ドバイに移住する前はまったく右も左もわからなかった。手探りに家を探し始めるものの、日本と比べて高すぎる家賃、通勤圏内の場所はどこになるのだろう?といったように情報があまりなく途方にくれた覚えがある。
ドバイにいる連中に聞いても、よくわからないし、結局日本にいる時には探しきれず、ドバイにやってきてから家を探すことになった。それでも土地勘がない時期は、右往左往して家探しが難航したのだけれども。
そんなわけで、ドバイに移住するならココ!という定番のエリアや家の探し方をご紹介したい。
ドバイでの家探しの極意
ドバイの家探しで、とにかく驚くのが家賃の高さである。あまりの高さに、住むとこがないやんけとすら思った。スタジオと呼ばれるワンルームマンションの場合は月13万円〜。
たまに安い場所があっても、家の状態がかなりひどかったり、中心地から離れていたり、公共の交通機関がなくタクシーや車でしか移動できない、というような場所にあったりする。ドバイは、車社会のため、公共の交通機関はそれほど発達していない。
だったら歩いたらいいじゃん?と思われるかもしれないが、ドバイという都市を侮るなかれ。5月から10月にかけて、1年の大半は、40度越えの砂漠気候なのだ。30分も歩けば、死を感じる恐ろしい気候である。よって、車を持たない場合は、自動的に公共の交通機関が便利な場所に住むことになる。
このように家賃が高いため、ドバイではシェアハウスも一般的である。シェアハウスにも2パターンあり、いわゆる出稼ぎ労働者向けの安いシェアハウスであれば、月3万円〜。こちらは部屋というより、ドミトリーみたいな形である。一方で、一部屋を丸ごと借りる場合は、月8万円〜。
ドバイは発展している都市だが、それでも日本のようにすべてがスムーズに行くわけではない。物件サイトの写真と実物が、ホテルと廃墟並みに違うこともよくあることだし、内覧のアポを取るのも、一苦労である。アポを取ったのに、当日すっぽかされることもある。
とにかく、家探しは苦労の連続である。なので、苦労の末、そうした問題と一切向き合わなくて済む、ホテルアパートメントというソリューションにたどり着いた。
ドバイはお金さえちゃんと払えば、良い体験ができる。しかし、お金をケチったり、出会う人間を間違えると、たちまち悲しい体験となるのである。お金の使い方で、体験やドバイへの印象もずいぶんと変わる。
人気エリアランキング
基本的に、ドバイの都市はそれほど大きくなく、車で40分もあれば大概の場所に行けてしまう。なので、選ぶとしたら町の雰囲気や車を持つか否かということで、住む場所が決まってくるだろう。
1.ドバイ・マリーナ ( Dubai Marina)
マリーナ・モールと呼ばれる大型複合施設があり、レストランやスーパーも近くにあり生活をするには非常に便利なエリア。そのためいつも多くの人で賑わっており、ドバイ移住者にもダントツ人気。メトロやトラムへのアクセスもよく、車を持っていなくても住みやすい。1人用のアパートメントでおおよそ13万円からが相場。
2.ダウンタウン・ドバイ(Downtown Dubai)
世界一高いビル「バージュ・ハリファ」や世界一大きなモール、「ドバイ・モール」があるドバイの中心地。アパートメントから眺める夜景を見ては、ここぞドバイという気分が味わえる。
モールの近くには多くのレストランがあり、またバーやクラブなどが多く存在する地区にも近い。ドバイの中心地ということでどこへ行くにも便利な場所だ。
ちなみに世界一高い高層ビル「バージュ・ハリファ」の賃貸物件だと、2LDKで年間630万円。月にして53万円ほど。
3.パーム・ジュメイラ(Palm Jumeirah)
高須クリニックのCMでもおなじみ、高須医院長がヘリで上空を飛ぶ下に映り込んでいるのが、世界最大の人工島「パーム・ジュメイラ」である。居住地区というよりも、観光地という色が強い。
テレビなどで元芸能人が住んでいるなどと紹介されて、いかにも超金持ち向けのエリアだと思われがちだが、アパートメントであれば実は超金持ちでなくても手が届く物件が結構ある。値段もマリーナとほぼ変わらず、一人暮らし向けであれば18万〜が相場。
メトロやトラムへのアクセスが近くにないため、車が必須となる。また近くにモールなどもないため、買い出しの際には必ず車が必要となるが、海に近く住民専用のプライベートビーチやパーム・ジュメイラに住むというちょっとしたステータスも味わえる。
4.ジュメイラ・レイクタワーズ (通称JLT)
ドバイ・マリーナの真向かいにあるエリア。作りとしてはドバイ・マリーナと似ており、人工池を囲む形で高層ビル群が建っている。ちょっとした芝生の公園やバスケットコードなどもあり、ゆったりと休日を過ごすには最適。
こちらも多くのレストランがあり、家賃もマリーナとほぼ同等もしくはややお安めの物件もあり。
5.ビジネス・ベイ(Business Bay)
ダウンタウンまで車で約5分ほどの場所にある、ビジネス街。平日は多くのビジネスマンで賑わう。モールや大型のスーパーが徒歩圏内に少ないためか、物件の価格も手頃で月14万円ほどから。
ダウンタウンに近く、家によってはドバイのアイコンであるブルジュ・ハリファが見えることも。
日本人が多く住むエリアは?
