生理中は断食が免除。それでも素直に喜べないワケ

生理痛がひどくて会社を休みたいけど、言いづらい・・・生理痛なんかで休んでいいものか。

異性の上司や周りに生理について語るのをためらってしまう。日本ではこうしたお悩みをよく耳にする。

ハフィントンポストでも、女性部下が男性上司に「生理」を打ち明けたという記事が紹介され一時期話題を呼んだ。

社会人3年目の私が、恐る恐る上司に「生理」について話してみた

「私、生理痛がひどいんです・・・」 女性部下から告白されて困った

一方でムスリムの若い女性にとっても、それと共通するものがある。

断食をするラマダンであるムスリムたちは日中の飲み食いを慎まなければならない。しかし、妊婦や生理中の女性は免除される。生理に関しては、「血」はけがれとみなされるので、神聖なモスクに入ることもお断りされるし、礼拝も免除となる。礼拝はつねに清潔な状態でのぞまなければいけないのだ。

断食中の生理。飲み食いできない苦痛から一時的に解放される。みなが飲み食いを控えているのを横目に、自分だけ飲み食いできる特権。しめしめ、生理が楽しみじゃ。浅はかな私は、そう考えていた。

しかし、待っていたのはなんとも微妙な苦痛だったのである。

そもそも今まで断食していたのに、急に飲み食いし始める。職場でそれをやると、全身で「自分は生理中です!」と宣言しているようなものだ。

それに事情を知らない人にとっては、「今まで断食してたのに、なんで飲み食いしてるの?」と微妙な雰囲気になる可能性もある。

いずれにしろ、飲み食いすることは、人様が知らなくてもよい己の事情について、語ってしまうことになるのである。

また「空気」というものがある。周りのムスリムたちは当然のごとく断食を遂行しているわけである。その中で飲み食いするのは、相当の度胸がいる。

そんなわけで、私は生理中であっても仕事中は断食をすることにした。これが人目を気にする人間の所作である。

一時的に断食が免除されるルンルンな時期だと思っていたのに、はからずして断食を中途半端な形で続行するハメになったのである。

こんなことなら、普通に断食をまっとうした方がましだった、というオチである。

どうやら生理で悩む女子は他にもいるよう。イギリスBBCによる「ラマダン:生理中の飲食に恥を感じる女性たち」という記事。

記事の中では、ラマダン中に生理になると、部屋に鍵をかけて自室で飲み食いしなければいけないだとか、家で飲み食いしてたら、異性の兄弟にその様子を目撃され、なんと説明すればよいのか困った、といったラマダン中の生理エピソードが紹介されていた。

確かに兄弟や父親に、「生理なのです!」というのは、やはり恥ずかしいという思いがあるのだろう。女性ならではの生理的現象に恥らいを感じるのは、どの国の女性にも共通しているようだ。

マンガでゆるく読めるイスラーム

普通の日本人がムスリム女性と暮らしてみたらどうなる?「次にくるマンガ大賞」や「このマンガがすごい!」などでも取り上げられた話題のフィクション漫画「サトコとナダ」。