年収1,000万円も夢じゃないけど・・・高給料に潜むドバイ就職のワナ

現地人の年収1,000万円以上!高確率で宝くじにあたる!とにかくすべてがゴージャス!メディアは、ドバイのそうしたキャッチーな部分をひたすら紹介する。

もちろんそれはそれで事実である。と同時にそうした「ゴージャス」な都市はドバイの広報局によるブランド戦略の結果であるということも知っておきたい。

ドバイで働いて給与についてずいぶん日本よりも恩恵を受けることがあったと思う。詳しくは過去の記事を参照いただきたい。

しかし、ここにきてもうちょっと自分の身をわきまえるべきだな、と思う。

ドバイで生活する人々の生き方は、時に刹那的に映る。高い給料で、自国ではできないようなゴージャス生活を満喫。

その証拠に、街にはドヤ顏で高級スポーツカーやオープンカーを運転する人々をちらほら見かける。ドバイの隠れた名物である。中には、「こんな車、絶対未来にしかねえ!」というドラえもんもびっくりなミライカーに遭遇することもある。

もちろん家族がいる人や家族を母国においてきている人々は、堅実にお金を貯めている人もいる。まあ、刹那組と堅実組という区分はどこの国でもいるのだろう。

自国よりも高い給料がもらえて、役職も高め・・・そんな状況にはじめの数年は浮かれ気味であったが、最近はしょせんはやっぱり中東のドバイですもの・・・と分をわきまえなければとも思う。

強く意識するようになったのは、イギリスとの交信が盛んになってからである。交信というか、つまるところ仕事において頻繁にイギリスの会社とコラボするようになったわけである。

そもそもイギリスと言えば、あの貴族訛りの発音がこっけいである・・・というと怒られるかもしれない。とにかくあの英語ネイティブの国であり、ビジネスにおいても結構な最先端を行く国である。

とにかく世界中の人間と働いていると、OECD諸国出身の人は、仕事のこなし方が違うな・・・と無意識にそうしたイメージが定着してしまう。そうしたイメージを持って、イギリス本国の連中と仕事をするわけである。

「ふん、ドバイとか言ってもしょせん経済的に遅れてる中東じゃない。どうせ仕事のレベルも低いんでしょ」などと思われるのでは・・・と考えていた。

いや、実際にレベルが低いのは認めよう。そりゃあドバイでやっていることは、アメリカやイギリスなんかに比べれば、黒ごま程度である(もちろん職種によるが)。

しょせんは中東の小国でなんかやってるレベル。石油で潤った国とはいえ、サウジアラビアをのぞく湾岸諸国は人口も少なければ、経済規模も小さい。

こうした視点をドバイにいるとついに忘れがちになってしまう。イギリスで働くよりも、ずいぶん給料は高く、日光がある優雅な暮らしを送っているのだが、しょせんは箱庭でのアクティビティにすぎない。

だから常に心にとどめておきたい。いくら役職が高くても、給料が高くても、ドバイの外では、現状よりもレベルを一つ下げた状態なのだと。

そうしないとドバイを離れた時に、自分の実力を誇大評価していたことを後悔するだろう。と同時にそれを念頭に日々スキルアップしていかなければいけないと思う。

海外で働きたい・働く人へのおすすめ本

開高健ノンフィクション賞受賞作家による本。パリの国連で働いていた著者が、現地で活躍する日本人のストーリーをまとめたエッセー。フランスやパリというワードに興味がない人でも、楽しめる。

海外で働いていて、最も救われた本と言っても過言ではない。言葉ができないから、文化が違うから、と言って片付けてしまいがちなことでも、ちゃんと理由があるということを教えてくれる。海外で働く人のバイブル。

湾岸やイラン、トルコなどイスラーム圏で働く日本人の話をまとめたもの。海外で働く系はよくあるが、イスラーム圏に特化したものは珍しい。イスラーム圏ならではの文化の違いや、苦労話を知ることができる一冊。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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