デイラと呼ばれる空港近くの地域に、ハイアットリージェンシー・ガリラヤレジデンスと呼ばれる日本人の駐在員が多く住むマンションビルがある。ここは、オールドスークと呼ばれる観光スポットもあり、観光客でにぎわう場所。
かつてはこの地域に多く日本人が住んでいたと言われているが、いまではかなり日本人の駐在員が住むエリアも分散している。デイラに続き、ドバイ・マリーナ、ジュメイラ・レイクタワーズといった場所がやはり日本人にも人気である。
デイラはランキング外となっているが、その理由としてドバイでよく見かける新興の高層マンションが少なく、また住民たちもどちらかというと飲食店、建築関係など低賃金の職につく人々が多く住んでいるため、ホワイトカラー職での年収だと先に紹介した人気エリアに住むのが一般的。
ホテルにおいても、この地区はどちらかというとユースホテルなどといった出費をおさえたい人々向けの場所である。
とはいえ治安が悪いわけではなく、リーズナブルやレストランやスーパーが多くいつも人であふれる人情味のある地区である。
ドバイで家を借りる際にかかる費用と手続きは?
ドバイでは基本年間の家賃をまとめて一括払いする方法が一般的である。もしくは3~4回に分けて払う方法もあるが、一括払いよりもやや価格が高くなる場合がある。月払いはあまり一般的ではない。
一人暮らしをするとなると、家賃に加え以下のような費用が発生する。
セキュリティ・デポジット
家賃の10%をデポジットとして払う必要がある。基本は退去時に返還されるが、物件が激しく損傷した場合などには、返還されない。家主によってその判断基準が大きくことなるため、こちらは交渉が要必要となる。
仲介費
物件を紹介してくれた不動産に対して、仲介費として年間の家賃の5%もしくは、不動産会社が定めた一定の仲介費を支払う必要がある。こちらも不動産会社によって大きくことなるので確認が必要。
DEWA(水道光熱費)
個人で契約し、水やら電気をひく必要がある。現在ではネットで申請することもでき、ほとんどの場合は申請から24時間以内に使えるようになる。
月によって光熱費は大きく変わり、特に夏場のエアコン代はばかにならないといわれる。部屋数によっても異なるが、エアコン代を差し引けば平均して一人暮らしの場合AED300(約9,000円)ほどから。物件によっては家賃にエアコン代が含まれている場合とそうでない場合があるので要注意。
ネット・テレビ
DuやEthisalatといった日本でいうNTTドコモみたいな通信会社と契約する必要がある。テレビ番組のチャネル数など契約メニューによって異なるが、月間おおよそAED500(約1万5,000円)ほどから。
EJARI
政府に対して家の借主であることを登録する必要があり、こちらは契約前に一度払うだけ。おおよそAED200(約6,000円)ほど。こちらは家の大きさに関係なく同じ料金。
家賃が年間払いのため、借主にとっては大きな負担だ。中には貯金をはたいても払えないため、会社にお金を借りているという人もいる。会社に借りてまで・・・という人にはシェアハウスという方法も一般的だ。
シェアハウスは月払いで光熱費などすべて込み。煩雑な手続きや家主との交渉もない。入居時に返金可能なセキュリティ・デポジット代は払うことになる。荷物だけもって入居すれば、家具や食器などもすべてそろっているため、すぐに生活が始められる。
ドバイではアパートメントホテルがおすすめ
慣れない国で、あれこれ大変そうだな・・・という人におすすめなのが、アパートメントホテルという選択。観光業が発達しているドバイでは、アパートメントホテルが充実している。
