ついにビザが切れた。マレーシアでオーバーステイ中

不名誉なことに、公式に不法滞在者となってしまった。善良な市民歴を30年以上やってきたが、ついに悪の手に染まってしまったらしい。とはいえ、私だって不法滞在者になりたくてなったわけではない。神の見えざる手によって、自動的にオーバーステイとなったのである。

というと、いかにも犯罪者によるとんちんかんな言い訳にも聞こえるだろう。まあ、聞いていただきたい。

ビザ延長、拒否される

もちろんビザが切れることは大いに承知していた。しかし、移民局に尋ねると、ビザの延長はビザが切れる3日前にしかできないというのである。そんなギリギリで大丈夫かね・・・?

と思っていたら、案の定事件は起こった。

ビザに必要な書類を揃え、アポも取り、家から1時間ほど離れた移民局に出向く。マレーシアの行政機能は、首都クアラルンプール(KL)ではなく、KLから1時間ほど離れた郊外のプトラ・ジャヤという場所にある。というわけで、こうした手続きは、わざわざ隣町までいかなければならないのである。

審査が始まってものの数分・・・

「これじゃあビザ出せねえわ」

ひえっ

私のパスポートの損傷が激しいため、小汚いパスポートにビザなど出せぬというのである。

ぐぬぬぬ

とはいえ、私もそのままでは引き返せないので

「ビザの問題で夜も眠れないんですよお」

と泣きついてみても、情状酌量の余地はなし。よって、なすすべもなくオーバーステイとなったのである。

ビザ発給を拒否された悲しきパスポート

さて、小汚すぎてビザの延長が拒否された私のパスポートであるが、何が起こったのか。

マンゴーとパスポートを一緒に安置していたところ、マンゴーが腐り、パスポートが汚染されてしまったのである。それ以来、どこへ行くにも「パスポートが汚すぎるから、早く変えろ」と忠告されるのであった。

それ以来、真実を言うのは忍びないため、水没させてしまっただの、コーヒーをこぼしただの適当な理由と愛想笑いで誤魔化していたのだが、この件でついに限界が来てしまったのである。

移民局での正しい過ごし方

と言うわけで、新規パスポート発行を日本大使館で行い、再び移民局へ出向く。とはいえ、パスポートの再発行までには4日かかるので、1週間ほど不法滞在者の身として過ごさなければならない。このストレスたるや・・・である。

移民局というのは、どの国でもそうだができるだけ行きたくない場所である。手続きに時間がかかる上、お前の運命はこっちの気分次第だかんな、と申請者は絶対的に弱い立場に置かれるような気がするからである。

ふと周りを見渡すと、やはり数人の申請者が待っている。前に座っている男たちを見やると、その手には手巻きタバコ。なんと待ち時間を利用して、手巻きタバコを製造していたのだ。

確かに移民局内での喫煙は禁止されているが、タバコの製造は禁止されていない。タバコも製作できて、時間も潰せる。これほど素晴らしいアクティビティがあるだろうか。他にも、パソコンをカタカタやりながら、待つ者もいる。もはやメインは仕事で、そのついでに申請を行う、という発想の逆転。

これが移民局での正しい過ごし方かあ・・・

などと感心していると、職員に呼ばれ、あっさり延長が許可されたのであった。というわけで、オーバーステイは終了。しかし、出来ることならもう不法滞在者の身には絶対になりたくない。新たなパスポートは、マンゴーから遠く隔離された場所に、ひっそりと安置されている。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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