7つ星ホテル「バージュ・アル・アラブ」で朝食を

なんて、いかにも「ティファニーで朝食を」みたいなおされなタイトルになってしまったが、本気でバージュ・アル・アラブを楽しみたいと思っている人は、この先を読むことをおすすめしない。

なぜならこれは「バージュ・アル・アラブ」に行ってみたくなる記事ではなく、なあ〜んだそんなもんかい、と思うがっかり記事だからである。

はじめこそ行く気はしなかったが、日本から友人がわざわざドバイにやってくるので、これは良いとこに連れて行かんとあかん!と思い急遽この「バージュ・アル・アラブで朝食を」を企画したことのである。

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初めて近くで見た「バージュ・アル・アラブ」

他の人の感想を見る限り、高かったけど行った価値はあった!などと賞賛されていたので内心かなり期待していた。そして期待があまりにも高まり過ぎたため、がっつり食べてやる!ということでアジア料理ビュッフェ、「JUNSUI」での朝食を予約した。ちなみにバージュ・アル・アラブには洋食風の朝食が食べられるところもあったが、量が少ない上にあまりゴージャス感がなかったため「JUNSUI」にしたのである。

宿泊客もしくはレストラン客のみしか入れないので、ようやく堂々と入れるぜと意気込んでホテルの敷地内に入る。ホテルの入り口につくと、マトリックスに出てくるモーフィアスにクリソツな兄ちゃんがタクシーのドアをあけてくれる。

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ホテル内に入ると、なんか良い匂いがする。この辺まではさすが自称7つ星ホテル。

内装はなんか今までみたことがないような作りをしており、一瞬あっけにとられた。

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ホテルというかディズニーランドの内装?

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ただの噴水ではない。生きた魚のような動きを見せる生きた噴水ショー。

なんだこの配色と構造は!?写真でみたことはあるが、本物を見るとやっぱり違うもの。エスカレーター横には本物の魚が優雅に水槽の中で泳いでいる。しかしこのホテル、なぜか違和感を感じる。

その違和感とは・・・ホテルが中国人だらけなのである。

宿泊客はもちろんのこと、従業員まですれ違った人間の7割は中国人だった。そしてこれから行く朝食ビュッフェ会場もまた、中国人だらけだったのである。案内係はもちろんのこと、宿泊客もみな中国人。

そう、ここはドバイではなく中国だったのだ。しかし、中国人というのはなぜこんなゴージャスホテルに泊まりながらも、ラフな格好なのだろう。

中にはその辺の公園で太極拳やってましたといわんばかりのジャージ姿のばあさんもいる。

ジャージ姿のばあさんと7つ星ホテルという違和感ありすぎの組み合わせで、その太極拳ばあさんを見るたび笑いをこらえる羽目になった。

我々の横にいたのは、ちょっとぶっとんだ若キャピキャピした女の子2人組。こちらも中国人である。

高そうなドレスを着ているのに、足元が非常に雑である。そして、食べ方も、日本のおばさんがこたつでせんべえとみかんを食べているような感じで、イスによこ座りになりだべっているのである。

うーん、こちらも違和感ありすぎだ。

しまいにはこの2人組は、外の景色を指差し「あれはなんだ!」とかなり中国訛りの強い英語で従業員に聞くのだ。その態度たるや・・・全くもって私がイメージしていた優雅な7つ星とは懸け離れたものであった。

で、肝心の料理はどうかというと、正直にいうと書けない、である。え?じゃあマズいの?というわけでもないが・・・まあそこは想像におまかせする。

マズいぞ・・・このままでは金だけ取られるぼったくりバーと同じじゃないかと思った私は、ビュッフェだということを存分に活かし、これでもかというぐらい食べてやった。

それが私ができた、唯一の7つ星ホテルへの反抗だった。かかった金額2人分で約2万3000円(友人への罪滅ぼしのために私が全額払った・・・)。

ぼったくりバーに行ったことはないが、私にとってはここがもっともそれらしい場所だと思った。

そしてもうここには絶対来ることはないだろう。誘われても誰が来ても私は絶対いかない。自称7つ星と名乗る容疑者にぼったくり被害を受けた、トラウマの傷が癒える日まで。

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アジア料理なのに、机に置かれているのはジャムとパン・・・

