ブラック企業、コネ採用・・・ドバイで賢く働くためのサバイバル術

「ドバイで働いてみたいんですけど」というメールをたまにもらうことがある。

中には実際に就職が決まったのだけれども、こういう条件ってどう思います?といった具体的なものもある。

そんな人に向けて、ドバイで働く上での注意点と、知っておくべきドバイ就労の実態をお伝えしようと思う。

あらかじめいうと、この記事はドバイ就職しちゃいなよ☆みたいな記事ではない。むしろ、私の周りに転がる身近なリアルを淡々とお伝えしていくものである。

ドバイにだってブラック企業はある

ドバイで働く同僚たちに聞けば、誰もが1つや2つは、ブラック企業的エピソードを持っている。

誰もが知るあの大企業であっても、実際に働いたことがある人からすると、ひえっ!?というような驚愕エピソードが飛び出す。

会社から貸与されたパソコンをロックせずに、自席から離れたところ、社長にパソコンを没収され、「あまりにもヒドすぎますよ!」と泣きついたら即解雇になったケースや、休日の自社イベントに呼び出され(もちろん手当はなし)、拒否したら即刻クビになるなど。

うわあ・・・というようなエピソード満載である。

といっても、一部の企業だけでしょ?と、ドバイに何もなかった時代から住んでいる知人に聞くと、「まあ、わりとよくある話だよ」と言われる。

私自身は、こうしたあからさまなブラック企業というよりも、それに近い企業で働いたり、そうした会社と働いてきたことがある。

しかも、誰もが知るような会社でこうなの!?みたいなことがあるので、企業の知名度や規模をあてにできない。

私の少ない経験からいっても、ドバイでブラック企業のような外れカードを引く確率は、日本よりもさらに高いのではないか、と思う。

よって、まともな労働環境や、キャリアップを望むのならば、相当な運か千里眼でもって、会社を選ぶことが求められる。

コネで仕事をゲットするのはよくあること

私は以前、フランス系の広告代理店で働いていた。

フランス系の会社なのだが、親会社はレバノン人が牛耳る会社である。それゆえ、会社には多くのレバノン人が働いていた。

メディアやラグジュアリー系は、レバノン人がまわしている傾向がドバイではみられる。

ちなみにレバノンは、元フランスの統治下にあったので、フランス語が流暢なレバノン人も多い。よってレバノンとフランスは相性がよいのだ。

レバノン人に限ったことではないが、アラブ世界(特に湾岸諸国)では、コネを利用して就職するのが普通、という考えがある。これはアラビア語で「ワスタ」と呼ばれるものである。

IMFが発表した調査によれば、中東と北アフリカを含むMENA地域で、アンケートを実施したところ、60%以上の市民が、仕事を見つけるのにワスタが重要と考えている、としている。

少数ならまだいいが、あまりにもレバノン人多くね・・・?

しかも、あからさまにワスタ採用とみられる人が、まん延していると、仕事にも支障をきたす。

個人的な印象としては、レバノン人は押しがかなり強く、他人の成果は俺のもの、といったジャイアン気質を持つ人が多いように思う。もちろん、はんなりとした、いい人もいるのだが。

日本ではひんしゅくを買うコネ採用だが、こちらでは、それが当たり前となっている。こうした前提が違うため、働き方や労働観にも、大きなギャップを生む。

アラブ人に限らず、やはり同郷の人間をヨイショする、という傾向は他の国にもある。社長がフランス語を話すので、同じフランス語話者がヨイショされて、実力以上の高い役職についていたり。

その辺はもう愚痴ってもしょうがないので、しゃーないな、と思うしかない。

ドバイの新興企業ではよくあることなのだ。まあ、会社が成長し、成熟するにつれ、この辺は自然と補正されていく。

ドバイでの会社選びで気をつけるべき点

ドバイで会社を選ぶにあたっては、社長は誰で、どういう人が働いているのか、を見た方がいい。

上司となる人は、Linkedinでプロフィールをチェックし、どれだけの経験と実力があるかをみておくべし。

そこまでやらんでも・・・と思うかもしれないが、誰と働くかで、仕事の楽しさもずいぶん変わる。ドバイにきて、学んだことの1つだ。

また、グループの子会社の場合は、親会社はどこなのかということも見ておくべきだ。

簡単に海外就職といっても、やはり憧れと現実は違う。ドバイはシンガポールっぽいとはいえ、やはり中東なのだ。

ドバイで働いていると、そんなことをよく感じる。

ドバイにやってきて数年は、半ば発狂しながら「ドバイでもう働きたくない」と繰り返していた。

そんなわけで、今後ドバイで働く人は、私の体験を踏み台にして、どうか楽しくドバイで働いていただきたい。

海外生活&海外就職にあこがれてドバイに来たものの・・・

海外生活ストレスで廃人になり再び立ち上がるまで。せめて人間らしく

さらば広告代理店生活。リーマンの苦悩と労働者としての敗北

海外で働きたい・働く人へのおすすめ本

開高健ノンフィクション賞受賞作家による本。パリの国連で働いていた著者が、現地で活躍する日本人のストーリーをまとめたエッセー。フランスやパリというワードに興味がない人でも、楽しめる。

海外で働いていて、最も救われた本と言っても過言ではない。言葉ができないから、文化が違うから、と言って片付けてしまいがちなことでも、ちゃんと理由があるということを教えてくれる。海外で働く人のバイブル。

湾岸やイラン、トルコなどイスラーム圏で働く日本人の話をまとめたもの。海外で働く系はよくあるが、イスラーム圏に特化したものは珍しい。イスラーム圏ならではの文化の違いや、苦労話を知ることができる一冊。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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