いよいよドバイへの出発の日。羽田空港のカウンターで手続きをしていると、
「あれ、帰りの航空券は?」
と聞かれたので
「いや、ドバイで働くので・・・」
と答えると
「客室乗務員ですか!?」
と間髪いれずに聞かれた。こんなチビが客室乗務員になれるわけがねい、と思いつつも
「いやー普通のIT企業ですよ」
と答えておいた。事実、エミレーツやカタール航空などで働く日本人も多いと聞いていたので、客室乗務員になる人は多いのかもしれない。
手続きの時に気にしていたのは荷物の重量制限。超過料金をとられないように、預け荷物の重量制限が30kgまでのところ、ギリギリ30.8kgまでにおさえ、かつ持ち込み荷物の制限10kgについても、10.2kgでおさえるという我ながらよくやったと思う。なんだかつまらないところで達成感を感じてしまった。
さらに持ち込み荷物は1個までと書いてあったので、リュックとキャリーバッグで通過できるか不安だったが、ここも問題無し。1個と書いてあっても実は2個持ち込めるようだ。
出国審査を終えて、息つく間もなくおみやげ探し。事前にイラン人の同僚から、日本のキットカットが食べたいというリクエストをもらったのでキットカットの抹茶味とイチゴ味を購入。
日本にいるとなんてことがないものだが、ドバイには普通のチョコ味しかないので食べてみたいということだったらしい。
そしてもう一つ事前に買おうと思っていたのが「クーリエジャポン」。
なんという偶然の巡り合わせだろうか。雑誌のタイトルが、「いま転職するなら海外か、国内か?」というこのタイミングにばっちこいなタイトルなのである。実際読んでみると、海外で働いている人のインタビュー記事や海外で働く人へのアドバイス(すごい役だった!)が並んでいる。この日に発行してくれてありがとう、である。
「クーリエジャポン」は高校生の時に創刊号が出てからずっと書い続けている雑誌でもある。クーリエの常に海外目線で特集しているところが好きで、雑誌や本を読まなくなった今でも手にしたい雑誌なのだ。
そんな海外へ行け!というメッセージを暗示している(ように感じる)クーリエとともに成長し、ようやく海外で働く。今回の海外就職もクーリエに支えられてきた部分があるのかもと思うと、ちょっと感慨深いものである。
フライトはバンコク経由で約14時間。ここで一言言っておきたい、やはりバンコク空港には魔物が潜んでいる!なぜか?あの巨大空港の魔物に囚われ、ゲートにたどり着くまでになんと1時間かかるというギネス記録を叩き出したからである。
フライトの掲示板をみても、フライト番号がない、というショッキングな事態に見舞われ、あの巨大空港を15kgの荷物を持って早歩きで歩くという、異例の事態に陥ってしまった。まるで有酸素運動をしているかのようで、よい運動にはなったのだが、かなりの体力を消耗してしまった。ありえないぜバンコク空港。
ようやくドバイに行けると思って乗り込んだ次のフライトでも、不測の事態が見舞う。隣が巨漢なのだ!巨漢の隣はろくなことがないというのは身をもって学んでいたので、
「巨漢の隣に座る運命のもとに生まれたんだ」
と思い自分を納得させようとした。が、やはりろくなことがなく6時間ちょいのフライトが8時間ぐらいのかつてない不快なフライトになってしまったのである。
そんなグロッキーでふらふらの状態でドバイ空港に到着したのだった。