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ギネスに認定してもいいぐらいでかいカフェ。アメリカ人もびびるわ。何気におされな北欧カップを使用。

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おみやげ。海外特有のきれいにみせかけてまずい、というクッキーかと思ったが、意外とサクサクしていて美味しかった

ドバイの7つ星で中国人に囲まれてアジア料理・・・でも見える景色はドバイ。

まったく自分がどこにいるのか分からなくなった私は、7つ星ホテルっぽいことをしようと思い、純金製のiPad2ケースがお土産屋で売られていることを知りお土産屋に行くことに。

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おみやげ売り場

冷やかしだとバレないようこれまた中国人の店員に、「iPad2のカバーが欲しいんだけど・・・」と聞くと、在庫がないとのこと。

じゃあいつになったら入荷するのかと聞いたら、1週間後だとのこと。ちなみにお値段約85万円とのこと。国によって価格が異なるらしい。

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店員が教えてくれた純金製iPad2の価格。現地価格で25,500ディラハム。

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友人曰く「病気のラクダ」

冷やかしついでに、「こんなもんだれが買うのかね。ウシシ」と友達と話していたら謎の日本人一行が入ってきた。家族かなと思って耳をすませて会話をよく聞くと、まったく家族感が感じられない。こ、これはどういうことだ・・・?

女の子(20代ぐらい):「あー私超ドバイ住みたいかもー。ドバイに住んで外国人向けの女の子になりたいー」

おじさん:「なんか欲しいものはないのかい?どれでも好きなもの買いな」

女性:「ここはあーでしてこーでして(なぜか敬語)」

違和感ありすぎの会話に耐え切れず、その日本人たちをチラ見。

女の子→ただならぬ派手さ&軽さ。
おじさん→エルメスのベルトとカバンを身につけ、稀に見るブランドで固めたダサいおじさん。
女性→アバヤ着ている。

先ほど聞いた会話と外見を重ね合わせた上での私の推理がこちら。

1.彼らは家族ではない。(20代の娘になんでも買いな、という父親はあまりいないだろう)
2.女の子2人は、サービスでおじさんと一緒にいる(だから外国人向けにサービスをする女の子、といったのでは?)
3.女性はガイドである。もしくはおじさんがそういうプレイ(若い人+熟女ミックス)が好きなのかもしれない。

推理したところで全然すっきりしない。一層謎は深まるばかりである。

しかも「ホテルのお土産屋で買う人なんかいないべ」と10秒前に話していたのに、その女の子は本気でコスメセットを買おうとしている。

まさか、買って売り飛ばすつもりじゃあ・・・とどーでもいい心配だけをして我々はそのお土産場を去った。

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例のコスメセット

釈然としない雰囲気に包まれながら、7つ星ホテルを後にする。目に飛び込んできたのは、ビーチやプールでくつろぐ欧米人たちである。中国人は皆無だ。

おそらく中国人は、ホテルから直行でモールにでもいったのだろう。国や文化によって、それぞれの楽しみ方があるのだろうと思うが、同じ空間なのにこれほどまで違いがあるとは。見えない人種区域でもあるんじゃないかと思った。

そして7つ星ホテルは、あくまで自称であり自己主張がうまいアラブがよく使う手だなあと思った。

そう、誇大表現!ここがアメリカなら、マックのコーヒーが熱い!と訴えた人のように、私も7つ星ホテルという表現と価格設定は不当だと訴えていただろう。

でも同じクオリティでも30万円と1万だった場合、30万円だから泊まりたい、払いたいと思う人がいるのも事実なのだと思う。だからこそこういうビジネス(商法)が成り立つのだろう。

それとも私に合わなかっただけなのかも。全くもって謎な異空間だった。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。大学では社会科学を専攻。イスラエル・パレスチナの大学に留学し、ジャーナリズム、国際政治を学ぶ。読売新聞ニューヨーク支局でインターンを行った後、10年以上に渡りWPPやHavasなどの外資系広告代理店を通じて、マーケティング業界に携わる。

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