それに、何やら獣のようなものが徘徊している音がする。何か楽しいことに違いない。よって、ここは開けてOKである。

開けるタイミングを間違えたのか、すでにインターホンの主は、玄関にはいなかった。周りをふと見渡すと、目に飛び込んできたのは、マンションの廊下を彷徨う黒豚である。

夜中のマンションに黒豚・・・!?

よく見るとそれは黒い柴犬だった。しかし、あまりにも太りすぎるているため、胴体がウォーターサーバーの水ボトルほどある。それに、手入れが行き届いていないのか、毛はボサボサで野生臭を発している。

そしてインターホンを押した張本人は、向かいのドアの前で、ヒュッヒュッと言いながら黒豚を呼んでいる。せっかく勇気を出してこちらが開けたのに、スルーである。

せっかく開けてスルーされるのもなんなので、「あのう、どうしたんです?」としょうがなくこちらから声をかける。

「この犬が、オレんちの前で粗相してくれちゃってさあ。こいつ、ここに住んでるから家に戻そうとしてんの」

はあ。

というわけで、いまいち状況がわからないが、とにかく今のミッションはこの黒柴を無事に家に帰還させることらしい。というわけで、私もヒュッヒュッと言いながら、犬を誘導する作戦に出る。黒柴はひどく怯えているようだったが、なんとか家の前に来る。その瞬間、男は、躊躇いもなく他人の家をガチャリと開けて、黒柴は暗闇の家へ戻っていた。

そして男も「じゃ」と言って、自分の家へ帰っていくのであった。

これで一件落着かと思ったが、謎は深まるばかりであった。なぜ夜中に、犬がマンションの廊下をうろついていたのか。なぜ男は、他人の家を鍵が開いている前提で、躊躇いもなく開けたのか。飼い主はどこにいるのか。そして最大の謎は、なぜ知らない私の家にまでインターホンを鳴らして、ヘルプを要請したのか。それはどういう神経から派生したのだろうか。

男がさっさと立ち去ってしまったため、この謎は迷宮入りしてしまった。再びベッドに戻るが、狐につままれたような気分である。もはや夢なのではないかとすら思えてくる。恐怖を解決し安眠できるどころか、不可解すぎる出来事により今もこうして頭をひねっている。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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