家具やキッチン用品などがそろっており、入ったその日から生活ができる。さらに、週に数回のクリーニングサービスもある。もちろん、通常のアパートにもそろっているサウナやプール、ジムなども使える。
日本の駐在者もよく利用しており、私が借りていたのもアパートメントホテルである。家具なしのアパートに比べれば割高かもしれないが、光熱費や管理費などすべて家賃に含まれているし、何かあった場合にすぐに助けてくれるのも心強い。
ドバイの物件は欠陥が多いため、築10年以下であっても、水回りやエアコンなどに問題がよく発生する。そうした時、ホテルのフロントに言えばすぐ修理にきてくれるのはありがたい。
ドバイに長期滞在する場合
ドバイではリモートワークビザを発給しているので、フリーランスなどで長期での滞在を考えている人もいるかもしれない。ただ、フリーランスでドバイに済む場合、よほどの稼ぎがないと、ドバイ生活は見合うものではない。家賃もそうだが、生活費も高いからである。
ただ、その場合でもおすすめなのが、やはりアパートメントホテル。
他の国であれば、Airbnbを使う方が安上がりかもしれないが、ドバイの場合は、高い上にあまりいい物件がない。ホステルのような形態も、数えるぐらいしかない。むしろ、ホテルの方が多いので、しっかりとした設備とサービスを備えているホテルの方が、結果的にお得な場合もある。
ホテルということもあって、マンスリー契約できる場所も多い。ちなみに、夏は観光のオフシーズンなので、割引をしているところもある。
ドバイでどうやって家を探す?
ドバイにも日系不動産がある。STARTSという会社で、オーナーは気さくで面倒見がいい。日本人コミュニティにも顔がよく通っており、日本人が集まるスポーツチームなども主催している。ドバイ在住の邦人とスポーツを通じてつながりたいという人は、問い合わせてみるとよいかもしれない。
このような日系不動屋さんに頼むのもありだが、さらに多くの物件を見てみたい場合はドバイ市民がよく使っているの不動産ポータルサイトで探すことをおすすめする。
Dubizzle
不動産のみならず、中古品の売り買い、仕事、コミュニティなど生活に必要な様々なサービスを提供している。UAEでは最大の不動産系ポータルサイトだが、不動産の物件に関しては玉石混交なところがきずである。
実際の部屋とは違う写真を掲載していることもザラなので、写真につられずきちんと情報を確認する必要がある。
Property Finder
こちらは不動産に特化したサイト。Dubizzleに比べると、信頼できる、良さげな物件が多いのが特徴。中国人の同僚から教えてもらって以来、私はこちらのサイトを愛用している。さらに、同様のサイトでBayutというサイトもある。
こうした情報が私が移住した際にもあればなあと思ったが、もはや後の祭り。今後ドバイへやってくる人に少しでも役に立てれば幸いである。
ドバイの家探しで何より驚いたのは、その家賃の高さだ。東京とのあまりにの違いに、もはや自分が住める家など見つからないと思っていたが、家賃が高いのは仕方がないともはや割り切ってしまうと楽になった。
一方で中には月収100万以上を稼ぎながら、郊外の家賃15万円ほどの家に住む人もいる。また高級住宅街に住んでいたが、家賃が安いという理由と人情あふれる町を求めて、フィリピン人が多く住む場所に住んでいるイギリス人もいる。出身国によって住む場所があからさまに違うドバイでは異色である。
便利さやステータスにつられると家賃は高くなるが、郊外の家を選んでドバイで効率よく貯金をすることも可能なのだ。便利さなのか、時間なのか、お金なのか。家探しではどこかで妥協しなければいけないこともあるようだ。