誰も教えてくれない!仕事ができる人に共通している4つのコミュニケーション術

私は、壊滅的にコミュニケーションが下手である。というか、できれば他人とコミュニケーションは避けたいと考えている。

けれども、会社という組織で働く以上は、コミュニケーションをとらなければいけない。マネージャーという役職である以上、上にも下にも横にも全方向にコミュニケーションをとらなければいけない。これが、私にとってはバンジージャンプ以上に苦痛なのである。

そもそもコミュニケーションとは何か。どうやってするのか。なにせ40カ国以上の国の同僚が働く職場である。日本流のコミュニケーション術がきくわけもない。

一方で高い役職や、この人仕事できるなーと思う同僚たちを見ていると、とある共通点があることに気づいた。それは、必ずしも仕事のやり方だけに限定しない。会社での振る舞い、同僚たちとの接し方に特徴がある。

パーソナライズド挨拶

仕事ができる人は、よく挨拶をする。そんなの当たり前じゃん?小学生でも知っとるわ、と思うかもしれない。

けれども、私も含め多くのヒラ同僚たちは、特に見知った限定的な人にしか挨拶をしない。同じ職場でもよく知らない人とすれ違うときは、伏し目がちになったりすることもある。

けれども、仕事ができる人というのは、そんなの構わず誰にでも挨拶をする。ヒラ社員だろうが、受付だろうがおかまいなしである。己のレーダーでとらえた物体すべてに、挨拶を投げかけているのである。

単に挨拶をするだけではない。ちゃんと名前入りで、挨拶をするのである。私はこれを密かに「パーソナライズド挨拶」と呼んでいる。

“パーソナライズ”は、アマゾンやNetflixなど個人の嗜好や行動によっておすすめの商品や動画を紹介するといったように、マーケティングでもよく使われる手法である。アマゾンのページを開いた時、自分が閲覧した商品やそれに関連するもの、が表示されるのはそのためである。

そうした企業には、個人も「自分のことをわかってくれている!」と並々ならぬ親しみを覚える。これと同じくして、彼らも単なる挨拶ではあるが、その短い時間の中で、同僚たちとの小さな関係を築くことに成功しているのである。

雑談上手

とにかくこちらの人は、お互いの身辺確認から話を始める。ビジネスのミーティングであっても、立ち話であってもだ。いきなり本題に入るのは無粋らしい。

特にアラブ人の場合は、「家族はどうよ?」みたいな家族絡みの話をすることが多い。一方で、イギリス人やヨーロッパ人も同様に「最近はどうしてます?」だとか、休暇の話や週末の過ごし方といった話題を持ち出して、場をあたためる。

日本だと、家族についてたずねると、怪訝な顔をされそうだが、逆にこちらでは家族のことも比較的オープンにしている。職場には同僚たちの家族や親戚が、社会見学のごとくふらりとやってきて挨拶をかますのも、日常的な光景である。

私の上司であるブライアンは、やたらと自分の子どもの写真を見せてくる。こちらとしては、ブライアンの子どもが生まれた時から、彼の子の写真を見せ続けられているので、ふーん、という感想しかないし、「かわいい」というしかないので、対応に困る。

この場合における正しい対応は何なのか、と周り反応を伺う。他の同僚もまた「かわいいー」などと述べてやり過ごしているので、やはりこれが正解なのだったと安堵する。

一方で、まだ結婚もしていないパレスチナ人のヒシャームは、やたらと姪っ子の写真を見せてくる。自分の子でもないのに、単にかわいいというだけで、自身のスマホの待ち受けにしているほどだ。

なので、この数ヶ月は、見も知らぬ赤子の成長記録を眺め続けることになっている。数週間おきに見せられるのだが、どうにもパターンが同じなので、こちらも同じ反応でやり過ごす。

別にここで話し上手である必要はない。ただ、相手に話をさせればよいので、きっかけとなる質問やふんふん、という相槌を打てばよいのである。

こうした雑談から、その人の意外な面もわかったりする。そうすることで、その人に対する親しみもわく。これが意外と仕事の潤滑油になるのだ。

ビジネス大喜利

仕事ができる人や、役職が上の人間だと堅物というイメージがある。けれども、私の見立てによれば、そうした人々に限って、ユーモアに溢れていたり、とっつきやすい人々だったりするのである。

ミーティングやプレゼンテーションでも10分に1回の割合で、ジョークを言って、周りを笑わせている。少なくとも私にはそう見えた。なんなんだ、仕事ができるだけでなく、お笑い芸人的な要素も備えているのか?

これは私にとって意外であるとともに、絶望でもあった。

そもそも英語のジョークがわからん。いや、そのままの言葉は理解できるのだが、このタイミングでそれを発しようという発想がそもそもでてこない。

もう、ビジネス大喜利みたいな状態である。

大喜利はできなくとも、ここでの学びは、物事を楽観的に捉えるということだろうか。なんでもまじめと淡々に発言していては、周りの気持ちも動かせない。ちょいちょい気の抜けた発言をすることで、周りを引き込み、場を盛り上げていくのも重要なのだ。

人の名前を覚えている

個人的な体験であるが、今の会社に入社して間もない頃。偶然、エレベーターに乗り合わせたとある役員が、私の名前を呼んで、話しかけてくれたことがある。

まだ公式に挨拶も済ませていなかったので、衝撃的だった。大して関わりのない人間の名前をちゃんと覚えていたのである。

これは良い意味で、同僚たちに大きなインパクトを与える。「わざわざ自分の名前を覚えていてくれたなんて」。相手が普段あまり親しくないほど、その喜びは反比例して大きくなる。

社内をうろうろしている

徘徊者ではない。ただ、彼らはよく、職場を練り歩いている。別に要がなくとも、巡回のごとくいろんな部署を周り、声がけ運動を行っているのだ。

単に手持ち無沙汰なのか、と思いきや、これが職場では結構効果を発揮している。

心理学的に言えば、その人との接触回数も増えるので、親近感もわく。ただ同じ場所に座って、パソコンをカタカタやるだけではだめなのだ。

上司のブライアンいわく、「いやあ、アレックス(ブライアンの上司)と共通の趣味があってよかったよ。普段から趣味の話をしているから、仕事の話も通りやすかった」。ですって。

仕事ができる人ほど、日常的にいろんな人と関わりを持っておき、いざという時に、その効果がじわじわと聞いてくるのである。

当たり前のことは、実は当たり前にできない

ここであげたことは、どれも当たり前のことばかりである。当たり前のことだからこそ、仕事をする上でついついないがしろにしてしまう。私がそのケースであった。名前を逐一覚えること?挨拶すること?仕事ができることに関係ないじゃん?とすら思っていた。

けれども、こうして人の上に立つ人々を見ていると、多くの人ができない当たり前のことができるからこそ、彼らは人を淘汰かつしたり、チームを引っ張っていく役目を担えるのだ。

海外で働きたい・働く人へのおすすめ本

開高健ノンフィクション賞受賞作家による本。パリの国連で働いていた著者が、現地で活躍する日本人のストーリーをまとめたエッセー。フランスやパリというワードに興味がない人でも、楽しめる。

海外で働いていて、最も救われた本と言っても過言ではない。言葉ができないから、文化が違うから、と言って片付けてしまいがちなことでも、ちゃんと理由があるということを教えてくれる。海外で働く人のバイブル。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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