バクテーだけじゃない!町ぶら散歩が楽しい王都クラン観光

クアラルンプールから西へ電車で約1時間ほどの場所に、クランという町がある。ガイドブックにも載らないような小さな町である。そんなクランの見どころをご紹介。

クラン(Klang)とは?

クラン(Klang)は人口75万人ほどが住む都市で、セランゴール州の王都となっている。王都を象徴するように、クランの町には、国王の宮殿がある。現在、セランゴール州の州都は、ブルーモスクがあるシャー・アラムとなっているが、クランはかつてのセランゴール州の州都でもあった。

ちなみにこの宮殿、特別な日や団体客ではないと入れないため、基本的には入ることはできない。宮殿の周りは、緑に囲まれ閑静な雰囲気があるが、宮殿の入り口には、「不法侵入したら撃ちのめす!」といったような物々しい標識が立っている。

町歩きがしやすいクラン

クランに舞い立ちまず驚いたのが、その歩きやすさだ。日本からすれば、だからどーした?という話だが、マレーシアは車社会で日中は暑い。そのため、歩行者などいない!という前提で町が作られている。だから、道のブロックが途中で崩落していたり、ゴミが溢れていたりと、のうのうと歩くことはできない。

小さい町のため、車の往来も少ないせいか、落ちついた雰囲気があり、空気も少し綺麗な気がする。

活気あふれるインド人街

クランがあるセランゴール州は、国内で最も多くのインド人が住んでいる。首都KLに比べて、その数は数倍にもなる。というわけで、町で最も活気あふれるのが、インド人街一帯である。

客のインド人達が真剣に商品を選び、店員のインド人達が呼び込みをする。そこかしこに、お香がもうもうと焚き立てられ、不思議な香りと怪しげな煙が立ち込めている。

規模はそれほど大きくないが、KLのインド人街よりも、本場感が凝縮している。まるでインドにいるかのような錯覚をしてしまうほどだ。

クラン-マレーシア-インド人街
多くのインド系商店が集まるメインストリート。商店では、インドの手相占いをする人々の姿も。


地元のインド系の人々が買い物をする日常がそこにはある。ヒジュラと見られるオネエもちらほら。


ヒンドゥー教の寺院に供える鮮やかな花輪が売られている。

クランのインドモスク
インド人街の中心部に鎮座するインドモスク。モスクの大きさから、町の繁栄ぶりがうかがえる。


インドモスクの内部は鮮やかなスカイブルーとホワイトのコントラストが美しい。


ヘリテージウォークマップなるものもあり、史跡が残る町として見どころはいくつかあるらしい。

クラン消防署コタラジャ消防署。中はギャラリーとなっており、消防署の歴史を伝えるアイテムなどが展示されている。

イギリス統治時代を伝えるモスク

クランの中心地からやや離れたところにある。徒歩20分ほどの場所で、なぜ町から離れた場所に突然こんな巨大モスクが出現するのか、戸惑う。

しかし、その理由はモスクの裏手にあった。裏手には、セランゴールのスルタンの王宮がある。モスクの正面から、黄金に輝く小さなドームが見える。それがイスタナ・アラム・シャーと呼ばれる宮殿だ。

スルタンスレイマンモスク
正面から見たスルタン・スレイマン・ロイヤル・モスク。見事なまでに左右対称なモスク。


モスクの横には、王室関係者が眠る墓がある。

このスルタン・スレイマン・ロイヤル・モスクはイギリス人の建築家によって1932年に建てられたもの。現在のマレーシアにあるモスクとは違い、その姿は重厚感が漂う。イギリスの統治時代に、当時のセランゴールの王に送られたギフトである。

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ここは観光客向けのモスクとは違い、ローブなどはないので、中へ入る場合は女性はスカーフ。男性は長ズボンをはくことをお勧めする。万が一忘れたとしても、モスクの外だけは見学できる。


コタ橋から見たバンダール・ディラジャ・モスク

バクテー発祥町でバクテーを堪能

クランは、「肉骨茶」(バクテー)発祥の町とも言われている。バクテーの発祥に関しては、諸説あるためあくまで一説としておこう。バクテーの店は、中華ワールドが広がっている。モスクやインド人街とはまるで雰囲気が違う。一気に、違う国に来たような感じだ。

私が今回訪れたのはSeng Huat Bak Kut Teh Restaurantという店。KTMの駅から歩いて数分の場所にある。中華テーブル並みに巨大なテーブルが店を占拠しており、一人で来ていた客は私だけだった。


大家族やカップルで来ている客がほとんど


店の前では、せっせとバクテーを準備している

それもそのはず。この店のバクテーで使われているのは主に豚肉。ムスリムにとっては御法度のフードである。このようにムスリムが食べるハラールフードか否かによって、店の客層がまったく異なるのがマレーシアのレストラン風景である。ちなみに、ムスリムが食べられるように鶏肉を使ったバクテーもある。

席に着くとまずは「お茶を選びな!」とお茶グッズを出される。ポットにはセルフでお湯を入れるシステム。


カゴの中から飲みたいお茶を選ぶ。

バクテーに使われるお肉は部位で選べる。

バクテーの発祥の街クラン注文からほぼ秒でやってきたバクテー。揚げたパンをスープに浸して食べる。

クランへのアクセス

クランは小さな町なので、半日ほどあれば見て回れる。KLからは日帰りで十分だろう。行き方として、一番簡単なのはGrabタクシー。もしくはKTMコミューターという鉄道で行くこともできる。KTMの難点は、本数が40分に1本しかないので、事前にMoovitという交通アプリもしくは、KTMの公式サイトで時刻表を確認しておくべし。

バスもKLから出ているが、通常の市内バスと違い長距離バス風の出立をしている。私は一度バスで行こうとしたが、人気のない乗り場だったゆえか手を挙げても、バスがものすごいスピードで通り過ぎていくだけだった。というわけで、バスで行くのは少々難易度が高いのかもしれない。それに、本数もかなり少ない。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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