一般的にパキスタンというと、貧しいというイメージがあるかもしれない。確かにその通りで、大多数が貧困層を占める。しかし、一方で日本人もびっくりな超富裕層がいるのも事実である。
カラチの町は、オンボロアパートがひしめいている。側から見れば廃墟なんじゃ・・・?と思うような場所に人々は住んでいる。かくいう私が住む場所も、そんな外観である。
しかし!
カラチの一角には、目を疑うような高級住宅街が存在する。それがDHAもしくはディフェンスと呼ばれるエリアである。もともと退役軍人のために作られた住居エリアだが、今では一般の民間人も住んでいる。
軍人を引退するだけで、こんな豪邸に住めてまう・・・
そう。独立後に何度か軍事政権を経たこの国では、あらゆる面で軍が優遇されるような制度がある。それがパキスタン市民を悩ませる汚職、政治腐敗にも繋がっている。
混沌の町で生きていると、豪邸が並ぶ光景は、希望であり目の保養にもなる。
そこはまさしくヨーロッパの高級住宅街。
パキスタンではない。
まず人がいない。日本の住宅街であれば、だからどうした?というレベルだが、メガトン都市カラチでは人がいない場所などない。どこもかしこも渋谷スクランブル交差点の状態である。物売りも、物乞いも、寝ている人もいない。
人がいないので、カラチの道端でよく見かける汚水の沼やゴミの山もない。代わりに、整然と植えられた木々が、風にそよがれている。
何より驚くべきは、家の規模である。オイルマネーで潤う湾岸諸国でもみたことのないような、超大豪邸がズラーっと立ち並んでいるのである。ホームセンターでも建てられるんじゃ、と思うぐらいどの家も土地が広い。
さぞかし夢のような住宅が広がっているんだろう、と思っていたら、友人の一人がディフェンスに空き家を持っているから見せてくれるという。その内部の様子がこちら。
カラチでは貴重な閑静なプライベート空間
広い庭
メインホール
バスルーム。これぐらいの規模が3つある
キッチン
使用用途がもはやわからない謎の空間が3つぐらいある
芸能人のお宅訪問で見るようなレベルの家である。迷路すぎてもはや間取りは不明。まさしくそこには、夢のような生活空間が広がっていた。
家賃はなんと・・・
20万!
家の規模を考えれば安い。しかし、パキスタンで先進国クラスの快適な暮らしを送ろうと思ったら、これぐらい払わなければいけないのだ、ということを私は痛感した。
現在、私がエアビーで借りているアパートの家賃は8万円。物価が安いパキスタンなら、相当いい生活なのでは?と思うかもしれない。そこに落とし穴がある。インフラが整っていない国の8万円生活というのは、あまりいいものではない。8万円では全然足りないのだ。
ちなみにパキスタン中間層の平均月収は5~10万円程度なので、20万円がいかに破格かがわかる。
多くの国民が貧困生活を送る一方で、こうした超富裕層もわずかながらいる。問題は中間層のボリュームが薄いことである。中間層の私には、どちらもめまいがする世界だ。