そんなに自由でも幸せでもなかったスウェーデン。

最終日の朝、スウェーデンでは定番だというかカレス・キャビア(たらこペースト)を使ったオープンサンドをいただく。そして近くの森へ行き(やっぱり誰もいない)、年に1度開かれるという町内会イベントに参加した。やはり狭い村?なのか、イベントではエリクソン氏の知り合いに度々出会うことに。

甘いもの好きなスウェーデン人

とにかくスウェーデン人は甘いものをよく食べるらしい。イベントではカラフルなグミに始まり、家ではエリクソン氏が突如として大量のチョコクッキーを生産し始めた。
こんなに作ってどうすんだ・・・

スウェーデンでは、フィーカと呼ばれるお茶タイムの習慣があり、職場でも積極的に取り入れられているという。しかし、せっかくスウェーデンに来たのに、すっかりカフェでフィーカをするのを忘れてしまった。脆弱エリアに行っている場合ではなかったのだ。

スウェーデン発祥のタバコ

甘いもの特に興味ない私だが、タバコは大好きな愛煙家である。よって、「スヌース」に出会った時には、こんな素晴らしい発明品があったのか!とたまげた。

「スヌース」とは、いわゆる無煙タバコで、スウェーデン発祥のものである。ガムのように歯茎の裏にくっつけるとあら不思議、これでニコチンを吸収できるのだ。よって、従来のタバコのように煙も出なければ、口の中に隠れているので、吸っていることが全然バレない。つまり、飛行機の中や勤務中など、絶対禁煙地区でも吸える。そう、夢のようなタバコなのである。

初めは、ニコチンパッチのような禁煙アイテムかと思いきや、その真逆でニコチンがあるのでやっぱり中毒性がある。エリクソン氏は、旅の途中でもひたすら「スヌースがインドネシアに売っていた!」などと目を輝かせているし、件のザリガニパーティー事件で出会ったマブダチたちも、みなスヌースを持参していた。

そう、スウェーデンの喫煙家のほとんどは、スヌース愛好家といっても過言ではない。コンビニやガソリンスタンドのタバコ売り場には、普通のタバコはほとんどなく、スヌースがこれまたおしゃれななりをして鎮座しているのだ。1つ6ユーロほどだったので、まあ日本のタバコよりもやや高めといったところだろうか。


丸いパッケージのものすべてがスヌース。なぜか冷蔵保存されていた。

こうして念願のスヌースを買いホクホク顔で、空港へと向かった。

自由で幸せなスウェーデンは幻想だったのか

空港への車中は楽しい思い出の振り返り・・・ではなく、暗澹たるスウェーデンの現状だった。

「最近ウチの母親が愚痴をこぼしてるのがさあ、チップの山分け制度なんだよね」

スウェーデンではチップは基本的には不要だが、彼の母親の職場では、もらった場合は従業員全員で山分けしなければならないという謎のルールが発令したらしい。

「そこで問題なのがさあ、昼と夜で勤務時間が分かれているから、昼シフトの人だけで山分けするか、はたまた夜シフトの人にも山分けしなきゃいけないのかっていうのが、問題でさ・・・」

我々から見たら随分と先進国家だと思っていたのに、そんなチンケなことで悩んでいるのか!?

と思いきや、チップも課税対象になり、申告漏れをすると大変なことになるとのことで、取り扱いが要注意な危険物らしい。

スウェーデンの教育システムについても、エリクソン氏は愚痴をこぼしていた。

「あんなに税金取るのに、その恩恵を全く感じないんだよね。学校で備品が足りないこともある、カリキュラムだって古いし。特別支援学校みたいなのはあるけど、それでももっと個々の生徒のニーズに対応した教育があるべきだと思うんだ」

「おまけにさあ、教師もちゃんとした研修を受けてるわけではないし。だから基本的に先生のモチベは低い。それに加えて、両親も共働きがフツーだろ。だから、子どもに構ってる余裕もないわけよ。高校でドロップアウトする生徒が20%もいるんだから、もう終わってるよな」

おい、どうしちまったんだ、スウェーデン。なんとお先真っ暗なのか。

あまりにもドロップアウト率が高いので、調べてみたが参照元によって異なるため、あくまでもエリクソン氏の個人的な統計としておく。

ちなみにこちらの記事によると、日本のゆとり教育はスウェーデンの教育をお手本にした結果だという。しかしご存知の通り、ゆとり教育で子どもの学力が低下したため、ゆとり教育は終焉を迎えた。

ゆとり世代としては、ただ残念無念である。我々はスウェーデン教育と文科省の被害者だったのだ・・・!

「なんか、スウェーデンってあんまり住みたくない国だね・・・」

いけね。つい心の声が出てしまった。

もちろんエリクソン氏の個人的な見解というのは百も承知である。それでも、やっぱり思わずにはいられない。福祉国家や個人を尊重する美しい国、というのは、メディアが作り上げた幻想だったのではないかと。

観光地バリと同じように、耳障りの良いイメージは、過去の繁栄であり、今もなお幽霊船のように、人々の意識を彷徨っているだけなのではないか。

「いや俺もいつかはスウェーデンを離れたいと思ってるよ」

そうはいうけど、人生のすべてが50キロ圏内にあって、それを楽しいと感じてる彼がスウェーデンを離れることは決してないだろう。

20代後半から海外で生活。ドバイで5年暮らした後、イスラーム圏を2年に渡り旅する。その後マレーシアで生活。

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