ソマリランドはかなり保守的なイスラーム教の国である。そのガチガチ感は、ヤンキーのごとくとがっていた、かつてのサウジアラビアのようでもあった。
よって同じ東アフリカでも、ケニアやエチオピアとは違う心構えで挑まねばならない。
女性はスカーフが必須
女性がソマリランドを旅行する時は、外国人であっても髪の毛をスカーフで覆い隠す必要がある。
実際にソマリランドで見かけた外国人女性は、みなスカーフをまとっていた。
決して、イランのように法律でスカーフ着用が義務付けられているわけではない。けれども、社会的な空気によりそうなっている。
スカーフだけをかぶればいいかというと、それだけではソマリランド社会は満足しない。
肌を露出させない長袖シャツやジーパンでうろつくこともできれば避けたい。
なぜか。
ハルゲイサにいる女性は、大体カラフルなロングワンピースの上に、大きめのヒジャーブをかぶっている。さらに、目だけを出す二カーブをつけている人も多い。
もうとにかくなんでも隠してまえ!という精神なのである。
市内を歩く女性たち。はたから見ると布で覆われた物体である。
ちびっ子であってもこのフル装備
夏によく見かける、日焼け対策をがっちりしてチャリンコをこいでいる主婦もこれには、ビビるだろう。
日本ではフツーの格好でも変態扱い?
いかに肌が見えないとはいえ、ジーパンや長袖は体の線が出る服装。ソマリランドにはそうした服装でうろついている女性は皆無なので、完全に浮くことになる。
時には、社会から変態扱いされることもある。まさに私がそれだった。
マラソントレーニングのためホテル内にあるジムを利用していたのだが、どうやら影でホテルスタッフなどに「変態ジーパン」と呼ばれていたらしい。
実際に着ていたのはランニングタイツと半ズボンなのだが・・・
これは何も私の妄想ではなく、別のスタッフから聞いた実話である。
変態扱いはゴメンだということで、その日以降は、部屋を一歩出れば公共の場という意識を持ち、ジムに行くにしろアバヤとスカーフを身につけるようになった。
ソマリランドで開かれたマラソン大会の参加者たち。タイツの上にスカートを履いている。太ももや膝を見せるのはNGらしい。
特に女性の場合、髪の毛を出していたり、アバヤを着ていなかったりすると、ナメられる傾向がある。
日本人からすれば、女らしさもないみすぼらしい格好でも、ここソマリランドでは過激行為となる。
ソマリランドに限らず、西洋的な格好をした女性は「軽々しく近づいていい女」という意識を持っているイスラーム教の男性諸君も多いのである。
よって、可能であれば現地の女性に近い格好をした方が、よいだろう。
ちなみに男性であっても何を着てもよい、というわけではない。半袖は問題ないが、短パンだけは避けた方がいいだろう。